これも塩辛なの? 20種類の珍しい塩辛が揃う銀座「シオカラバー」で珍味と銘酒の究極のペアリング

2016年11月16日
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これも塩辛なの? 20種類の珍しい塩辛が揃う銀座「シオカラバー」で珍味と銘酒の究極のペアリング
Summary
1.日本の銘酒を豊富にラインナップする塩辛バー
2.全国各地から集めた塩辛や珍味は20種類を用意
3.銀座二丁目にひっそりと佇む大人の隠れ家バー

夜の銀座二丁目。中央通りから1本入った路地裏に白い暖簾を控えめに掲げる店がある。寿司屋を彷彿とさせる凛とした佇まいに誘われるように、ほの暗いアプローチを抜けて地下へ。ワクワクを胸に小さな扉を開けると、地下らしからぬ天井高の和空間を磨き抜かれた木のカウンターが貫いた、隠れ家と呼ぶに相応しい空間が広がる。

ここは塩辛を中心に珍味を柱に据えた『銀座shiokara』。豊富なアテを希少な日本酒や各種焼酎・ウイスキーが盛り立てる。

ラインアップはベーシックな「いかの塩辛」から「たこまんま(たこの卵の塩辛)」、「莫久来(ホヤとこのわたの塩辛)」、「鮑の塩辛」、「潤香(鮎わたの塩辛)」など、全国各地から取り寄せたもの20種類。塩辛には一家言ありな人も、この品揃えを見れば慎ましくなること請け合いだ。では、店長の木本俊さんにペアリングしてもらった日本酒とともに一部を紹介しよう。

噛むほどにうまみが増す塩辛の数々

先鋒には本場・富山から取り寄せた「いかの塩辛 黒造り」を。日本海の荒波に揉まれて育ったいかの身はとびきり甘く、肝臓と墨を合わせた熟成発酵の味わいは予想以上に食べやすい。舌はまろやかなコクに包まれ、噛むほどに柚子皮も加わった独特の香りが鼻腔を通過する。そこへ蔵内で約2年の熟成を重ねた山形の銘酒「ばくれん」吟醸酒 超辛口+20を流し込めば、ほのかな酸味とキレが甘みもコクも消し去り、一連の幸せをまた初めから体験できるうれしい算段だ。全国の特約店の中でも約10店しか取り扱わない限定酒でもある。

続いては石川産「白魚の塩辛」。うっとりするほど美しい乳白色の身は「待ってました」とばかりに口中で溶け、クリーミーな余韻が膨らむ。重ねる日本酒は対極タイプを。たとえば、岡山県倉敷・児島の銘柄「多賀治 山廃純米 雄町」。山廃ならではの香りと雄町米らしいうまみ、そして目が覚めるほどクリアな味わいが白魚との鮮明なコントラストを描き出す。

舌がこなれたところで、少し塩気の強いものへ。新潟産「たらこの塩辛」は口に含んだ瞬間、輪郭のはっきりとした塩味がダイレクトに味蕾を刺激。うずらの卵黄に軽くくぐらせ、きゅうりに乗せれば塩気がマイルドになり、一層食べやすくなっていく。これに合わせたいのが、島根を代表する『王禄酒造』の希少銘柄「丈径(たけみち) 純米吟醸」だ。東出雲町産山田錦を使用した微発泡酒で、フルーティーな甘みと酸味の好バランスな味わいがたらこの塩辛にぴったり。口の中でのまとまりが最高潮に達し、塩辛→酒→塩辛→酒……と、箸がとまらなくなるペアリングだ。

銘酒と珍味の調和を楽しもう

塩辛いものばかりではない。一説には日本三大珍味のひとつに数えられる「潤香(鮎わたの塩辛)」は、舌に乗せるや内臓独特の鮮烈な苦味に襲われる。しかし、この苦味こそ潤香の醍醐味。愛媛の地酒「石鎚 純米吟醸」を重ねれば、まあ不思議。35日超の長期低温発酵が生む淡麗な味わいが苦味の角を取り、食中酒としてこの上ない役割を果たすのだ。

仕上げは「ふぐの子(卵巣)の糖漬け」を薄切りの大根に乗せていただく。肝同様に猛毒を含むふぐの卵巣だが、2年以上糖漬けすることで毒が消失し、チーズを思わせる濃厚なコクがたまらない絶品の珍味に変身する。こちらはバランスに優れた富山の「羽根屋 特別純米瓶燗火入れ」をぬる燗で。1回の火入れで生詰めした日本酒で、さらりと飲みやすい口当たりが糠漬けのコクと相性上々だ。

なんと贅沢な塩辛打線なことか。チョリソーをビールで流し込んだときの幸福も、鶏レバーコンフィのねっとりしたうまみにフルボディの赤ワインを重ねたときの甘美な瞬間も重々承知しているが、ここにいるとこの世で一番の酒泥棒は塩辛という気さえしてくる。一度知れば虜になること必至。その証拠に、銀座の一等地に構えるバーには珍しく宵の口から訪れるお客も少なくないという。じっくり腰を据えて楽しみたい一軒だ。

(取材・文/井上こん)

(メニュー)
いかの塩辛 黒造り 590円
白魚の塩辛 680円
潤香 790円
たらこの塩辛 600円
ふぐの子の糖漬け 960円
日本酒各種 グラス 590円~/1合980円~
※価格は税抜

銀座 shiokara

住所
〒104-0061 東京都中央区銀座2-7-7 銀座ロビーB1
電話番号
03-3538-5323
営業時間
月~土・祝前日 18:00~翌3:00(L.O.フード翌2:00/ドリンク翌2:30)
定休日
日・祝日(祝前日の日曜は営業)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/dvvehncx0000/
公式サイト
http://www.ginza-shiokara.com/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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あおい有紀
フリーアナウンサー/一級フードアナリスト/酒サムライ/唎酒師/焼酎唎酒師
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