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散りばめられたポリシー
「ラ・ボンヌ・ターブル」で食す“美味しい”フレンチ

[2015年11月04日]

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散りばめられたポリシー「ラ・ボンヌ・ターブル」で食す“美味しい”フレンチ
日本橋室町。東京駅のほど近く、青山や銀座ともまた違う伝統の香り漂う街に店を構えるのが、LA BONNE TABLE(ラ・ボンヌ・ターブル)。西麻布にあるフレンチの名店、L'Effervescence(レフェルヴェソンス)の姉妹店であり、そのフィロソフィーを汲みながらもよりカジュアルに料理を楽しめるレストランなのだが、どこか“普通”でないと評判だ。

今回はそんなラ・ボンヌ・ターブルをご紹介。

フレンチらしからぬフレンチレストラン

江戸時代から商業や文化の中心として栄えた街、日本橋。伝統と新しさが交錯するこの街に2014年にオープンした商業施設『コレド室町2』1階にラ・ボンヌ・ターブルがある。店名は直訳すると「美味しい食卓」。フランスでは美味しい料理を出す店をそう呼ぶのだという。

ラ・ボンヌ・ターブル

天井が高く開放感のある店内は、白く丸みを帯びた壁や柱、ナチュラルな木の床に梁と、シンプルで温かみを感じさせる作りだ。椅子の形などからも、やや北欧のような雰囲気を感じる。

フロアのスタッフはデニムシャツとデニムジーンズに黒いエプロンを纏って颯爽と動き、店内には70年代のロックが流れている。ジーンズにロックとくれば、こちらは欧米風だろうか。

——ここは本当にフレンチの店なのか?

なるほど、たしかに“普通”じゃない。

店内に散りばめられたポリシー

こだわり抜かれた店内について伺うと「我々のポリシーを、店内に散りばめているんです」との答え。店内の作り・サービス、その一つひとつが来るものを驚かせる。

壁にかけられた絵画

まず目に入るこちらの絵画。レオナルド・ダ・ヴィンチの代表作『最後の晩餐』をモチーフにした作品だが、この違和感に気が付くだろうか。

ラ・ボンヌ・ターブル

そう、中心にいるはずのイエス・キリストが不在となっているのだ。不思議に思っていると、マネージャーの広崎氏が「最初はちゃんとキリストがいるんですよ」と微笑んだ。

最初はいる…?

「これはキャンバスに描かれた絵画ではなく、液晶画面なんです」

しばらくすると徐々に絵が変わっていき、気がついたときにはキリストの姿がなくなっているのだという。

ラ・ボンヌ・ターブル

また表示される作品はしばらくするとこのように差し替わる。だが、こんなに大きく変化があるにもかかわらず、気がつかないお客さんもいるという。

「それぞれの絵には仕掛けがしてあります。しかし、あえて説明することはありません」と、広崎氏は語る。

サプライズがありながらも、あえて解説はなし。押し付けがましいところのない驚きの演出は、実に粋だ。

BGMと料理の融合

続いてオープンキッチンを覗く。料理人たちがきびきびと働き、オーダーの声や肉が焼ける音が飛び交っている。躍動する調理現場と、実に食欲を誘う料理の匂い。

散りばめられたポリシー「ラ・ボンヌ・ターブル」で食す“美味しい”フレンチ

この“ライブ感”をさらに際立たせているのが、BGMとして流れる70年代ロックだ。肉の焼ける音も、その匂いも、まるでひとつの音楽のように心地よい。フレンチと、迫力のあるロックは一見無縁のようだが、尋ねるとこのように返ってきた。

「流れているのは、ドラム、ベース、ギター、声という素材をシンプルに一発録りしたようなロックです。 生きていて“ライブ感”のある音楽は、素材を活かした料理や、活き活きとしている厨房、そして店内に似ていると思うんです」と。

ラ・ボンヌ・ターブル

70年代といえば、グラムロック、パブロック、そして究極のロックンロール・リバイバルでありそれまでの価値観を破壊したパンクなど、反骨心とともに「自らのスタイル」を確立させるムーブメントが多発した時代。

