新鮮なホルモンを目当てにした人でいつも溢れている、渋谷区の神泉にある『永秀(ながひで)』。芝浦にある食肉市場に直接出向き、とにかく鮮度にこだわった仕入れをしているのが売りだ。そんな人気焼肉店『永秀』の2号店が5月1日に三軒茶屋にオープンしたと聞き、足を運んだ。
神泉にある1号店に比べると、2号店のこちらは全体的に価格帯を下げ、焼肉をもっと日常食にしたいという願いが込められているという。
クツベラ、ヤン、オッパイなど…ホルモンが多数ラインナップ
「うちはね、珍しいホルモンが売りなんですよ」と言う、オーナーの安田さんにオススメされてまず注文したのはホルモン3種。手前左からクツベラ、ホルモン、ヤンと並ぶ。とにかく鮮度がいいため、通常のお店で出回っているホルモンに比べ多く脂を残しているという。
「ヤン」は、牛の胃袋であるハチノスとセンマイをつなぐ部分であり、珍しい部位。
見た目はアワビのよう、と思いきやなんとその食感も近いものがあった。
ヤンの弾力が強い歯ごたえと、甘みの強い脂がジュワッと滲み出る感覚は、独特の味だ。
「クツベラ」は、豚のノド骨の一部。コリコリっとした食感を楽しめる一品。
そして、一番人気だという「ホルモン」。王道の品であるだけに、他との違いがよくわかるものでもある。嚙みしめるほどに濃厚な脂が弾け出る、その脂の甘みとおいしさたるや、ひたすらに濃厚でジューシーだ。この新鮮さを、こんな価格で食べられる店は東京でもなかなかないのではないだろうか。
「鮮度が微妙だと判断すれば、業者に返品することもあります」と語るほどにこだわった、抜群の鮮度のホルモンは他では食べられない。ちなみにホルモンを含めた肉のすべてを、こちらでは塩かタレで選べる。また、他にもオッパイなどちょっと珍しい部位も楽しめるのでお見逃しなく。
その日仕込んだものは、その日に使い切る! 徹底した肉の鮮度管理
精肉ではある程度の一定のレベルを安定的に保つため、またランクにこだわったお客を喜ばせるために、必ずA5ランクの黒毛和牛を使っているのがこちらのもうひとつの売りだという。
「その日その日の黒毛和牛を見て判断して仕入れているので、この場所(ブランド)と決まったものはありません。もちろんA5ランクだからいい肉とは限りませんが、一定の保証と安心感のためにも選ばせていただいています。特に、脂と赤みのバランスには強くこだわっていますね。その日仕込んだものは、その日に使い切る、がモットーです」と語っているだけに、期待が高まる。
そんなところに期待を裏切らない美しさで登場したのは、「本日の焼きすき」。
その名の通り、焼いて食べるすき焼き、である。
自信がないひとは、スタッフに任せてしまおう。まずは数秒、片面をジュッと焼き上げ、すぐに裏面へ。端からジュワッと脂が滲みでたら、完成の合図。
卵に大根おろしを混ぜたものに、どぼんと絡めれば完成。肉のうまみに、ピリリと効いたシャキシャキの食感の大根おろし、そして濃厚な卵がとろりとマッチングしてたまらない。表面を焼き上げているので、強く香る肉の脂もこれまた普通のすき焼きと一味違う。
甘辛い醤油ベースのタレが味の決め手となっている。まるですき焼き、だけれどももっとさっぱり、といったところか。
こちらと双璧をなして人気があるというのが、「本日の焼きしゃぶ」。
似たような商品ながらも、こちらはさっぱりと鬼おろしとポン酢でいただく。肉の脂がほどよくさっぱりとし、重くならずに何枚でも食べられそうな一品となっている。
一頭1.5kgの中から400gしか取れない「牛タン」
コンロに置くと、その肉厚さが際立つ。1.5kgもの牛タンから、特にタン先などと呼ばれうまみの強く、食感も硬くしっかりとした先端部分の400gのみをとっているという牛タンである。
焼き上がりに近づくほどに、ぶるんとした分厚い角がせり出してくる。
ぎゅっと噛みしめると、タン独特のシャキッとした食感とうまみがじっくりと押し寄せてくる。遠くでタンの味が消えたと思った頃には、ふたくち目を食べたくなってしまう、クセになりそうなタンだ。
サイドメニューもお酒がすすむ一品ばかり。「もつ煮込み」は、各種ホルモンの様々な部位を煮込んだ、ホルモン屋ならではの一品。いろいろな部位の切れ端を楽しめてしまうので、ある意味一番おトク、なのかもしれない。
濃厚な味付けは、白ご飯かお酒が欲しくなってしまうほど。甘辛い味付けに、ピリリとネギが絡み合ってマッチングし、箸の止まらないメニューとなっている。
影の立役者は、「味付け豆もやし」。嬉しいことにこちらの品は大ボリュームなので、注文時はシェアするのがおすすめ。
塩ダレに絡んだ豆もやしが、肉を食べる間の箸休めとして抜群に合う。普通のもやしではなく、豆もやしなのでホクッとした食感がこれまた楽しい。シャキシャキ、ホクホクッとした食感を楽しみながら口を休ませれば、またもや次のホルモンを注文したくなること間違いなしだ。
「一人焼肉も大歓迎ですし、最近では、週末は家族づれも増えてきました。今度もキープボトルを始めていくなど、客の要望に応えた店作りをと思っています。様々なお客様に、本当にいいものを手頃な値段で味わってもらえれば」と願うオーナーの安田玄太さんの言葉には、ひとりの客として感謝せざるをえない。
(文・写真/雨宮美奈子)
<メニュー>
ヤン(ハチノスとセンマイの間の部位) 690円
クツベラ(豚のノド軟骨) 590円
ホルモン(牛の小腸) 690円
本日の焼きすき 1枚500円
本日の焼きしゃぶ 1枚500円
牛タン塩 1300円
もつ煮込み 450円
味付き豆もやし 380円
※価格はすべて税抜き
永秀 三軒茶屋店
- 電話番号
- 050-5783-1087
- 営業時間
- 18:00〜翌1:00 (L.O 24:15)
- 定休日
- 定休日 月
- 公式サイト
- http://nagahide.com/
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