お店のエコ活動レポート

環境問題に取り組むお店の活動を取材レポートします。

生産者と消費者をつなぐ、野菜ソムリエの存在

野菜を通して健康な食生活を提案する。ともすると聞き流してしまうほど当り前のようで、耳触りのいい言葉ですが、その意気込みの裏には多くの努力とメッセージが隠されています。飲食業に携わる者として生産者と消費者をつなぐ役割を果たす――その思いを《金の独楽》の店長にうかがいました。

金の独楽

金の独楽

東京都/銀座(和光・プランタン方面)

東京メトロ・有楽町線「銀座一丁目駅」から徒歩2分。銀座通りから1本入った路地に立つ和食居酒屋。インテリアは空間デザイナーが手掛ける和を意識したおしゃれな造りで、銀座界隈のOLやサラリーマンで連日にぎわっています。料金もリーズナブルと評判です。

ここがポイント

露地野菜

露地野菜

自然の環境下で栽培した野菜は、味が濃く、甘味が強い。《金の独楽》では、そんな露地野菜にこだわっています。

ゴミ減量への努力

ゴミ減量への努力

毎日大量に出る割り箸のゴミに心を痛め、繰り返し使える箸を導入。しかも、それは古紙を原料とするリサイクル箸です。

環境への取り組み

いとおしそうに野菜を手にする松岡店長。

いとおしそうに野菜を手にする松岡店長。

毎朝市場で仕入れてくる野菜も露地ものにこだわっています。

毎朝市場で仕入れてくる野菜も露地ものにこだわっています。

野菜ソムリエの店長による、野菜中心の料理

銀座通りから1本路地を入った京橋3丁目に位置する《金の独楽》。ビル1棟丸々利用し、ユニークなデザインを施こした外観がひときわ目を引きます。お店の入り口には季節の野菜が飾られ、野菜を中心としたメニューが揃うのではないかと期待が高まります。

《金の独楽》の店長である松岡大樹さんは、仕入れのために市場へ通っているうちに、ますます野菜の魅力にはまっていったと言います。

「季節によって売られているものが変わりますし、目新しい野菜が次々と市場に並びます。市場に通って野菜を見ているうちに、野菜に対する興味がどんどん高まってきました」。そこで松岡店長は、より野菜の知識を深めたいと一念発起。日本ベジタブル&フルーツマイスター協会が主催する講座を受講し、昨年、見事ジュニアベジタブル&フルーツマイスター(通称野菜ソムリエ)に認定されました。講座では野菜の種類や旬といった基本的な知識から、保存方法や栄養価、さらに食べ方のバリエーションといった一歩踏み込んだ知識まで習得したそうです。よりよい食事をお客様に提案、提供できるようになったことが、何よりの喜びだと言います。今後は次のステップ、ベジタブル&フルーツマイスターにもチャレンジしたいとのことです。

野菜を通して広がるコミュニケーションとエコ意識

松岡店長は、忙しい仕事の合間を縫って実際に生産者のもとへ足を運んでいるそうです。そうやって生産者と話し、畑に出て、実際にとれたての野菜を口にし、おいしいと感じた野菜が《金の独楽》では多く使われています。

「ハウス栽培と異なり、寒暖差の激しい気候下で作られた露地ものは、味が濃く、甘いんです。旬の野菜は栄養価も高く、体にもいい。形が悪いものもありますが、それも調理する際に少し手間がかかるぐらいで、味にはまったく影響ありません」。

そう言いながら、松岡店長はその日、湯河原の契約農家から届いたばかりという野菜を手に取って説明してくれました。確かに大きさがふぞろいのカブや、形がいびつなニンジンもあります。

「これは湯河原で農業を営む鳥居さんから送られてきた野菜です。露地栽培で作る鳥居さんの野菜は味の濃さが違います。そして何よりおいしい野菜を消費者に届けたいという情熱が人一倍強いのです。鳥居さんのその情熱にも、私は強く共感しました」。こうして《金の独楽》には旬の野菜が鳥居さんから直接届くようになったそうです。実際に生産者と膝を交えたことから、松岡店長の野菜への思いはいっそう強くなりました。今後は千葉県成田や東京野菜が直送されるそうです。さらに、料理を通して生産者の情熱を伝えたいと、実際にフロアに出てお客様と料理や食材について話す機会が増えたそうです。最近では「この野菜はどのようにして食べるとおいしいんですか?」とか、「私も実は…野菜ソムリエなんですよ」などとお客様のほうから声をかけられるようになってきたとか。

