
中国の首都・北京は、政治・経済・文化の中心地。南北往来の交通の要衝として、明・清時代から中国の中枢をなす都市機能を有していました。中国全土から人々が集まる大都市だけに、各地域の文化が大集合。最近は、世界各国から観光客が多く訪れています。北京市内の故宮博物院、天安門広場をはじめ、万里の長城など近隣にも見どころが多数あります。

中国には「普通話(プートンホァ)」という公用語がありますが、北京では語尾をRの音に変化させた「北京話(ベイジンホァ)」が頻繁に話されています。方言は上海語、広東語などさまざまあり、同じ中国人でも出身地が違えば、何を話しているのかわからない!という事態にも。ただ、日本と同じ漢字の国なので、書けば何となくわかるのは旅行者にもありがたいところ。

広い国土の中国では、その気候もさまざまです。なかでも、北京は大陸性の気候で、1年を通して寒暖差が激しいのが特徴です。夏は日差しが強く、最高気温は30度を超える日もしばしば。一方で冬は極度に乾燥し冷え込みも厳しいです。最低気温はマイナス10度を下回ることもあります。冬に北京に来るときは日本以上に着込んできた方がいいでしょう。最も美しい季節は秋(9~10月)といわれます。紅葉も色づき、気温も適度に下がって過ごしやすいので、建国記念日にあたる10月の「国慶節」期間中は、郊外へ散策に出かけたりと中国の人々は思い思いに過ごします。ですが、こんな心地よい時期は1年を通してほんのわずか。あっという間に極寒の冬がやってきます。ただ、北京では火鍋など“寒さ対策”の料理も充実しているので、ここでしか味わえない冬を楽しむこともできそうです。
【北京の年間気温】 |
ー |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
最高気温(℃) |
1.4 |
3.9 |
10.7 |
19.6 |
26.4 |
30.2 |
30.8 |
29.4 |
25.7 |
18.9 |
9.9 |
2.9 |
最低気温(℃) |
-9.9 |
-7.4 |
-1 |
6.6 |
12.7 |
17.9 |
21.5 |
20.2 |
13.8 |
6.9 |
-0.6 |
-7.3 |
降水量(mm) |
3 |
7.4 |
8.6 |
19.4 |
33.1 |
77.8 |
192.5 |
212.3 |
57 |
24 |
6.6 |
2.6 |

外国へ入国したらすぐ行ないたいのが、通貨の両替。中国では日本円の現金のほか、トラベラーズチェックからでも人民元へ両替できます。中国銀行などのほか、空港やホテルのフロントで手続きでき、その際、パスポートが必要になります。「これを人民元に両替してください」という中国語は「?把?些?成人民?。(チン バ チャーシエ ファンチョンレンミンビー)」。いざというときのために、こまめに両替しておきたいですね。
【通 貨】
中国の通貨は人民元。100元札が最も高価で、以下50元、20元、10元、5元、1元札と続きます。元の下の単位は「角」、その下は「分」といい、価値としては1元=10角=100分となります。札の色は赤、緑、オレンジとさまざまあり、日本の円札に比べてずいぶんカラフルです。
【紙幣】100元、50元、20元、10元、5元、2元、1元、5角、2角、1角
【硬貨】1元、5角、1角、5分、2分、1分
【クレジットカード】
中国でも、マスターカード、ビザカード、アメリカンエクスプレスカード、JCBカード、ダイナースカードなどのクレジットカードが一部商店、レストラン、ホテルなどで使用できます。

北京市内の主な交通はバス(公共汽?・ゴンゴンチーチャー)、タクシー(出租汽?・チューズーチーチャー)、地下鉄(地?・ディーティエ)の3種類があります。
【バス】
値段が安く、市内を縦横無尽に走っているので便利ですが、ICカード(バス・地下鉄共通)を持たない旅行者や短期滞在者は行き先を乗務員に告げないといけないので、少し煩わしいかもしれません。
【タクシー】
日本人旅行者がよく利用するのはタクシー。かなりの台数が走っているので、雨の日でなければ大抵つかまえることができます。車に乗ったらまずドライバーに行き先を告げ、言葉が通じなかったら地図を見せたり、筆談も可能です。その際、ドライバーがメーターを倒したかどうかを確認してください。最近は少なくなったものの、メーターを利用せずに、到着してから法外な値段を要求する車も存在するので、十分気をつけましょう。また、中国は右側通行なので、乗り降りは右から行なってください。気になる料金は、昼間の初乗り10元、以後、1キロごとに2元が加算されます。15キロを超えた以後は1キロごとに3元が加算されます。夜間(23時?翌朝5時)は初乗り11元、以後、1キロごとに2.4元が加算されます。15キロを超えた以後は1キロごとに3.4元が加算されます。北京の交通で注意したいのは、予期せぬ渋滞に巻き込まれること。平日のラッシュアワー、特に週初めの月曜朝の道路渋滞は普段の2倍の時間がかかると考えていいくらいです。余裕をもって出かけましょう。
【地下鉄】
現在どんどん建設されている地下鉄は、北京の交通渋滞を緩和する手段として、注目を集めています。08年3月末現在で開通しているのは、市内を東西に横断している1号線、環状の2号線、郊外を走る13号線と八通線、昨年10月に開通したばかりの5号線。料金は行き先に関係なく一律2元で、観光客にも利用しやすい交通機関です。
【中国国内の鉄道】
国営鉄道の総延長は約10万キロ。鉄道建設が始まった西蔵(チベット)自治区を除いて全省・自治区に鉄道が敷かれています。主な路線には、北京~上海間の京滬線、北京~広州間の京広線、北京~汕頭間の京九線、北京~ハルピン間の京哈線、北京周辺の華北と西安・ウルムチなどの西北を結ぶ隴海・蘭新線、西北と成都・昆明などの西南を結ぶ宝成・成昆線などがあります。列車に乗るには時刻表があると便利。中国では駅の売店などで販売されていますが、日本でも中国の書籍を扱う書店で購入することができます。価格は600円ほど。ただし日本の時刻表のように機能的にできていないため調べるには慣れが必要かもしれません。
[列車の時刻を検索]
列車の種類は設備や速さによって分けられ、料金も異なります。
・特快 特急列車(長距離) T1~900番代
・快速 急行列車(長距離) K1~900番代
・普通快車 急行よりやや遅い列車(長距離)1000~5000番代
・普通慢車 鈍行列車(短距離)6000~8000番代
などがあります。座席は設備の違いにより、四つに分かれます。
[軟 座]
グリーン車に相当する座席。
[硬 座]
2等に相当し、4人でのボックスシートが一般的。間に小さなテーブルがあります。
[軟 臥]
A寝台に相当。コンパートメント式となっており、それぞれの個室には2段式のベッドが合わせて4つ。居心地は一番いい。
[硬 臥]
B寝台に相当する三段ベッドの車両。一番下は昼間みんなの座席になってしまうし、上段は天井が近すぎるので、中段が無難。
一般の中国人の移動によく使われるのでチケットは手に入れにくいでしょう。また手荷物にも注意が必要。
他に食堂車もありますが、止まる駅で窓からものを売りにくるので、そこで食べ物を調達するのも楽しいでしょう。切符は駅か街中の切符売り場で購入します。或いはホテル内や、街にある旅行社に依頼すれば、少しの手数料で並ぶ時間もかからず、手に入りにくい切符も買えることがあるので便利。