懐石10皿コースが8,000円から!『嵐山吉兆』ほか世界の領事館で活躍した名職人の料亭が京都に誕生

2017年04月27日
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懐石10皿コースが8,000円から!『嵐山吉兆』ほか世界の領事館で活躍した名職人の料亭が京都に誕生
Summary
1.『嵐山吉兆』や『NOBU』ほか、 各国の領事館などで活躍した料理人が独立
2.400余年の伝統を誇る京野菜農家『樋口農園』の野菜をベースにした懐石コース
3.築140年の日本家屋をリノベーションした趣深い空間で堪能できる

観光客が足しげく訪れる世界文化遺産「金閣寺」から少し北に足をのばしたところにある京都市北区鷹峯。周辺には、世界の芸術に大きな影響を与えたといわれる本阿弥光悦ゆかりの名所「源光庵」や「光悦寺」などがある。その一角に、2017年1月28日、誕生したのが日本料理店『むろい』だ。

『むろい』の目の前には、京都の有名料亭やレストランのシェフが野菜を仕入れに来る京野菜作りの第一人者であり、400余年の伝統を誇る『樋口農園』がある。『むろい』の店舗は、元々こちらの『樋口農園』が所有する築140年の家屋を改装したものだ。

古い梁や柱、建具がそのまま生かされた趣深い空間に、美しい白木のカウンターが配されている。そして、カウンター越しに見える厨房から料理をふるまうのが、店主の室井茂さんである。

名料亭や世界の領事館で料理人を務めた店主が独立オープン

郷里の栃木を18歳で離れて、料理の道へ。『京都吉兆』(嵐山本店)で修業を積んだのち、ドイツ・ハンブルグ公邸料理人、カナダ・オタワ大使館公邸料理人、イギリス・ロンドンの日本料理店『NOBU』、ハンガリー・ブタペスト『NOBU』料理長、イタリア・ミラノ『アルマーニNOBU』副料理長、マルタ共和国『禅レストラン』総料理長を務め、世界各国のグルメ通を相手に、室井シェフは活躍してきた。帰国後『井筒安 旅館』料理長を務めたのち自身の店を構えることになった。

「様々な国で培った技術を『むろい』の料理に表現していきたい。和食はこう!というように既成概念にとらわれず、和食の技術を基本に外国のエッセンスを取り入れた独自のスタイルを確立したい。また樋口さんのお野菜をふんだんに使用し、お客様に喜んでもらえて、かつおいしいものを提供したいという気持ちをベースに、“和”を表現していきたいと思っています」と室井シェフは語る。

その想いは、一つひとつの素材選びからこだわる。例えば、料理の要となる樋口農園の野菜は、毎朝自ら畑に足を運び、その日の状態を見てチョイスする。さらに、「土から離れると味がどんどん変わってしまう」ため、野菜によっては調理する少し前に採りに行くものもあるという。また、だしや米を炊く水、お茶に使う水は、毎日京見峠まで、『杉坂の船水』と言われる天然水を汲みに行き使用している。「超軟水のまろやかな味が特徴。これを使うことで丸みのある優しい味に仕上がるんですよ」と室井さん。

自然の風景を切り取ったような和食懐石

では、全10品が堪能できる「和食懐石コース」(8,000円)のコースから抜粋して、『むろい』の世界をご紹介していこう。

まずは「遊びで作りました」とにこやかな室井さんの笑顔と共に供されたのはデザート感覚の一皿(写真上)。土味がそのまま表面に残った備前焼の器に、ホウレン草の小豆餡、甘く炊いた人参、炙ってパリパリに仕上げた人参の葉がのせられている。

一瞬、“鉢の上の小宇宙”とも言われる盆栽かと見間違うよう。畑ですくすくと育つ風景が切り取られ、室井さんの技術とセンスで細やかに表現されている。ホウレン草や小豆、ニンジンの甘みが口の中に優しく広がり、これから始まるコース料理への期待も高めてくれる。

八寸(写真上)は、クレソン、フキノトウ、スイトウの天ぷら、サンマの味噌煮、フキノトウ味噌、フキの葉じゃこ和え、甘く煮た金柑、ブリのスモーク、鴨のすり身、ホウレン草で巻いたカキの田舎煮、ホタルイカの燻製、イワシの南蛮漬、京都大学・京都市・生産者が京北地域の特産作りのために共同で開発したみずき菜を白味噌と合わせたものなど多彩だ。

京都で掘り出した土を使って、オリジナルの炭窯で焼きあげる陶芸家・清水志郎さんが手掛けた、荒々しさが持ち味の器に盛りつけられおり、まるで土の上に植物が芽吹いたような春の息吹を感じる一皿となっている。

『樋口農園』から採ってきたばかりの野菜も使用

お椀は、調理の30分前に『樋口農園』から採ってきたばかりという蕪、原木シイタケ、筍、春菊、水菜の花が使われている。蕪は、しっかりと煮込まれてホクホクとした優しい食感。京見峠の水と昆布、マグロ節でひいた、雑味が全くない丸みのあるだしと一体となって、甘みと深みを感じさせながら口やお腹の中に広がっていく。

丸大根、西洋人参、紫人参、金時人参、蕪の葉を使った炊き合わせは、お椀と同じだしで仕上げているものの、蕪や3種の人参の甘みがたっぷりと染み込んで、甘みをしっかりと感じる一皿となっている。

ラストの水物の前に、食事として供されるのは白ご飯。米は『樋口農園』がこだわり抜いて作った米を使用。土鍋で時間をかけて炊きあげられており、ひと粒ひと粒がしっかりと立ち、艶々と輝き、ほどよい甘みと粘りは、噛みしめるほどに美味だ。

香ばしい香りとサクサクとした食感が持続する揚げ餅入り味噌汁、自家製のお漬物(この日は、白菜、高菜、菊芋、赤大根)など、ご飯のお供も添えられているのでお腹がいっぱいにもかかわらず、つい「おかわりください!」と言いたくなる。「白ご飯は冷めても食味が低下しないので、おにぎりにして皆様にお土産に持って帰っていただいてます」とうれしい情報も。

食事の楽しみを一層広げてくれるのが、室井シェフが厳選した日本酒。例えば、京都・向井酒造「伊根満開」は、ロゼワインのような色をした日本酒だ。古代米の赤色が美しく出ており、味わいはまるで果実酒。他、室井さんの地元である栃木県から菊の里酒造の「大那」なども用意。どれも、野菜本来の味が活きる『むろい』の味と一緒に楽しむことができるラインナップだ。

現在はカウンターのみの営業だが、店内には現在準備中の座敷もあり、将来的にお茶を点てたりすることも予定しているそう。『樋口農園』の野菜をはじめ、古民家が発する空気、室井シェフが手掛ける自由でイマジネーション豊かな懐石料理、親しみやすい人柄を含めて、満足感はたっぷり。オープンして間もないにも関わらず、噂を聞きつけた食通たちがすでにリピートしているとか。これからの進化も楽しみな『むろい』へ、予約して訪れてみてほしい。

(取材・文/茶野真智子 撮影/前田博史)

【メニュー】
和食懐石コース 8,000円~
※完全予約制
※ご希望のご予算に応じて対応可能

むろい

住所
〒603-8464 京都府京都市北区鷹峯黒門町6
電話番号
075-491-7755
営業時間
18:00~
定休日
火曜
公式サイト
http://muroi.shop

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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