洗練されたシチリア料理を体得したシェフ
オーナーシェフの後藤祐司さんは、既にスターシェフの座が確約された存在だ。
いま日本イタリア料理協会の副会長を務めるイタリア料理界の重鎮、斎藤実さんの「クローチェ・エ・デリツィア」で料理人としての修業をスタートさせ、外苑前「カミネット」を経てシチリア・ラグーサの「リストランテ・ドゥオーモ」、ウンブリア・ペルージャの「オステリア・バルトロ」などを経て帰国。
白金台「ビッフィテアトロ」のシェフとして、多くの食通を唸らせてきた。
そんな後藤シェフが9月末、広尾にオープンさせた自らの城がこの「メログラーノ」だ。
メログラーノとはイタリア語で「ザクロ」を意味する言葉で、「リストランテ・ドゥオーモ」のシェフが名づけてくれたものだという。種がたっぷり詰まっているザクロはイタリアでは古くから親しまれ、繁栄や縁起の良い物という意味を持つという。
イタリアンの原点に戻る
後藤シェフが広尾の地でやろうとしているのはイタリアンの原点。
といっても小難しい話とは真逆。
近年、フレンチや北欧の影響を受けてイタリアンはストイックになりすぎたと言われるが、彼が醸したいのは「イタメシ」なる言葉が流行し、多くの人がカジュアルに楽しんだ、90年代の東京の陽気なイタリア料理店の空気。
とは言っても、カジュアルすぎるトラットリアのそれではなく、会話を重視。好きな素材を見て、客と料理人が会話しながら構成していくような世界だ。なので、アラカルトのメニューは豊富だし、メインとなる客席はカウンターだ。
供される料理は、単にイタリアの食材とか技法を使うというのではなく、スピリットが体現できているもの。いろんな食材同士、あるいは一般に「アグロドルチェ」と呼ばれる甘いものと塩分をぶつけあうというスタイルだ。
その象徴的メニューが、今年開催された第20回「日経レストラン」メニューグランプリで優勝し、こちらでもスペシャリテとして位置づけられる「北アカリ芋とタマネギのタルトタタン 黒トリュフのジェラートと温かいフォンティナチーズのソース」。自由に楽しめるハイブリッドなイメージの料理で、冷たい、温かい、塩気、甘み、硬い、柔らかいと、口の中を様々な形で刺激する料理である。
伝統的な料理からクリエイティブ一品まで、インパクトのある料理を作り、厨房と客席が一つの劇場のように、洗練された美味いもので占められたライヴ感あふれる店。
その評判を聞きつけ、既に多くのグルメが足を運んでいる。
予約が困難になる前に是非訪れておきたい。
<料理>
黒トリュフのトルティーノ1,800円、本マグロのトレネッテ2,600円、豚の色々、ちりめんキャベツ煮込み2,600円ほか、アラカルトは約35種類。
コースは5,500円~(すべて税別)
Melograno(メログラーノ)
- 電話番号
- 050-3313-7440
- 営業時間
- 月~金 ディナー:18:00~24:00(L.O.23:00) 土・祝日 ランチ:12:00~14:30(L.O.13:30) 土・祝日 ディナー:18:00~24:00(L.O.23:00)
- 定休日
- 毎週日曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。