2015年10月にオープンしたメニューがないレストラン
中目黒駅から徒歩7分ほどで、このワクワクする店に到着する。その名は『キッチンシュリ』。何が面白いかと言うと、メニューがないのである。予約の電話で「何か食べたいものがありますか?」と聞かれ、前職がバスク料理のシェフと知っていたので思わず「肉料理、煮込みとか。」と答えたが、「まぁ、ご来店頂いた時に相談しましょう。」とシェフ。だからこそ何が出てくるのか興味津々、期待度120%で訪れた。
フレンチ一筋のシェフが完全ライヴで作る料理
ドアを開けるとキッチンに立つ中町シェフが迎えてくれた。カウンターとテーブル席があったので、迷わずカウンター席へ。椅子に座るとシェフが話しかけてくれる。「何が食べたいですか?」きたきた、予約の時に聞かれて困ったので「今日は何が美味しいですか?」と、質問には質問返しだ! すると「今日入っているのは・・・」と食材を教えてくれる。そこで体が温まるものと食べたいものを伝える。するとシェフから「まず鹿をお出しして、それから白子と野菜、豚、鶏、あとシメはどうされますか? 丼かパエリヤかリゾットか。まぁ、材料があれば何でも作るのでお腹と相談されても。」と提案された。いったい幾らなのか不安になっていると友人が聞いてくれた。たまにはいい仕事するじゃない。「そうですね、ざっと一人4,000円くらいですかね。」
えー! 逆にビックリだよ。ホントに? いいの? まぁ、いいって言うからいいか。ますます期待度がアガる。
なぜメニューを作らないのか尋ねると、フランス料理のかしこまったイメージを一新したかったと中町シェフ。ずっとひとつのことを突き詰めてきたので、今は固執したくないと言う。だからメニューをあえて作らず、食材と対話して自分が美味しいと思うものを客の状態に合わせて提供したいのだそう。“自分の店で自分が料理するからできること”。これがシェフの目指すところなのだろう。
さて、肝心の料理はというと、鹿の塊肉をその場で焼き上げた温製のカルパッチョから始まり、とろっとろの白子揚げ、ケッパーソースが秀逸なマンガリッツァ豚、シャンパンで煮込んだ大山地鶏と続く。
シメには生米をイカスミでゆっくり炊いたリゾット。大葉のソースをかけると何杯でもいける。食べたいものだけをおいしく食べるとはこういうことなのだろう。
中町シェフは“料理には意味がある“と言う。食材の状態を見極め、そこに蓄積された味の記憶を組み合わせると、「だからこうなのだ」と答えが出る。それを形にするだけだと。”料理ありきのワイン、ワインありきの料理“と笑顔で話すシェフ。なるほど、お酒が進むはずだ。
(メニュー)
蝦夷鹿のカルパッチョ 赤ワインバルサミコソース/1,200円
マンガリッツァ豚の肩ロース ケッパートマトソース/2,000円
大山地鶏の白インゲン シャンパン煮込み/2,000円
コース/3,500円〜6,000円(相談可)
テーブルチャージ/500円
※全て税込
Kitchen Shuri (キッチン シュリ)
- 電話番号
- 03-5721-2306
- 営業時間
- 18:00~
- 定休日
- 日曜 年末年始のお休み 12/29〜1/6
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。