河原れんさんが案内する、懐かしさと新しさのリミックス「蔵前」新発見

作家で、空間デザイナーでもある河原れんさんが、ぷらぷらと街歩き。そこで見つけたもの、感じたものを綴っていただきます。河原さん独自の美意識、視点で切り取った街を歩いてみませんか?

2017年08月30日
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河原れんさんが案内する、懐かしさと新しさのリミックス「蔵前」新発見
Summary
1.いま、外国人観光客を夢中にさせている街は、浅草でもスカイツリーでもなく「蔵前」
2.歴史のある店から最新スポットまで、実はバリエーション豊かな街
3.これ以上お洒落になってほしくない、昭和のスナックや赤提灯に通じる愛おしさがある

日本人より日本に詳しい外国人は今や珍しくもないが、目下彼らが夢中になっているのが、東京、下町は隅田川沿いに佇む路地の町「蔵前」という。浅草でもなくスカイツリーでもなく、蔵前が新たな名所になっているというのだが、そう聞いてみても、ん?……いまいちピンとこない。駅名はわかるが、路線名がわからないという危うさ。そんなマイナータウンがいったいなぜ? と不思議に思いつつ、とにかく行ってみることに。
まずは、ニューシンボル、蔵前観光のハブと呼ばれる『Nui. Hostel&Bar Lounge』へ。

玩具会社の倉庫だった施設をリノベーションしたオシャレなラウンジ

ふーむ。なるほど、お洒落である。モルタルの床。ダクト剥き出しの高い天井に木のカウンター。ベリーショート(というか、いわゆる坊主頭)の女性スタッフが「こんにちは」と軽く声をかけてくれ、宿泊かと尋ねてくる。ここはカフェバーでありながらゲストハウスでもあるのだ。広いラウンジの奥ではバックパックを抱えた外国人客たちがランチしている。と思いきや、その隣では外回りの営業マンが船を漕いでいらして、ちょっと見ないミックス感……。ツーリストにも開きつつ、ローカルにも根ざしているということか。どちらにとっても居心地のいい空間というのは、考えてみると相々ない。

この建物、もとは玩具会社の倉庫だった施設をリノベーションしたものらしい。肩肘張らない、ゆるいオシャレ感はそのせいか。古さがむしろ、ここに集う人々を自然にゆるめてくれるのだ。

「へぇ〜」と妙に感心しながら(だって、カッコつけてるだけの店って苦手だから)、川沿いの道をテクテク……。ほどなく今日のランチの店『駒形どぜう』に到着する。ここは、名のとおり、どじょう料理の専門店で、江戸時代から続く下町きっての老舗である。

実は外国人観光客と女性客で賑わう「どぜう」の老舗

土用丑の日には鰻よりどじょうを食す下町っ子もいるといい、その栄養価は鰻を凌ぐほどという。滋養強壮、疲労回復、夏バテ防止。ヘルシーでありながら精力増進、スタミナアップに効果を発揮する……というから、暑いこの時期、店はさぞかしオジサマ方でいっぱいだろう。と思いきや……ここでも見るのもツーリスト。アンド、美容目的か、若い女性の姿ばかりだ。

「まる」ならではのおいしさとは?

どじょうなんて外国人の口に合うのだろうかと心配していると、けっこう楽しそうに食べている。ふわふわして淡白な味に潜む、ほのかな苦味。私が頼んだ「まる(どじょう鍋)」は、煮込むほどに割下がどじょうに浸みていい味になっていく。そう、どじょうは見た目よりおいしいのだ(笑)。
 
ごちそうさま。

サンフランシスコからやってきたクラフトチョコレート

さて、お腹もいっぱいになったところで、町歩きに戻ろう。ごく小さな地域だが、入り組んだ路地には、個性的な店が点在していて歩数がかさむ。迷路の中で宝探ししている気分だ。
路地裏で見つけたのは『ダンデライオンチョコレート』。

サンフランシスコの人気チョコレート店が日本一号店を開いたのが、ここ蔵前だったそう。『駒形どぜう』とは対照的に、昨年オープンしたばかりで、その後は伊勢、鎌倉と、日本情緒色濃い地域へ続けて出店している。

さて、肝心のチョコレートのお味はというと、さすがアメリカン! な濃厚さ。カカオの香りも濃いが、甘味も強い。「ブラウニー バイトフライト(テイストの違う3つのブラウニーセット)」を頼んだものの、さすがに完食はできず、残りは袋をもらってお持ち帰り。

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森一起
ライター/作詞家/ミュージシャン