ここ以外に穴場があったら教えてほしい! 名シェフも唸る「究極のカクテル」が味わえる会員制BAR

2017年06月16日
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ここ以外に穴場があったら教えてほしい! 名シェフも唸る「究極のカクテル」が味わえる会員制BAR
Summary
1.バー界期待の新鋭は、超有名レストランのシェフをも唸らせる!
2.「最高の瞬間」をとことん追求するフルーツカクテルは圧倒的なクオリティ
3.カクテルの域を越えたフルコースは会員になって絶対体験する価値あり

会員だけが入店できる秘密の隠れ家を発見した!

赤暗い照明があやしく灯る扉には“THE END”の文字。こちら店名ではないらしい。「現実の世界はここで終わり。さぁ、非現実の世界へようこそ」と招く店主からのメッセージだ。ダイヤルロックに店名を刻み、入店できるのは限られた人のみ。会員制の店が人知れず点在するとある街に、『Cocktailante OBORO(カクテルランテ オボロ)』は産声をあげた。

店内に続く廊下には、絵の具やパレット、ハケが無造作に並んでいる。アトリエの主はフィンセント・ファン・ゴッホ。カウンター前の大きな戸棚には、代表的な名画「星月夜」が飾られる。そして果てしなく続くかのような洞窟に、酒と熟した果物も。幻想的なこの空間は、フルーツを使ったカクテルが飲める会員制のBARなのだ。

「この絵と出逢ったのは、小学校4年の頃でしょうか。美術の教科書で初めて観たとき、訳もなく感動したんです。将来、この絵を洞窟の中で眺めながら酒が飲みたいな……と。洞窟にいながらこんなにも広大な夜景が見える現実の世界ではありえない光景を、私の思い描くままに実現させました」と話すのは、オーナーバーテンダーの山川俊太さん。ちょび髭に髷(まげ)を結い、微塵も隙がない美しい所作は、モダンな武士のようである。

追熟を極めたバーテンダーが目指すのは「果物の最高の瞬間」

卓越した技術は、美しい所作となってカウンターを演出する。そして、華麗な技のほかにも山川さんのこだわりはハンパではない。東京・大田市場に世界から集まる旬な果物を選りすぐり、15℃前後の温度で保存。熟すタイミングを見極めて、その果物のベストな甘みを、限界まで追求する。店にあるいくつもの果物の“最高の瞬間”を切り取ってカクテルに仕上げる。妥協しないから提供できる果物が限られるというのも、会員制にしている理由なのだろう。

山川さんの鋭い目利きとうまみの引き出し方は、料理人をも唸らせる。最近では都内の有名レストランのシェフや、完全会員制レストランとコラボしたペアリングイベントを開催しているという

ふたたび名画「星月夜」に目をやる。絵の中の街並みをよく見れば原画とは違って、ゴッホが訪れたはずがない西麻布の街並みが描かれている。植物が均等に並ぶ棚は、ただの飾りではない。引いてみると、不朽の名作「ひまわり」が描かれた個室が現れた。

パレット型の奇妙なシャンデリアからは、ゴッホを暗示する“耳”がぶらさがっている。茶目っ気溢れるユーモラスなアイディアは、若き奇才によって店中に溢れている。

「昔から寿司屋が好きでした。今ではコースでお任せの店が増えましたが、『大将、今日のオススメは何?』『今日は◯◯だよ』『じゃあそれお願い!』というやりとりを、バーという場所でお客さまとしたかったんです。フルーツを使えば、魚と同じように季節感を出すことができる。もともとイタリアンで料理人をやっていましたから、その個性を生かそうと、カクテルを料理のようにフルコースで提供する、今のスタイルに行き着きました」。

こうして誕生したカクテルのフルコース。通常は6品で構成されるが、今回は特別『dressing』のために3品で構成された「dressingスペシャルコース」(5,000円)を作ってくれた。ただし味わえるのは1ヶ月間限定だから、このチャンスは逃したくない。

元料理人が奏でるカクテルのフルコースは圧倒的に美味!

