渋谷駅からJR山手線の線路に沿って代官山方面へ歩いて10分ほど。駅前の雑踏を抜けた静かな住宅地“渋谷区・猿楽町エリア”がいま、隠れ家カフェをはじめ、熟成肉バルなど流行りの店や、「ここは関西？」と思わせるほどローカル感漂うたこ焼き店、終日おしゃれな若者や外国人が出入りする本格ニューヨークピザの店など、個性派店が揃う楽しい穴場スポットになっている。
そんな隠れたスポットにまた一つ、異国の新店が登場した。2016年5月28日にオープンしたばかりの、ニューヨーク発キューバ料理店『Café Habana TOKYO（カフェハバナ トウキョウ）』だ。
一面青色に覆われた一際目を引く店構えは、カリビアンブルーの海を思わせる。壁面にはキッチンカーの運転席で、とうもろこしをかじっている忍者が描かれているが、これがこのお店の名物「グリルドコーン」だ。ニューヨークではミュージシャンやモデル、ハリウッドセレブ達に愛されている看板メニューだという。
コーンの甘みにチーズのコクがベストマッチ！ほんのりピリ辛な名物「グリルドコーン」
“焼きとうもろこし”は日本人にも馴染み深い。しかし、同店で提供される「グリルドコーン」は、日本の焼きとうもろこしのイメージとは程遠い、黄色い粒が見えなくなるくらいたっぷりのチーズで覆われた、個性的なルックスだ。
『Café Habana TOKYO』オーナーの清水直樹さんは「ニューヨークで初めて出逢って、この見た目に衝撃を受け一目でファンになった」と話している。
フレッシュなとうもろこしは、じっくりと火入れされていてそのまま食べても充分なほど甘みが強く、たっぷりとかかったチーズによって濃厚でコク深い味わいに。お好みで量を調整できるチリパウダーがピリッと辛く、添えてあるライムを絞ることで、一気に爽やかな風味になり、味の変化を楽しむことができるのが新鮮だ。
とうもろこしを丸々一本使い、ボリューム満点な「グリルドコーン」はハーフサイズも提供。串に刺さっているからワンハンドで食べやすく、テイクアウトもできるから食べ歩きにもぴったりだ。
自家製ローストポークの旨みあふれる、キューバ名物のホットサンド「クバーノ」
もうひとつの看板メニューが、キューバ名物ホットサンドの「クバーノ（キューバサンドウィッチ）」。
『Café Habana NEWYORK』店の味を再現したいという本国のオーナーSean Meenan（ショーン・ミーナン）さんのこだわりから、ニューヨーク店で使うパンと同じ味を出せる業者を探しまわって完成した東京店オリジナルの“キューバンブレッド”を使用。
サンドウィッチ定番の具であるハムとチーズに、ピクルス、ニューヨーク店のマリネソースにつけて焼いた自家製ローストポークを挟んでプレス。同店メニューのお約束である、メキシコ料理ではおなじみの燻製した唐辛子入りマヨネーズ「チポトレマヨネーズ」が味のアクセントになっている。このソースは一般的なマヨネーズと比べてコクがあるため、甘辛く味付けされた肉の旨みをひきだしてくれるのだ。
他にも日本の照り焼きとまったく違った味わいのサンドウィッチ「照り焼きチキン」や、清水さんが生まれ育った静岡県の焼津港から取り寄せたマグロを使った「グリルドガーリックツナ」、デザートメニューもニューオーリンズで大人気のお菓子「ベニエとピニャゴラーダクリーム」や、キューバンブレッドで作られたプリン「ブレッドプティング」など幅広くラインナップ。
（※写真は試食会の特別メニューになるため、実際に提供されるスイーツより小さめです）
フードメニューはどれもボリューム満点なので、みんなでシェアして食べるのがおすすめ。陽の光が差し込んで気持ちがよいガラス張りの大きなソファ席で、ワイワイいただきたい。
合わせるドリンクも、キューバ名物が揃う。現地に合わせガラスのトールグラスで提供される「カフェ・コン・レチェ」は、エスプレッソに温かいミルクがたっぷりと注がれたカフェラテのようなホットドリンク。キューバの朝食にはかかせないお砂糖たっぷりのエスプレッソコーヒー「カフェ・クバーノ」もチェックしておきたいメニューだ。
他にもフローズンモヒートを中心に、色鮮やかな東京オリジナルレシピのカクテルや、ビール、赤ワイン、白ワイン、ソフトドリングも取り揃えている。「ちょっと一杯飲みたい」なんて時には、是非店内のバーカウンターでいただきたい。
