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世界中のBONSAIマニアの憧れ「大宮盆栽美術館」
“生きる芸術”から日本人の心を知る

[2016年02月02日]

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世界中のBONSAIマニアの憧れ「大宮盆栽美術館」 “生きる芸術”から日本人の心を知る
――持てる限りの時間と情熱を傾けられるものがほしい。

ひと通りの経験をした今となっては、簡単には“完成しない”趣味が欲しくなった。

古くは、中国の唐の時代の壁画に描かれ、海を渡り、今や「日本らしい美」として発展を遂げてきた盆栽。

それが今、世界中で “生きた芸術 BONSAI”として高く評価されると同時に、日本でも再び注目を集めはじめている。花の都・パリの街角には花屋に並んでBONSAI屋ができ、フラワーアレンジメントの感覚で剪定を習うパリジャンも増えているという。“大自然が凝縮されたミニチュア”として今や盆栽はフランスで最新のモードになっているのだ。

今回は、世界中のBONSAIマニアの憧れの地、さいたま市大宮盆栽美術館にて、盆栽の楽しみ方に触れながら、日本の美の神髄に迫る。

審美眼を養う

大宮盆栽美術館

さいたま市大宮駅からJR宇都宮線で一駅、土呂駅から徒歩2分のところに、大宮盆栽美術館はある。
盆栽はもちろん、盆栽を引き立てる美術品や、歴史的資料もあわせて見ることができる。

大宮盆栽美術館

この地に大宮盆栽美術館ができた理由は、今から約90年前にさかのぼる。

関東大震災をきっかけとして、東京から多くの盆栽師が水と土の良い、この地に移住した。多くの盆栽園が集まり「大宮盆栽村」という集落を形成し、盆栽の聖地とまで言われるようになったのだ。
その後、さいたま市は浦和のうなぎ、岩槻の人形と並んで、大宮の盆栽を市の伝統産業に指定。盆栽の認知を広めるための観光の拠点として、2010年、大宮盆栽美術館がこの地に根をおろすこととなる。

大宮盆栽美術館

“芸術作品”である盆栽の楽しみは、まずは鑑賞から。

「知識を身につければ、さらに楽しみの幅が広がります」と話す美術館職員の橋本さんに、鑑賞すべきポイントを聞いた。

基本的な見どころは、根・幹・枝・葉の4つ。

根のどしりとした生命力

大宮盆栽美術館

「根の見どころは、“根張り(ねばり)”と呼ばれるものです。根が土を力強くつかんでいるところに生命力を感じることができます。なかでも、あらゆる方向に根を伸ばす『八方根張り』は理想の一つです」

たくましく立ち上がる幹

大宮盆栽美術館

次に、幹の“立ち上がり”だ。

天へと太く伸びる、そのたくましい佇まいに大木のような迫力を見ることができれば、良い盆栽の証と言える。

大宮盆栽美術館

盆栽の象徴とも言える松の木の、折り重なった“肌”もかなり見ごたえがある。このように重なった“肌”から長い年月に思いを巡らせる時間もまた乙なものだ。

絶妙なバランス感で広がる枝

大宮盆栽美術館

盆栽の輪郭を彩る繊細な“枝ぶり(えだぶり)”も見ておこう。
特に、葉が落ちた冬こそ、枝ぶりを楽しむには良い季節だ。左右非対称でありながら、全体としての調和を保った絶妙なバランス。
日本人は古来より不完全なものに美を見出してきた。盆栽に宿るのは、日本の“美”そのものだ。

盆栽の印象を左右する葉

幹とともに葉は、盆栽の印象を大きく左右する。同じ樹種でも、葉にはそれぞれ個性があり、おもしろい。モミジなどの盆栽にとっては、紅葉の季節も大きな見どころとなる。

調和を重んじ、空間美を楽しむ

大宮盆栽美術館

盆栽の鑑賞は木単体でも楽しめるが、一歩引いて見ると、また世界が広がる。

例えば、鉢や、卓(しょく)と呼ばれる鉢を置く台——。

これらの取り合わせ次第で全く印象が異なる。 盆栽を引き立て、引き立てられ−−。互いに存在感を増幅させつつ、1つの美となるのだ。

大宮盆栽美術館

床の間や棚など限られた空間を隅々まで意識し、盆栽をはじめとする飾りを配した空間は席(せき)と呼ばれ、さらに真(しん)・行(ぎょう)・草(そう)と呼ばれる格式の違いがある。 各部屋に合った盆栽を飾るのも腕の見せどころだ。