コースの始まりは『オボロ』の定番「季節のフルーツを使ったシャンパンカクテル」(写真下)

見慣れたカクテルとは少し違う。パレットの上に千葉県産フレッシュブルーベリーと、カリフォルニア産アメリカンチェリーが装飾されているだけである。ドリンクらしからぬ佇まいに、想像を掻き立てられる。

「フルーツの下に隠れているグラスを取り出して、フルーツに注いでみてください」と山川さん。器に隠れていたブルーキュラソーが顔を出し、シャンパンがシュワっと優しく弾けて混ざっていく。パレットの中が一気に青く染まる。

スプーンで混ぜると「星月夜」に描かれている雲のように渦を巻き、透き通る青の中に銀箔がチラチラと浮かんでくる。ひと口含めば、ベリーの柔らかい酸とほんのり甘いシャンパンが優しく絡み合う。

添えてあるのは、22カ月熟成のパルミジャーノ・レッジャーノ。塩味とうまみの強いセミハードタイプのチーズを合わせると、フルーツの酸味がより引き立つ。『オボロ』が表現する芸術の劇場は、毎夜こうして幕をあげる。

2品目は、まるで食事のようなひと皿「桃とバジルのフローズン、レモンとジンのソース」(写真上)。桃は、出荷の時期が一番早いという長野県産・日川白凰(ひかわはくほう)を使用。バジルの青みと香りを合わせることで、初夏の涼やかな印象を与えてくれる。

「ウォッカベースのシンプルなフローズンには、6つのスパイスや旬の食材を添えています。甘いものに辛いものを合わせたり、冷たいものに温かいものを合わせるといった、温度差や味覚の錯覚を体感していただきたい」。山川さんが誘う感性の世界へ、恐る恐る手を伸ばす。

まず、舌に一味唐辛子をひとつまみのせてカクテルを飲む。粘膜に染みついた辛味で、繊細な桃の甘みが強調される。続いてジンジャーブレッドをふたかけ口に放り込む。バジルにシナモン、ジンジャーといった3つのハーブが合わさって、甘く妖艶な香りが漂う。ここでピンクペッパーをひと粒噛み砕く。一気にパンチが襲い複雑味を帯びたところで、レモンとジンのソースを舐める。桃の甘みがレモンの酸味でグッと引き締まっていく。ジンは何十種類ものハーブで作られたお酒だから、バジルと相性がよい。最後に芳ばしく焼かれたベーコンと塩茹でされたソラマメをかじれば、甘みと塩味、酸味、苦み、辛みのなかにうまみが加わって、味覚の刺激によって五感がとぎすまされていくのがわかる。

最後の一品は、自家製のほうじ茶ウォッカを使ったデザートカクテル「ほうじ茶のティラミス」(写真上)。ほうじ茶を抽出した特製ウォッカに、マスカルポーネチーズとミルク、シロップを合わせてココアパウダーをたっぷりまとった様子は、シンプルで気品がある。

すくってみると、ほうじ茶の芳ばしい香りとカカオの苦味を感じ、なめらかなクリームの甘みの奥から力強くお酒の風味が押し寄せてくる。口当たりのよさに騙されそうになるが、これもカクテル。
旬のフルーツで季節を感じ、五味の組み合わせが楽しい『オボロ』でぜひ絶品カクテルコースを味わってほしい……、と言いたいところだが、こちらの店は会員制。けれども、今回は『dressing』のプレミアム会員のみ、予約を受けてくれる。しかも「dressingスペシャルコース」も味わえる! 期間は6月16日(金)~7月15日(土)の1カ月間限定。

この機会に足を運び常連になれば、今まで知ることのなかった豪華な食のイベントに参加できるかもしれない。予約は「続き」部分に電話番号を記してあるので、まずは「dressingプレミアム会員です」と伝えるところからはじめよう。

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