グルメ通必見! 予約のとれない日本料理店出身シェフが魅せる、新スタイルの鉄板割烹『いわ倉』【神楽坂】

2017年05月29日
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グルメ通必見! 予約のとれない日本料理店出身シェフが魅せる、新スタイルの鉄板割烹『いわ倉』【神楽坂】
Summary
1.“和食×鉄板焼き”の新たなスタイルが楽しめる鉄板割烹『いわ倉』
2.鉄板焼きに新風を吹き込む革命児は、予約のとれない和食の名店出身
3.カウンター越しのライブ感に圧倒される〆のデザート

2016年10月にオープンした『いわ倉』は、飯田橋と神楽坂のちょうど中間に店を構える。高級感が溢れる佇まいで、店内では料理長の森藤崇さんが鉄板の前に立つ。まだ若い青年だが、予約のとれない和食の名店で修業を重ね、30歳にして調理場から店舗の立ち上げまでを経験してきた実力の持ち主だ。「鉄板焼きだからこそ体験できるライブ感を楽しんでもらいたい」と森藤さんは話してくれる。

本格的な和食が味わえる鉄板割烹の魅力

「都内では珍しいでしょ」と、大振りな穴子をもちあげながら調理場に。長さ1m以上の立派なサイズだ(写真・上)。福島県で生まれ育った森藤さんの父は、穴子料理専門店を営んでいるという。

「穴子一筋の父から継承した味を『いわ倉』では、鉄板を使って僕なりにアレンジして提供しています。この大きさはなかなか都内には出回らなくて、かなり希少ですよ」と自慢の三陸・天然大穴子を鮮やかにさばく。そして丁寧に骨切りされた身に塩を振り、優しく鉄板へと寝かせていく。

咲くように開いた身が美しい「大アナゴの白焼き」(写真上)は香りが芳ばしい。脂がたっぷりとのっていて、全く臭みがない。弾力のある厚い身は、口の中でステップを踏みながら消えていく。小さい頃から親んできたこの味を都内でも体感してもらいたいという森藤さんの思いがこもった一品だ。

先付けからはじまり、お椀、八寸、造りと続く『いわ倉』のコースには、もちろんワインも合うのだが、今回は料理長の地元で造られた日本酒をオススメされた。

日本酒のラインナップは、森藤さんのふるさと・福島県の酒のみを取り揃えている(写真上)。食材に続きこちらも都内ではあまりお目にかかれないものばかり。

左は、華やかでフルーティーな味わいの稲川酒造「七重郎 山田錦仕込 純米大吟醸無濾過原酒」。口当たりの軽い廣木酒造「純米吟醸 泉川」は、料理を邪魔しないスッキリとしたあと味だ。

東日本大震災で山形県への移住を余儀なくされた鈴木酒造「磐城壽 季造りしぼりたて 中汲み純米酒」は、米のうまみが強くしっかりとした味わいで肉との相性が抜群。辰泉酒造「特別純米 辰泉ふまなえ酒 28BY 辰ラベルNo.1」はフレッシュなフルーツ香が華やかな一杯。仁井田本家「純米酒 田村」は、素朴な田舎の情景が浮かんでくるほどにキリッと男らしい印象だ。

鉄板焼き店では、なかなかお目にかかれない「スッポン椀」(写真上)のような料理もある。フタを開けると、優しい香りが店中に解き放たれていく。酒とネギ、ショウガのみで仕立てられたシンプルなだしは充分に濃厚だが、きめ細やかなスッポンの脂が箸を入れるたびに引き出され、旨みと甘みが増しただしが身体の細部まで染み渡る。

和食の後でも完食できる、あと味軽いメインのステーキ

繊細で上品な日本料理を味わったところで、鉄板焼きならではの、肉の登場だ。品川の肉問屋から直接仕入れたというメインの肉は、A5等級だが霜降りが少なく感じる(写真上)。

「和食のあと味が重くなりすぎないよう、あえて赤身が強くサシの少ないものを選んでいます」と森藤さん。神奈川県産の阿夫利牛は、赤身のうまみが強いとお気に入りの銘柄なのだそう。

一切れいただくと確かに、力強い弾力と濃厚な肉のうまみを感じる(写真上)。チリチリと音が立つ鉄板を眺めていると、ニンニクやバターといった通常見かける食材の姿はない。

肉のうまみだけで勝負したステーキには、付け合わせもシンプルに。橙の香りが華やかなポン酢や、鰹のうまみがよくきいた土佐醤油、柑橘の柔らかい酸味がひろがる黄柚子胡椒と、和の風味をそっと優しく添えてくれるものばかりだ。

料理長のスペシャリテは“賞味期限30分”のわらび餅

森藤さんは、最後までお客の目を惹き付けるエンターテイメントを用意する。かつて和菓子店の立ち上げ経験をもつ森藤さん。そこで学んだ和菓子の技術を自分なりにアレンジ。

まず、灰色の粉と水の入った雪平鍋を火にかける。一定のリズムで鍋をかきまぜていくと、だんだんと粘り気が増していく。クチュクチュとヘラにひっつきだしたところで、ネバネバを手に取り氷水へ落としていく。灰色の丸い塊は、きな粉で化粧され、黒蜜を纏って煌々と輝く姿で現れる。「わらび餅」の完成だ(写真下)。

九州産の本わらび粉100%で作られたわらび餅は、とろんと柔らかく口の中に滑りこんでいく。「賞味期限は30分です(笑)」と森藤さん。でき立てならではの弾力ともちもち加減に誰もが驚かされるだろう。細やかで香り豊かなきな粉に、もったりとした濃厚な黒蜜は甘すぎないから、おかわりを所望するお客も多いという。大人気のわらび餅は『いわ倉』の隠れたスペシャリテなのだ。

型にはまることなく鉄板という舞台を仕切る、森藤さん。和食と鉄板焼きがコラボレーションした新しいスタイルを、“新・日本料理”として世界に広めていきたいと熱く語ってくれた。神楽坂に潜む若き才能が、ジャンルレスに新たな風を巻き起こす予感がする。

(撮影/浅山美鈴)

【メニュー】
コース 10,000円〜
日本酒 一合 1,200円
グラスワイン 1,000円〜
シャンパーニュ 8,000円〜
白ワインボトル 6,000円〜
赤ワインボトル 7,000円〜
※価格は税・サービス料別

いわ倉

住所
〒162-0832 東京都新宿区岩戸町1 M’s神楽坂3階
電話番号
03-5946-8798
営業時間
17:00〜23:00(L.O.)
定休日
日曜・祝日

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。