大宮盆栽美術館

「真」は正格。

大宮盆栽美術館

こちらの「草」はややくずした佇まい。「行」はその間に位置する。格式の違いによって飾りやしつらえも異なってくるのだ。

「和室の席においての配置のバランスは、日本人ならではのセンスかもしれませんね」と橋本さんは話す。

確かに、和室のようにシンプルな部屋は日本独特のものだ。周囲のものと調和をとるのは、日本人に長けている能力かもしれない。

大宮盆栽美術館

質素なものや何気ないものの良さも見出すことができる、わびさびの心。日本らしさがここにも見てとれた気がした。

余白に、目には見えない情景を見せる

眺めるだけでも楽しい盆栽。しかし、さらなる醍醐味は、自分の手で育てるところにあるかもしれない。

解放感のある中庭には、約50鉢の貴重な盆栽が展示されている。

大宮盆栽美術館

例えば、ここにある「花梨(かりん)」の木は、元首相の岸信介氏、佐藤栄作氏、実業家の根津嘉一郎氏が受け継ぎ所有してきたもの。日本盆栽協会の貴重盆栽第1号に認定された名木だ。

大宮盆栽美術館

他にも、大隈重信氏が保有していたという「黒松(くろまつ)」など、由緒正しい盆栽が並ぶ。

大宮盆栽美術館

きちんと手入れすれば、何百年と生きる盆栽。

誰かが手間ひまかけて育てたものを引き継ぎ、また誰かに受け継いでいく。
自分で育てられる、生き物としての盆栽の魅力を橋本さんはこう語った。

「盆栽はある意味で一生付き合い続けられる、変化し続けるアートと言えるでしょう」

変化しゆく命に寄り添い、共に時代を刻んでいく。
盆栽とは、木そのものだけを指すのではない。考え、迷い、育てる、そのすべてが紛れもなく“生きる芸術”だ。

大宮盆栽美術館

一つ、さいたま市大宮盆栽美術館を訪れたフランス人の言葉を紹介したい。

――西洋の芸術は豪華絢爛で整然としているが、日本の芸術はアシンメトリーな上、余白がある。盆栽のすごいところは、その余白に目に見えない情景が浮かぶことなんだよ。僕はこの小さな一鉢から、風の強い海辺の情景をイメージすることができる。幹と葉の余白から、海が見える気さえするよ。

余白に、目に見えない情景を想像させる。これぞ、日本人のクリエイティビティの原点だ。

最後に

絶妙なバランスによって成り立つ小さな一鉢の中に美を見出し、調和を重んじる。目に見えない情景を想像させる余白をあえて作る。
こうした“日本的”なエッセンスが凝縮されている“BONSAI”。
世界が注目する最新のモード“BONSAI”を再度見つめてみてもいいかもしれない。

施設情報

さいたま市 大宮盆栽美術館(さいたましおおみやぼんさいびじゅつかん)

住所:埼玉県さいたま市北区土呂町2-24-3
営業時間:午前9時~午後4時30分(11月~2月は4時まで)
定休日:木曜日、年末年始、臨時休館日あり
URL:http://www.bonsai-art-museum.jp/

※2016年2月2日時点の情報です

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大宮盆栽美術館の後は渋めのお食事を

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創業47年間守り続けた、手打ちそばの味を堪能
アクセス:
JR大宮駅西口 徒歩10分
営業時間:
月・水~日 昼食:11:30~15:00(L.O.14:30)
月・水~日 夕食:17:00~21:00(L.O.20:30)
定休日 :
毎週火曜日
平均予算:
3,000円  (ランチ平均:1,000円、宴会平均:3,500円)
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生簀の新鮮な魚を、釜で炊き上げた絶品のシャリと一緒に
アクセス:
JR大宮駅東口 徒歩1分
営業時間:
火~土 17:00~23:30(L.O.23:00)
日 昼の部:11:30~14:00
日 夜の部:16:00~22:30(L.O.22:00)
祝日 16:00~22:30(L.O.22:00)
定休日 :
毎週月曜日
平均予算:
4,000円  (宴会平均:4,000円)
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埼玉唯一の特許釜飯店。テレビにも取り上げられるほどの絶品釜飯を
アクセス:
JR大宮駅東口 徒歩10分
営業時間:
月~土 ランチ:11:00~14:00(L.O.13:30)
月~土 ディナー:17:00~22:00(L.O.21:30)
定休日 :
毎週日曜日 祝日
平均予算:
3,000円  (ランチ平均:1,000円、宴会平均:5,000円)
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