余った食材が名店の味に!予約のとれない店のシェフ3人が教える、至極のまかないレシピ

2016年05月10日
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レシピ・キッチン
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余った食材が名店の味に!予約のとれない店のシェフ3人が教える、至極のまかないレシピ
Summary
1.『ラ・ベットラ・ダ・オチアイ』のまかないは"極薄切り肉"で作った「豚の生姜焼き」
2.フレンチの名店『ラ・ロシェル』のまかないは、冷やご飯を使った「ロールキャベツ」
3.『タテルヨシノ』のまかないは余った生ハムを使った「鶏のトマト煮込み」

有名レストランの「まかない飯」を、シェフ自らが大公開!
今回ご紹介するのは、『ラ・ベットラ・ダ・オチアイ』、『ラ・ロシェル』、『タテルヨシノ』と、日本のイタリアン・フレンチを代表する重鎮が営む老舗レストランばかり。
おなじみの定番家庭料理から、中途半端に余りがちな食材を有効に使った煮込み料理まで、プロならではのアイディアとひと手間で、簡単なのに格段においしい一皿が完成。

誰もが唸る絶品まかないメニュー、ぜひご家庭でも再現してみて。

1.肉の選び方とタレの絡め方がポイント!イタリアンの巨匠が作る「豚の生姜焼き」

銀座一丁目の『ラ・ベットラ・ダ・オチアイ』は、”日本で最も予約が困難なレストラン”としても有名な超一流イタリア料理店。オーナーシェフを務める落合務さんは現・日本イタリア料理協会会長であり、テレビや雑誌などにも数多く登場するなど幅広く活躍をしている。

そんな落合シェフに教えていただくまかないレシピは、意外にも「豚の生姜焼き」。
ジューシーに仕上げるポイントは、極薄切りの豚バラ肉を使うこと。さらに、肉をタレに漬け込まず、後からかけることで、焦げずに香りの良い、汁だくでやわらかな生姜焼きに仕上がる。
「好きなものを食べて楽しむ」。その言葉をモットーにまかないの時間を楽しむ落合シェフならではの、素材のおいしさを追求したシンプルな逸品。

▼作り方
①フライパンにサラダ油小さじ1を熱し、まずはタマネギをしんなりするまで炒める。
②サラダ油小さじ1と豚バラ肉(極薄切り)を加え、7~8割火が通ったら、タレの材料(酒、醤油、みりん)を入れる。
③最後に生姜の絞り汁を加えてよく和え、火を止める。キャベツと共に盛り付ければ完成。

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2.つなぎに使うのはなんと冷やご飯!鉄人シェフの味を引き継ぐ「伝統のロールキャベツ」

フレンチレストラン『ラ・ロシェル』のオーナーシェフは、“料理の鉄人”としても知られる坂井宏之さん。「料理は、目で楽しませ、食べてさらに美味しさを感じさせることが大切」という坂井シェフの教えを元に、現在では3店舗の総料理長として『ラ・ロシェル』の味を守り続けているのが工藤敏之シェフだ。

今回、工藤シェフにご紹介いただいたのは「ラ・ロシェル伝統のロールキャベツ」のレシピ。肉のつなぎには水洗いをした冷やご飯を使い、チキンブイヨンを混ぜ入れることでジューシー&ふっくらとした食感に。干しシイタケやベーコンのうまみが凝縮されたトマトベースのスープもほっと落ち着く味わい。

▼作り方
①ボウルに合挽き肉、水洗いをした冷やご飯をさっくりと合わせる。ケチャップ50ccを入れよく練り合わせる。
②さらに冷やしておいたチキンブイヨンを少しずつ加えながらよく練る。塩、黒胡椒で下味をつける。 
※水分が入ることで、やわらかくなる。
③茹でておいたキャベツで包み、鍋にしきつめる。ローリエをのせる。
④「スープ」を作る。タマネギ・干しシイタケをソテーし、香りが出てきたらケチャップ、トマトペースト、チキンブイヨン、3cm幅に切ったベーコンを加える。 
※ベーコンを入れることで香りがでる。
⑤③の鍋に④のスープを注ぎ入れ、火にかける。沸騰したら弱火にし、落とし蓋をして30~40分ほどコトコトと煮込む。
⑥お皿に盛り付け、スープをかけて完成。
※お好みで温野菜を添える。
※煮込みは一度冷まして再加熱すると、うまみが増す。事前に作っておき、食べるときに温めると、よりおいしくいただける。

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3.生ハムの新しい活用法!塩気とうまみが引き立つ「鶏のトマト煮」

銀座の中心地にあるビル12階、吹き抜けを活かした”空中のレストラン”のような空間が開放的な『タテルヨシノ』は、言わずと知れたフレンチの名店。
オーナーシェフの吉野建さんが創りだす華麗かつ力強い料理は、自然や風土に逆らわず、大地の実りをそのまま皿に盛り込んだような、「テロワ(大地)の料理」がコンセプト。

今回、吉野シェフに教えていただいたまかないレシピは「鶏のトマト煮バスク風 バターライスと共に」。
味の決め手になっているのは、煮込み料理に使うイメージのない生ハムを使用すること。生ハムそのものに塩気とうまみが凝縮されているので、それだけで味のアクセントになるそう。メインとなる鶏モモ肉はフライパンでよく焼き、煮込む時はサッと火を入れる程度にするのがやわらかく仕上げるポイント。
バターライスと一緒にいただけば、トマトソースの甘酸っぱい味わいのあとにバターの風味が口の中いっぱいに心地よく広がる。
生ハムは細かくカットして煮込み料理に使うことで、活用の幅がぐんと広がるのでぜひ参考に。

▼作り方
①「鶏のトマト煮」を作る。煮込み用の鍋にオリーヴオイルを入れ、千切りにした赤パプリカ、薄切りのタマネギ、みじん切りにしたニンニクを炒める。さらに種を取ったトマトホール、白ワイン、ブーケガルニを加える。
②フライパンにオリーヴオイルを加えて火にかけ、半分に切った鶏モモ肉を皮目からきつね色に焼く。焼けたら①に入れ、食べやすくカットした生ハムも入れる。
③「バターライス」を作る。バターを半量入れ、みじん切りにしたタマネギ・ニンジンと米を炒める。ブイヨンを入れて蓋をして180度のオーブンで15分焼く。炊き上がったら残りのバターを入れて混ぜ合わせる。
④②の鶏モモ肉が柔らかくなったら取り出し、ソースの味を塩・コショウで整える。
⑤皿にバターライスと鶏肉を盛りつけ、ソースをかけ、パセリとピマンデスペレット(なければ唐辛子)をかけて完成。

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意外な食材を使ったり、調理手順を工夫したり、名店のシェフが創り出すまかないには、食材を知り尽くしたプロならではの技がたくさん。しかも、「まかない」であるため、簡単に再現ができる、シンプルな調理工程なのも嬉しい。

シェフの料理への愛情と秀でた技が感じられる「まかない」をマスターすれば、忙しい日でも手間なくおいしい逸品がつくれるように。プロのアイディアと技を、まんねりになりがちな献立の“スパイス”として取り入れてみてほしい。



【記事提供元】
プロから学ぶ簡単家庭料理「シェフごはん」
「豚の生姜焼き」レシピ
「ラ・ロシェル伝統のロールキャベツ」レシピ
「鶏のトマト煮バスク風 バターライスと共に」レシピ