【ツウしか知らない!】新宿のど真ん中で見つけた昭和な空間でイキな料理と酒を味わう

【連載】小石原はるかの「いま、飲みにゆきます」 九軒目  トレンドに詳しく、「東京最高のレストラン」から「東京カレンダー」などに至るまで、引っ張 りだこの小石原さん。そんないろんな店を知り尽くした彼女が愛している店とは?ホントの、いい店うまいい店に飲みに行っていただく。

2016年05月08日
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【ツウしか知らない!】新宿のど真ん中で見つけた昭和な空間でイキな料理と酒を味わう
Summary
1.あの、新宿アルタ裏で31年の老舗
2.エレベーターで7階に上がると現れる昭和空間
3.外国人客を連れて行けばアガること間違いなし!

“今どきおしゃれタウンに点在する小規模&予約困難な人気店を重点的に回遊してグルメな生き様をSNSに残すことに精を出しているタイプの人あるある”として、常々気になっているのが「渋谷・新宿・池袋といった昔からのターミナル駅の飲食店をいっしょくたにして“格下”っぽく言う人、多くない?」であります。

確かに、大手チェーン店が幅を利かせていたり、若者のグループの飲み会利用が多くて落ち着けなかったり、そういう傾向はイナメナイ(©山崎まさよし)。とはいえ! だからこそ! 光り輝く宝石が隠れていることだってある! そこのほっこりグルメに一言物申す!(©江頭2:50)

と荒くなった鼻息を沈静化させつつ、ご紹介したい宝石のひとつは、「世界一乗降客数が多い駅」としてギネスにも認定されている新宿駅至近にございます。新宿通りと靖国通りに挟まれた飲食店過密地帯の一角。1982年10月4日から2014年3月31日まで、足掛け31年にわたり、タモリさんが正午に“お昼休みはウキウキWACHING(©伊藤銀次)”と歌い踊っていた、あの「新宿アルタ」の裏手にある『サントリーラウンジ昴』です。

青白き頬のまま我は行きたい……、すなわち、谷村新司の名曲「昴」を思い出さざるを得ない店名ですが、さらばと言ってはなりません。エレベーターで7階まで登って! そして入って! ドアが開いた時に、いかにもDIYな感じで貼りつけてある来客を知らせるベルがチリンと鳴るのも聞き逃さないで! 

一歩足を踏み入れれば、昭和にワープだ!(©CRAZY KEN BAND)な雰囲気で、贅を凝らしていることは説明せずとも一目瞭然な空間ですが、この際懇切丁寧に説明しますと、まず、壁に使われているのは楡の木。板目模様が美しく、なんとも上品な印象です。

幅が80センチとゆったりとしたカウンターの天板は透明なアクリル。そして、その中には金箔押しをした江戸友禅が敷きこんであるという手の込みよう。通常、友禅の反物の幅は約38cmと決まっているところ、カウンターの幅に合わせて特注の機を作るところから始め、6人の職人が2ヶ月半かけて仕上げたんだそう。

しかも、天板がアクリル板なのは、ガラスだと青みがかってしまい職人さんチーム渾身の手描き・手染めの美しさが伝わらないから、という理由。全米に泣いてほしいレベルの細やかさです。

さらには、バックバーのガラス扉には、銀座の画廊から原画を貸してもらって図版を写したという葛飾北斎や喜多川歌麿の浮世絵がエッチングしてあったり、その中にはかつてサントリーが折々にリリースしていた“趣向を凝らしすぎてどう見てもボトルに見えないウイスキー瓶”コレクションがずらりと並んでいて圧巻だし、シャンデリアやペンダントライトもいずれも特注品……、もうため息しか出ない!

ちなみにこちら、タモリさんが「ALTA」に通い始めて2年8ヶ月目の、1985(昭和60)年1月1日開店。
今年で31年を迎えます。

池袋で60年の歴史を誇る『ヘルメスワインコーナー』と、同じ新宿で一足お先に開店している『サントリーラウンジ イーグル』と、実は同系列。いずれの店舗も、世界観のある作りこんだ内装と、王道バーとしてのアルコールの充実ぶり、そしてバーでありながらそこいらのレストラン顔負けの本格的なフードメニューが揃っているところが共通項です。

それは、進駐軍で料理人を務めた後大学に進み、在学中に留学費用を貯めるために『ヘルメスワインコーナー』を開いたところ評判になってしまったというオーナーの、豊かな想像力とフロンティアスピリットの賜物。たとえば、ここ『昴』は、「今後ますます東京を訪れる外国人が増えるはずだから、和の美しさを感じてもらえる店を作ろう」というのが創業時のコンセプト。その予感、ばっちり的中してるし!

グルマン(大食漢!)的にはフードメニューのご紹介に、つい重きを置いてしまいますが、境港から直送されたカニミソにバター、隠し味のブランデーなどを混ぜ込んだ「洋風カニミソバター」に、オリジナル胡麻味噌添えの「野菜スティック」、男爵いもを鳥の巣のように形作ったバスケットに盛られ、紹興酒が香る「牛肉と野菜の四川風(1978年創作!)」、厚いフィレ肉とデミグラスソース、パリッとした葉野菜を挟んだ「特撰ステーキサンド」などなど、食べたいものが大杉漣。

「ビーフストロガノフ」「春巻」「厚切りハムステーキ」「エビグラタン」「レーズンバター」「ベイクドアラスカ」etc.……。あゝ、料理名を羅列するだけでも、笑みがこぼれてしまう(※現在某コーヒーチェーン店にてこの原稿を書いているため、傍からみると要注意人物状態かと思われます)。

また、長きに渡るサントリーとのパートナーシップにより、ウイスキ―各種がスペシャルプライスなのも、覚えておかなくちゃ(©嶋浩一郎)な情報です。バランタインやティーチャーズが250円、オールド390円、白州や山崎だって630円。実は私、残念ながらウイスキーはあまり嗜まないのですが、確実に耳寄りなことはわかります。

四季ごとのフレッシュフルーツを使ったカクテルも、創業当時からの大切な名物。ライム、グレープフルーツといった輸入の果物が貴重品だった時代から、コンクジュースなどは使わず、生搾りで。デパートや専門店を駆けまわって確保に努めていたという時代には、今以上に贅沢な味わいだったことでしょう。

ベテランのバーテンダー諸氏の落ち着いた接客も心地よく、ターミナル駅のそばにある夜の終着駅として、これほど全方位的にクオリティの高いお店も、そうはありますまい。

ちなみに先日、新宿駅南口にオープンした大型商業施設でNEW!とオサレの氾濫っぷりにすっかり当てられてしまい消耗した状態でこちらを訪れたところみるみる魂が蘇りましたので、皆様も是非お試し下さい!

<メニュー>
洋風カニミソバター 880円
牛肉と野菜の四川風味 1,350円
特撰ステーキサンド 1,950円
季節のフルーツカクテル 1,260円

サントリーラウンジ 昴

住所
〒160-0022 東京都新宿区新宿3-25-9 新宿モアビル7F
電話番号
03-3350-8800
営業時間
17:30~L.O.24:00
定休日
定休日 無休(12/31~1/3除く)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/g285801/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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あおい有紀
フリーアナウンサー/和酒コーディネーター
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