そんなロックに耳を傾けていると「たとえ、それが他のフレンチレストランと違った形であっても『最高だ』と思えるものだけを提供する」と、そんな強いメッセージが伝わってくるような気がした。

料理には“驚き”というスパイスを

ここで提供される料理は、どれも素材の味を活かしたものだ。素材の状態に合わせて繊細に調整された調理方法を駆使し、絶品を生み出し続けている。

ラ・ボンヌ・ターブル

メニューは2種類のプリフィクスのみ。この日のメニューは「北海道産仔牛のロースト」「たまねぎの暖かいスープと自家製ベーコン」「柿と栗のムース、春菊のアイスクリーム、ごまのおからのメレンゲ」だ。

仔牛のローストに添えられたセップ茸のソースは、一緒に味わうことで肉に深みを加えてくれる。デザートである甘い栗のムースの後に柿を味わえば、その一つひとつの旨味がより際立つ。素材の味をしっかりと感じられる味わい。そしてほんのわずかに驚きのある組み合わせ。

散りばめられたポリシー「ラ・ボンヌ・ターブル」で食す“美味しい”フレンチ

特に春菊のアイスクリームという大胆な発想には驚かされる。練り込むだけでなく春菊の葉も隠されており、鮮烈な風味に歓喜のため息が漏れる。

また、ラ・ボンヌ・ターブルにおいては、料理はすべて料理人によって席まで運ばれる。料理人からゲストへ直接料理が届けられるこの “ライブ感”により「料理とは、ひとが作った食材を、ひとが料理し、ひとが食べるものだ」という、現代において希薄になりがちな”あたりまえ”を再確認することができる。

「やりたかったのは“美味しいもの”を出すお店」

シェフの中村氏に話を伺った。

ラ・ボンヌ・ターブル シェフ

「もともと料理人を志していたわけではなく、大学生の頃に一人暮らしをしたことをきっかけに自炊を始め、料理の魅力に惹かれていきました」と話す中村氏。22歳で初めて食べたフランス料理に「日本料理にはない魅力がある」と衝撃を受け、フレンチの道を進むことになったという。

決して早いとは言えないスタートだが、その衝動は非常に強くて純粋なものだ。そうした境遇や動機が「常識」を覆していく反骨心の原動力になっているのかもしれない。

ラ・ボンヌ・ターブル シェフ

修行を積み、数々の名店を渡り歩きフレンチの腕前と感性を磨いた中村氏。「我々は“美味しいもの”を出すお店がやりたかったんです。美味しい料理をカジュアルに楽しめる……。目指したのはそれだけです」。

ラ・ボンヌ・ターブル シェフ

「常に料理のことを考えている」という中村氏。

料理へのこだわりを語るその顔は、活き活きと輝いていた。
好きなものをまっすぐに追いかける姿勢。自分を突き動かした衝動を胸に革新を続けていく。ラ・ボンヌ・ターブルに「驚き」が尽きないのは、その純粋な想いゆえかもしれない。

さいごに

——ラ・ボンヌ・ターブルはたしかに“普通”の店ではない。しかしそれは決して奇をてらった付け焼き刃の結果ではなく、最大限の“食へのこだわり”をかたちにしているだけなのだ。

“普通”という価値観が揺さぶられる、「美味しい食卓」。

ぜひ週末に訪れてみてはいかがだろうか。


ライター:照沼健太
写真撮影:堀和美

店舗情報

店名:ラ・ボンヌ・ターブル
住所:東京都中央区日本橋室町2-3-1 COREDO室町2 1F
営業時間:ランチ 11:30~15:00 (L.O.13:30)  
ディナー 17:30~23:00 (L.O.21:30) )
電話:03-3277-6055
URL:http://labonnetable.jp(公式へ)
http://r.gnavi.co.jp/gvgsgx9x0000/(ぐるなびへ)
※なお、今回ご紹介したのはランチメニューです。

※2015年11月4日時点の情報です

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土・祝前日 ディナー:17:30~24:00(L.O.23:00)
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