再現された元祖まかないから鯉の名店まで

【連載】マッキー牧元の「ある一週間」 第6週  日本を代表する食道楽の一人、マッキー牧元さん。彼はどんなものを食べて一週間を過ごしているのか。「教えていいよ」という部分だけを少しのぞき見させていただく。

2015年10月24日
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再現された元祖まかないから鯉の名店まで
Summary
・海苔と柚子胡椒とパスタ
・悠久のまかない
・凄みを感じる和食
・ひたすら、鯉

9月15日「柚子と青唐辛子、奇跡の逢瀬 」

口に入れた途端、涼やかな風が吹き抜けた。
香りが、鼻腔や味蕾から汚れを落とし、清めていく。
これが柚子胡椒なのか。
9月のたった2週間、青柚子は大人になるべく成長し、青唐辛子も辛味を蓄えながら青々しさを増す。
最高な条件が整った柚子と青唐辛子の逢瀬は、たった2週間しかない。
青柚子を人に例えれば、18くらいだという。若いとまだ味も香りも薄く、19になると青々しさが抜けていく。
そのちょうど中間の18歳は、青々しさと大人の気配を合わせ持つ。
モラトリアムを抱えた柚子の無常がある。
その柚子の皮をむいて刻み、塩を振って、すり鉢でする。
青唐辛子も皮をむいて刻み、塩を振って、柚子皮と合わせ、すり鉢でする。
出来立てをひとつまみかじって目をつぶれば、柚子園に立っていた。
柚子の精と息吹に包まれる。
市販の柚子胡椒とは違う、自然の恵みへの感謝と畏怖が起こって、無言にさせられる。
「マンジャペッシェ」の清水シェフが料理に仕立てた。海苔のパスタに散らした柚子胡椒はどうだろう。
海苔の香りとうま味がねっとりとコンキリエに絡む中、柚子胡椒の爽快が追いかける。
海と山の清らかさが舌の上で抱き合い、体に滋養を与えながら浄化していく。
一方ムラングシャンティをカリッとかじれば、甘さが広がって、その甘さが弱まっていく刹那、柚子の香りと唐辛子の辛味が突然顔を出す。しかし感覚は霧のように消えていく。
あれは幻だったのか。もう一つ食べたい。しかしもうない。
それでいい。
自然なのだから。
卵かけ御飯と柚子胡椒の話はまた後で。

トラットリア マンジャペッシェ

住所
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-50-11 明星ビル1F
電話番号
050-3374-3648
営業時間
月~金 ランチ:11:30~14:30(L.O.13:30) 土・祝日 ランチ:11:30~15:00(L.O.14:00) 月~土・祝日 ディナー:17:30~23:00(L.O.21:30)(土日月の3連休の場合は日曜日を営業し月曜日を店休日とします。)
定休日
毎週日曜日 第3月曜日 ※土日祝という3連休の場合は日曜営業し祝日月曜日が店休日となります。
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/dvwjy3r70000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

9月16日「もはや飲み物」

よぉく、ぐりぐり混ぜてくださいね。
そう言って出される、自由軒の「ぐりぐりライス」。
玉葱と牛肉を炒めてデミにウースターを混ぜたソースをかけたご飯で、元々は賄いだったという。
店一番の人気料理となったが、夫婦善哉が出てからは、カレーが取って代わり、やがてメニューから消えた。
日本橋三越の催事で今日から復活、1日50食。
ハヤシライスのようでもあるが、粘度が少なく、ハヤシ茶漬けかスープハヤシといってもいいほど、じゃぶじゃぶである.
ご飯を噛むことが出来ない。もはや飲み物である
つまり時間のないまかないには、向いているのだな
隣には、いかにも三越の顧客という品のいい年配の女性。
カレーを頼み、「ウースターソースかけてみてください」という言葉に目を白黒させている。
素で食べ始め、途中でソースをたらり。
食べて納得いったのか、今度はソースを二回しもかけた。
濃いなあ。
下品でいいぞ。
「おいしゅうございました」。ぺろりと平らげ去っていった。

自由軒 本店

住所
〒539-0000 大阪府大阪市中央区難波3丁目1-34
電話番号
06-6631-5564
営業時間
11:20~21:00
定休日
定休日 月曜(祝日の場合は翌日休) ※GW・盆時期・年末年始は振替休あり
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/dz1nvs6s0000/
公式サイト
http://www.jiyuken.co.jp/

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※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

9月17日「焼きなすとニシンの関係性」

身欠きニシンを噛めば、ほろりと崩れる。
舌の上に流れた滋味は、鈍色の甘みがあって、しみじみとしみじみと生きている瞬間を考える。
焼きなすの香りとほのかな甘みは、悠久の昔からニシンと歩んできたような自然な出会いがあって、力を抜いて馴染んでいる。
「辻留」の料理には、余白がある。
うま味でこちらを凌駕しようとは考えてない、凄みがある。
その余白に我々が参加して、自分の思考を投影させる。
最近は余白のない、うま味を強制して思考を停止させる料理が多い。
だが「辻留」に来れば、「味わう」メモリをゼロにできる。

懐石 辻留

住所
〒107-0051 東京都港区元赤坂1-5-8 虎屋第2ビル B1
電話番号
03-3403-3984
営業時間
12:00~14:00、17:00~21:00
定休日
定休日 日曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/h18wd6sf0000/
公式サイト
http://www.tsujitome.co.jp/

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9月19日「鯉」

有田、龍水亭で鯉三昧

龍水亭

住所
〒849-4151 佐賀県西松浦郡有田町広瀬山甲2286-22
電話番号
0955-46-2155
営業時間
11:00~15:30 (L.O.14:30)、16:30~21:00 (L.O.20:00)
定休日
定休日 水曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/rh17zfyy0000/
公式サイト
http://ryusuitei.jp/

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