お店のエコ活動レポート

環境問題に取り組むお店の活動を取材レポートします。

安全でおいしい食材の素晴らしさを伝えたい

農薬や化学肥料をなるべく使わず、太陽と大地の恵みをたっぷりと受けて育った旬の野菜は、素材そのものの味がしっかりとしています。そんな野菜のおいしさ、そして手間のかかる有機野菜を作る生産者の熱意にまで惚れ込んだ、オーガニックレストランのシェフにお話をうかがいました。

cuisine nature Ciao Bella

cuisine nature Ciao Bella

東京都/六本木(乃木坂方面)

アルカリイオン水や手作りの海塩、無農薬オイルといった基本素材を使い、有機野菜や天然の魚介など厳選した食材の旨味を引き出す、イタリアンベースのオーガニックレストラン。アラカルトや通常コースのほかアンチエイジングコースや野菜のみのコースも用意しています(一部コースは要予約)。

ここがポイント

無農薬、減農薬の野菜を使用

無農薬、減農薬の野菜を使用

料理に使うのは農薬や化学肥料を極力使わない、有機栽培および特別栽培野菜。さらに熱意を持って質の高い野菜を作る、よい生産者を探し続けています。

エコイベントへの参加

エコイベントへの参加

12万人を動員したアースデイをはじめエコイベントに積極的に参加し、健康や環境保全などにもつながるオーガニックフードを紹介しています。

環境への取り組み

春から夏にかけて入口を覆うように茂るデラウェア。採れたてのブドウを使ったメニューも登場。

春から夏にかけて入口を覆うように茂るデラウェア。採れたてのブドウを使ったメニューも登場。

自家菜園の里芋とニューカレドニア産の天使のエビを合わせたあっさり味のテリーヌ。

自家菜園の里芋とニューカレドニア産の天使のエビを合わせたあっさり味のテリーヌ。

成田の自家菜園で、自ら旬の野菜を育てる

六本木ヒルズを見上げる大通りから、一本路地を入った閑静な住宅街に佇む《チャオベッラ》。入口を飾るアーチには夏になるとデラウェアが実り、ブドウの甘い香りが店内へと誘います。「熟したデラウェアは、デザートなどでお客様にも食べてもらっています」と語るのは、《チャオベッラ》のオーナーシェフ島田伸幸さん。健康や食の安全、環境保護につながる“自然な料理”をテーマに、料理教室やセミナーなども開催する、とってもアクティブなシェフです。

食材選びに余念がない島田さんが、特にこだわっているのが野菜。千葉県の成田に畑を借り、その菜園でできた野菜を料理に使っているほど。「20坪くらいの小さな畑なのですが、農薬や化学肥料に頼らずに農作物を作ろうとすると、野菜づくりというのは予想以上に大変ということが分かりました」と島田さん。多くても1週間に1度、定休日にしか成田まで足を運べない《チャオベッラ》の畑は、キャベツやブロッコリーなどの葉野菜を軒なみ青虫に食べられ丸裸にされてしまったこともあるのだとか。

実際に無農薬や減農薬の野菜を作っている農家では、手作業での虫取りが欠かせません。「ウチのキャベツ畑はモンシロチョウだらけで、誰のために野菜を作っているのか分からないくらいでしたよ。まあそれはそれでキレイでしたけどね」と島田さんはほがらかに笑います。それでも島田さんにとっては、農家の人々がどのように有機野菜や特別栽培野菜を作っているか、その苦労と熱意が分かっただけでも意味があったそうです。葉野菜は青虫の餌になってしまいましたが、自家菜園から大根や里芋、茄子、ピーマンなどが収穫でき、それらを使った料理はお客様からの評判も上々だったようです。