生産者と消費者をつなぎ、野菜を通して新たなコミュニケーションが生まれたことも野菜ソムリエ効果といえるでしょう。

季節の野菜をシンプルに調理した「露地野菜のせいろ蒸し」。沖縄の天然塩を添えて。

季節の野菜をシンプルに調理した「露地野菜のせいろ蒸し」。沖縄の天然塩を添えて。

「下仁田ネギの一本揚げ」は、ネギの甘味を感じられる一品。

「下仁田ネギの一本揚げ」は、ネギの甘味を感じられる一品。

パピルスティックで割り箸ゴミの減量を実現しました。

パピルスティックで割り箸ゴミの減量を実現しました。

「パピルスティック」の使用でゴミが激減

次に《金の独楽》が着目したのが、ゴミの減量です。身の回りを見まわして、まず目についたのが毎日山のように出る使用済みの割り箸。このゴミをなんとか減らせないかと模索しているところに出合ったのが、「パピルスティック」でした。

パピルスティックは産業廃棄古紙と呼ばれるシュレッダーのかすや、紙を裁ち落した際に出る細かく裁断された紙といった再生紙を51%含んだリサイクル箸。重金属や蛍光増白剤などが含まれていない安全性の高い古紙を使用しているほか、100~200回の洗浄にも耐えられる耐久性を備えています。

パピルスティックを販売する(株)エコスタイルによると、日本の年間割り箸消費量は約250億膳。国民一人当たりに換算すると200膳ほどにもなり、うち65%が飲食店での使用と推測されているそうです。

「割り箸の使用をやめ、繰り返し使えるパピルスティックを採用したのは、ゴミの減量が大きな目的です。これも、飲食業を営む者としてできるエコのひとつだと思っています」。

実際にパピルスティックの導入によって、それまでと比べて5分の1ほどのゴミが削減できたという感触を得ているとのこと。

「お客様からは、環境に配慮しているんですねというお言葉をいただいています」。

お客様からの評価に加え、目に見えるゴミの減量にスタッフのエコ意識も高まったとか。これもまた、予想外の効果だったようです。

「小さなことからエコを」。チェーン展開する店の新たな挑戦

野菜ソムリエとしておいしい旬の野菜を提供し、お客様との交流を通して手ごたえを感じた松岡店長は、次なる目標を教えてくれました。

それは規格外の野菜を流通させられないかという、大きな野望。

生産地では、規格外であるとか、ただ大量に収穫されたという理由で出荷することができず、廃棄せざるをえないことに苦悩する農家の方々が少なくない…というのが現実のようです
松岡店長は生産者のもとを訪ねるなかで、いびつな形をしているというだけで廃棄されている野菜を目の当たりにしてきました。

「もったいないの一言ですよね」。

その思いこそ、エコの原点ではないでしょうか? 松岡店長は規格外の野菜を店舗で積極的に使用するとともに、生産者との交流をさらに深め、その流通方法を模索しています。

《金の独楽》を経営する(有)勝企画は、銀座界隈に4店舗を展開しています。その全店舗でパピルスティックを導入しているほか、ゴミの減量やリサイクル、節電など小さなことからエコに取り組んでいます。

松岡店長は、規格外の野菜を流通させる夢を経営者に語ったと打ち明けてくれました。「まだどうなるかはまったくわかりませんが」と照れ笑いしていましたが、ひとりではできないことも、会社全体で動けば可能になることもあります。野菜を通して人間関係を築きあげてきた松岡店長なら、何か新しいことができるかもしれません。

湯河原の鳥居さんより届く、新鮮な野菜は、滋味にあふれています。

湯河原の鳥居さんより届く、新鮮な野菜は、滋味にあふれています。

この方にお話を聞きました

店長 松岡大樹さん

店長 松岡大樹さん

1998年よりホテルオークラ東京・ホテルオークラエンタープライズにて和食の基本を学ぶ。2004年より《銀座独楽》、《銀座スコット》、《金の独楽》に勤務。店長を務めるかたわら、独学でジュニアベジタブル&フルーツマイスターを目指し、2008年認定される。その素材に関する高い知識と、市場や生産者を訪ね自ら築き上げた幅広いネットワークから、スタッフより厚い信頼を得る。

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※本記事では、お店が主体的に取り組んでいるエコ活動を、お店への取材に基づいて紹介しています。

お知らせ

2011/8/11
全国農業青年連絡協議会の活動を助成しています。
2010/11/1
助成金の積み立て方法が変わります。
2010/4/1
2009年度にたまった助成金額が決まりました。
2009/4/1
みんなでできるエコ活動~助成金プログラム~が始まりました。


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