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残された銃痕、割れた窓。時間が止まった無人駅「国道駅」に迷い込む

[2015年11月10日]

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残された銃痕、割れた窓。時間が止まった無人駅「国道駅」に迷い込む
JR鶴見線は、横浜と川崎の間にある短い路線だ。駅も13つのみと、ローカル線好きにはたまらない。

今日は休日。時間はたっぷりある。たまにはローカル線に乗って、終着駅まで電車の旅といこう。

すると鶴見駅からわずか1駅で、突然甲高い警報音が響いた。
窓の外にあるのは、「国道駅」というプレートのさがったプラットホーム。踏切でもないのに、なぜ警報音……?

急き立てられるようにホームに降り立った。同時に外に出た乗客たちは、何事もなかったように階段に吸い込まれていく。つられるように、自分も彼らのあとを追う。

一歩足を踏み出すたび、薄暗くなっていく階下。少し悔やみながら、最後の一段を踏みしめると、目を疑ってしまいそうな光景に出くわした。

そこには、「昭和」の空間が広がっていたのだ。

時間が止まった駅へ

国道駅

無人の改札を抜けると、なまあたたかい風が頬を通り過ぎる。ゆるいカーブを描きながら、視界の端から端にかけてトンネルがじっと佇んでいた。
もちろんタイムスリップしたわけでも、異空間に迷い込んだわけでもない。ここは、正真正銘いまなお運営を続けている「無人駅」なのだ。

いまも運営を続ける駅舎内

ガード下に細長く伸びる国道駅。100mほどの空間には、じつは現在も営業するお店や暮らす人々がいる。土日でも日中は1時間に最低2本は電車が停まるため、人通りもそれなりにある。

国道下

目を引いたのは、「やきとり 国道下」。平日の夕方4時半から営業している。ガラス戸のなかを覗くと、カウンター席が10ほど。壁には、ドラマなどのロケで国道駅を訪れた俳優のサインも飾られているのだとか。

国道駅の知られざる歴史

銃痕と割れた窓

国道駅

こんなところにも人の息遣いがあるのだな。不思議に思いながら周囲を歩いていると、少しばかり“不気味さ”も感じさせるものに出くわす。

残された銃痕、割れた窓。時間が止まった無人駅「国道駅」に迷い込む

誰も住んでいない家の窓が、割れたまま放置されている。

また外壁には、無数の穴が空いていた。

国道駅

この穴、じつは“銃痕”なのだ。戦時中、米軍機の機銃掃射によってできたのだという。

——ここで人をなぎはらうように銃が乱射された。

考えるだけで、背筋に冷たいものが走る。開業以来、駅は建て替えられていないというが、その理由は戦争の歴史的事実を後世に残すためなのかもしれない。

時間に置き去りにされた駅舎内

改めて駅のなかを歩く。駅舎は、昭和の時間を残したまま存在している。

残された銃痕、割れた窓。時間が止まった無人駅「国道駅」に迷い込む

歩いていると歴史を感じさせるものを見つけることができた。

国道駅

これは、ガード下にある住宅の玄関に掲げられていた敷地の「使用票」。

使用開始日は昭和62(1987)年4月1日。
そして、注目したいのが使用終了日。
開始日から丸20年後の昭和82年3月31日となっている。

そう、当時の人々はこの2年後に「平成」がやって来ると知らなかったのだ。

国道駅

——時間が、止まっている。 そう思わざるを得ない。

国道駅周辺とその歴史

国道駅周辺にも、昭和の匂いを残すレトロな建物があつまっている。

残された銃痕、割れた窓。時間が止まった無人駅「国道駅」に迷い込む

この辺りは、幕末の「生麦事件(※)」起こった旧・生麦村のほど近くでもある。

※生麦事件とは、薩摩藩士が「大名行列を妨害された」として、イギリス人を斬りつけた事件。後の薩英戦争の原因となった。

残された銃痕、割れた窓。時間が止まった無人駅「国道駅」に迷い込む

少し遠くに目をやれば、背の高いマンションや一般住宅も数多く並ぶ。この駅周辺だけが、エアポケットのように昭和の匂いをまとっているのだ。

最後に

再び国道駅のホームに立つと、またあの甲高い音が聞こえてきた。

トンネルの上のホームもまた、ゆるいカーブを描く。警報音は、その注意をうながすものだったらしい。

電車のドアが開き、帰路につく。国道駅に降り立ったときよりも、今は日常が愛おしく感じられる。時間が止まったような空間を眺めているうちに、遠い昔から連綿と続く歴史の先に自分はいる、と実感したのだ。

お洒落な街の代表格ともいえる横浜市内にあって、昭和の匂いを残す「国道駅」。 ときには、この駅を訪れて、時代の風に触れてみてはいかがだろうか。


ライター:藤麻 迪
写真撮影:三宅 英正

店舗情報

店舗名:国道下
住所:神奈川県横浜市鶴見区生麦5-12-14
営業時間:16:30~22:30(日・祝 休み)
電話:045-503-1078
URL:http://r.gnavi.co.jp/fmznpfpg0000/(ぐるなびへ)

※2015年11月10日時点の情報です

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