よい生産者との出会いが《チャオベッラ》のルーツ

《チャオベッラ》で使う野菜は、ほとんどが生産者連合「デコポン」のもの。デコポンは「安全でおいしい野菜を、自分たちの手で届けたい」という思いを持つ農家の人々が作った組織です。千葉県を中心に茨城県や群馬県、北海道、愛媛県など約100名の賛同者が野菜と果物を生産しています。デコポンの野菜や果物は、農薬および化学肥料を使わない、もしくは基準の5割以上を削減した有機栽培と特別栽培野菜。もともと知人の紹介でデコポンを知った島田さんは、しっかりとした野菜の旨味に驚き、何よりも手間を惜しまずに味と安全性を追求する農家の人々の情熱に感銘を受けたと言います。

「料理人としてお客様においしい野菜を食べてもらいたいのはもちろんですが、情熱を持って農業に取り組む人たちの力になりたいという思いもありました。農薬や化学肥料を使わないで農作物を作ると、余計な手間とコストがかかります。それでも豊かな土壌を財産と考え、信念を持って野菜を作っている人々を見て、自分の役割はそのおいしさを広めることだと思ったのです」

太陽の下で育てられた旬の野菜には力があると島田さんは言います。シンプルな調理法で、素材そのものの味を引き出すのが島田さんの真骨頂。「化学調味料を使いませんから、インパクトは少ないかもしれません。けれど食べ続ければ野菜のおいしさに気づくはず。味が足りないと感じたら塩で調味してもらっても構いません。まずは本物のおいしさに触れてもらうきっかけになればと思っています」

なるべく農薬や化学肥料を使わず大地の栄養分を吸収した野菜は、力のある旨味に満ちています。

なるべく農薬や化学肥料を使わず大地の栄養分を吸収した野菜は、力のある旨味に満ちています。

有機栽培のレンズ豆をつめたヤリイカと天然青ハタのソテー。有機カブと水で作ったソースで。

有機栽培のレンズ豆をつめたヤリイカと天然青ハタのソテー。有機カブと水で作ったソースで。

島田さんが厳選した大分県産の青ハタ、ニューカレドニア産の天使のエビ、北海道産の北寄貝。

島田さんが厳選した大分県産の青ハタ、ニューカレドニア産の天使のエビ、北海道産の北寄貝。

生産から加工までオーガニック製法のパスタや無農薬オリーブオイル、有機スパイスなどを使用。

生産から加工までオーガニック製法のパスタや無農薬オリーブオイル、有機スパイスなどを使用。

食材だけでなく調理に使う基本素材にもこだわり

野菜以外の食材も、島田さんが実際に食べてみて納得したものばかり。魚介類は天然ものを厳選し、季節ごとに旬の食材を取り寄せています。なるべく出身地の北海道の食材を使いたいと、道東の漁師さんとは直接契約し、朝あがったばかりの新鮮な魚介を送ってもらっています。

「一番大事なのは、よい食材を選ぶこと」という島田さんは、徹底して納得のいく食材を使い、水や塩、油などの基本素材にもこだわっています。例えば飲料水だけでなく食材を洗う水や料理に使う水にまで、雑味のないアルカリイオン水を使用。これも質の高い食材の味を最大限に引き出すための工夫なのです。

島田さんが“体になじむ料理”と表現する《チャオベッラ》の料理を目当てに、最近は妊婦さんやアレルギーを持つ人、マクロビオティック(食事療法)を実践している人など、食の安全性について意識の高いお客様が訪れることも多いそうです。「私たちがやっていること、お出ししている料理を分かってくださるお客様が増えているのは嬉しいですね」と島田さん。早くからオーガニックな食材に注目し、それを持続して提供してきた島田さんの努力が実を結びつつある証でしょう。

食の安全性と健康への意識を高める食育活動

冒頭で述べたとおり、島田さんは《チャオベッラ》で料理を作るだけでなく、料理教室やセミナーを開催し、エコイベントにも積極的に参加しています。2008年はオーガニック協会が主催するオーガニックフェスタと、「地産地消」、「旬の食材の使用」、「遺伝子組み換え食品の不使用」をテーマとしたアースデイキッチンに参加。それぞれの会場で、有機野菜を使った体に優しいオーガニックフードを販売しました。「2日間で12万5000人が訪れたアースデイをはじめ、エコやオーガニックに関心のある人は確実に増えています。そんな人々との交流も、自分たちの活動のはげみになります」と島田さんは言います。

