松浦達也さんが推薦。2015年私の最高の超有名焼肉店の「並」

The Best of Dish 2015 2014年11月15日から2015年11月14日までの間で賢人のみなさんと編集部員が食べた料理のなかで最高のひと皿をご紹介します。お馴染みのあの店か?はたまた隠れた名店か?みなさんにとって、2015年はどんな「おいしい」一年でしたか?

2015年12月14日
カテゴリ
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松浦達也さんが推薦。2015年私の最高の超有名焼肉店の「並」
Summary
・芸能人や政治家も並ぶというあの焼肉店
・あえて頼むべきメニュー
・注文すべき料理のサジェスチョン付き

再発見の2015年

この数年、東京には新しい「肉の名店」が次々に登場した。もちろん、評判の新店はたいていうまい。だがすでに知られた店も歩みを止めているわけではない。看板に灯りをともした回数だけ、味の土台は強くなる。

創業48年。「最寄り駅なし」「時の総理も並んだ」あの店。予約のできない、問答無用の行列ができる焼肉店だ。

「スタミナ苑」の肉のうまさについては、僕などが口にするまでもない。肉の到着を待つ時間の期待感、肉が卓に置かれた瞬間の高揚感、そして焼いた肉を口にしたときのくらくらするような多幸感。「スタミナ苑」の肉は有無を言わさず、人を耽溺させてしまう。

「スタミナ苑」で食べるべきもの

この店では注文すべきメニューは数えきれないほどある。ほぼすべての客が注文するミックスホルモンをはじめ、タンにハラミに生野菜。レバーだって外せないし、モツ自身から引き出した水分で煮込むという、驚異のモツ煮込みもある。スープにしても鶏ガラをベースにした人気のテグタンに加えて、牛テールでスープをとったコムタンだって捨てがたい。

そう。いつだって、「スタミナ苑」は頼みきれない。「最寄り駅なし」に加えて、長蛇の行列店だから、行く機会は限られる。そうしょっちゅう来られないから、つい「上」ばかりを頼みたくなってしまう。

だがラミネートされたメニューを何周か踏破すると、違う景色が見えてくる。実はこの店の凄味は、「並」にある。1300円の「並切り落とし」――「上」などに使う部位のはしっこの部分や、手間のかかる部位にもていねいに包丁を入れてある。行くたびにさまざまな味が楽しめる。今年の秋口に訪れたときの「並」もまた抜群だった。カタ周辺の肉だろう。スジが入っていて、いかにも処理が面倒そうな部位だったが、焼くと濃醇な旨みが口内にあふれだした。肉質とカットがピタリと合って、バカみたいにウマかった。

思えば今年はスタミナ苑のような凄腕の店の「ふつう」にヤラれた年だった。ふつうに店を訪れて、品書きにあるものをふつうに注文する。出されたものを口に入れて、ひと噛みすると、脳内にファンファーレが鳴り響く。そういう品が、店が大好きだ。特別扱いなど必要ない。そう思わせてくれる店に、来年もまた通いたい。

<メニュー>
並切り落とし1,300円。中切り落とし1,800円、上カルビ2,400円。ハラミは特上1,900円、上1,700円、並1,500円。上タン2,000円。ミックスホルモン1,700円。モツ煮込み1,000円など。生野菜650円も誰もが頼む大定番。ビール500円~。

※松浦達也さんのスペシャルな記事『高田馬場のとっておき酒場は、あのサイトにも載っていない「もつ煮込み」の聖域だった』はこちら

スタミナ苑

住所
〒120-0000 東京都足立区鹿浜3-13-4
電話番号
03-3897-0416
営業時間
17:00~22:30(閉店23:00)、土・日曜、祝日は16:30~
定休日
定休日 火曜、第3水曜(盆時期休、年末年始休)予約不可(行列に並んでも、全員そろうまで入店不可)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/fzmb3k4m0000/
公式サイト
http://www.sutaminaen.com/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。