サマソニ運営会社社長が仕掛ける、食×音楽の新たなカルチャーの発信地
『Café Habana TOKYO』のシンボルカラー、青と黄色を基調とした店内では、キューバの偉人や伝説のロックスターたちの大きなイラストが目を引く。
壁に描かれているのは、清水さんが好きなアーティストたち。実は清水さんは、サマーソニックをはじめ数々の音楽フェスを運営している会社の代表取締役社長で、海外から大物アーティストを来日させる有名プロモーターだ。
「アーティストの発掘をするためにニューヨークを訪れた15年前。お気に入りのライブハウスがあったのがノリータという街。おしゃれで個性的な店が立ち並ぶこのダウンタウンで『Café Habana NEWYORK』と出逢いました。地元の人に愛されている気取らない雰囲気が心細い自分を温かく迎えてくれ、仕事帰りにひとり、当時では珍しかったキューバ料理を食べた思い出があります。カフェハバナの料理は、『これから頑張らないと! 』と励ましてくれた味なんです! いつか自分もカフェハバナのような店を日本にオープンしたいと思っていましたが、まさか、実現できる日が来るとは! 」と嬉しそうに話してくれた。
ショーンさんが日本出店を快諾したのも、清水さんの熱い想いが伝わったから。「来日してロケハンに行ったとき、これ以上良い場所はないと思うほどこのエリアが気に入りました。ハイブランドな店もあればローカルな店もある。若者やアーティスト、ビジネスマンが行き交う駅前から少し離れると閑静な住宅地。渋谷の街は僕が生まれ育ったマンハッタンと似ていたのです。人が集まる場所が大好きな僕は“食”でそのような環境を作ってきました。“音楽フェス”を開催し、人が集まる場所を作ってきた清水さんとは共通点を感じ、このたびオープンへと至りました」。日本初出店に至った想いをショーンさんはこう語ってくれた。
“悪友”と呼び合う二人が創り出す新しいカルチャーの誕生
この場所でお店をやろうと決まり、二人が近くのたこ焼き店『天風』へ入った時のこと。初めてたこ焼きを食べるショーンさんは、できたてのたこ焼きを口に入れた瞬間、あまりの熱さに大慌て! 店内中が爆笑に包まれたという。火傷しそうなたこ焼きがふたりに同じ想いを抱かせた。「目指すのは、気取らない居心地の良い店」。そんな二人の想いが一つになった記念に、そのたこ焼き店の壁にはふたりのネームカードが貼り付けられているという。
そんな『Café Habana TOKYO』の地下には、ライブ＆イベントスペースが近くオープン予定。マンチェスターの老舗クラブ『Sankeys（サンキース）』を、日本に初上陸させる。ただし店名は、清水さんが一番に愛したDavid Bowie（デヴィッド・ボウイ）の曲名にちなんで『SPACE ODD（スペイス・オッド）』。週末の夜は、コアなハウスミュージックをはじめ、テクノ、アンダーグラウンドミュージックが楽しめる空間へ変わる。
450名を収容できる地下の大フロアではライブやイベント、ショー、パーティが行われ、そして1階でキューバ料理を楽しむ。食と音楽がコラボレーションしたこの新スポットは、新しいムーブメントの発信地となりそうだ。
「ニューヨークで僕がカフェハバナをはじめて20年が経った。今、5歳になる息子を20年後、ここへ連れてきて一緒に酒を飲みたい」。地元に根強く愛される店を創り上げてきたショーンさんは、東京店へ大きな期待を抱いている。今度は清水さんが日本でその想いを繋ぐ番だ。どんな店になっていくのか、楽しみで仕方がない。
（文・取材/植木祐梨子）
【メニュー】
グリルドコーン：700円（ハーフサイズ：400円）
クバーノ（キューバンサンドウィッチ）：1,400円
照り焼きチキン：1,200円
グリルドガーリックツナ：2,100円
ベニエとピニャゴラータクリーム：800円
ブレッドプティング：800円
カフェ・コン・レチェ：650円
カフェ・クバーノ：600円
※価格はすべて税込
Café Habana TOKYO （カフェハバナ トウキョウ）
- 電話番号
- 03-3464-1887
- 営業時間
- 11:00〜23:00（L.O.22:30）
- 定休日
- 定休日 無休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