料理教室やセミナーは、オーガニックな食材を使ったイタリア料理の作り方を中心に、食の安全性と健康も学べる場。1999年から開催している「自由が丘料理教室」では、今までに1000人以上の生徒に有機野菜を使った料理を教えてきました。ほかにもアロマテラピーを取り入れた、香りと健康がテーマの料理教室や、アンチエイジング、マクロビオティックをテーマにした料理教室などを手がけています。今年は男性向けの料理教室や、さらにエコに特化したセミナーを予定しているのだとか。

「オーガニックな食材のおいしさに気づき、知ってもらって、さらに広げていきたいという気持ちが、料理教室やセミナー、イベント参加への原動力になっています」
“食育”というと大げさですが……と前置きをして、島田さんはいいます。「結局は私が本当においしいと思うものを共有したい。そこなんですよね」

ところで《チャオベッラ》のまかない料理で一番人気なのは、毎日出る味噌汁なのだそうです。料理に使わなかった野菜の切れ端や皮を使った味噌汁は滋味にあふれ、健康にも心にも優しい《チャオベッラ》の原点といえそうです。

2008年4月19、20日のアースデイ東京では、ミネストローネとパンツアネッラを販売しました。

2008年4月19、20日のアースデイ東京では、ミネストローネとパンツアネッラを販売しました。

イベントでは有機栽培のブドウから作られたビオワインも販売。店には約20種を揃えています。

イベントでは有機栽培のブドウから作られたビオワインも販売。店には約20種を揃えています。

この方にお話を聞きました

オーナーシェフ 島田伸幸さん

オーナーシェフ 島田伸幸さん

2001年オープンの《チャオベッラ》以外に、1997年にはイタリアンの《カポペリカーノ》、2005年にはオーガニックの《アーペ》を西麻布にオープン。厳選食材を使った料理を提供するだけでなく、有機野菜や基本素材をテーマにした料理教室を開催し、食の安全と健康、環境保護の情報を広く発信する。

※本記事では、お店が主体的に取り組んでいるエコ活動を、お店への取材に基づいて紹介しています。

アースデイとは?

アースデイとは?

1970年、アメリカ合衆国ウィスコンシン州のG・ネルソン上院議員が、4月22日を「地球の日」と宣言したことが始まり。今では、民族・国籍・信条・政党・宗派をこえて、地球環境を守る意思を表す国際連帯行動として定着しています。毎年この時期になると、世界各地で地球環境をテーマにしたイベントが開催され、日本でも年を追うごとに、アースデイのイベントを開催する地域が増えています。アースデイ東京は2008年で8回目を迎え、4月19、20日の2日間で12万5000人を動員。オーガニック食材を使ったレストランが参加したアースデイキッチンや著名人による講演、ライブ演奏などで盛り上がりました。アースデイ東京2009は4月18、19日の2日間、「エネルギー」、「食」、「農」をメインテーマに、代々木公園、渋谷、原宿などで開催されます。

公式ホームページ http://www.earthday.jp/

生産者連合デコポンとは?

生産者連合デコポンとは?

見た目ばかりを重視し、大量に農薬を使ったり規格外の野菜を捨てたりする農業の現状に違和感をもった農家の人々が、「おいしく安全な野菜を届けたい」という意志のもとに集った生産者組織。扱っているのは有機JAS認証の有機栽培、または農薬と化学肥料を使わないもしくは基準の5割以下で作られた特別栽培の野菜のみ。おいしい野菜を育む土壌づくりにも手間をかける姿勢は、プロの料理人からも高い支持を得ています。

公式ホームページ http://www.decopon.co.jp/

お知らせ

2011/8/11
全国農業青年連絡協議会の活動を助成しています。
2010/11/1
助成金の積み立て方法が変わります。
2010/4/1
2009年度にたまった助成金額が決まりました。
2009/4/1
みんなでできるエコ活動~助成金プログラム~が始まりました。


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