シドニーで「ベスト・ヤング・シェフ」に選ばれたオトコが作る「現代割烹」とは?

2017年10月24日
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シドニーで「ベスト・ヤング・シェフ」に選ばれたオトコが作る「現代割烹」とは?
Summary
1. ワインとの相性を考えたコース仕立てで「現代割烹」が楽しめる『Terra』
2. シドニーの若手登竜門「ベストヤングシェフ」に選ばれ、世界で料理を作ってきた
3. 食べるタイミングまで計算し尽くされたコース、飛騨牛やできたてアイスが絶品

ワインとマリアージュさせる「現代割烹」とは?

2017年9月にオープンした『現代割烹Terra(テラ)』。六本木交差点から芋洗坂に降りたすぐ左側、まさに「東京の中心」とも言いたくなる絶好の場所に店を構える割烹料理店だ。和食とワインとの融合、マリアージュをテーマとしている。

営業は夜のみ。8,000円と10,000円のコースは事前予約がなくてもOK。15,000円のコースは予約が必要だ。ふらっと来店するゲストのため、アラカルトは可能な範囲で対応しているとのこと。モダンな和食でワインが飲みたいという外国人観光客のニーズにも応えているという。

「シドニーベストヤングシェフ」を獲った逆輸入シェフ

シェフの寺本辰也さんは、日本の飲食店で修業した後、単身渡ったオーストラリアで、「シドニーベストヤングシェフ」に選ばれた経験を持つ。

オセアニアの大都会シドニー。星の数ほどの飲食店がひしめくその街で、30歳未満の「今後シドニーで活躍しそうなシェフ」5人のうちの1人として、選出されたのだ。

シドニー屈指の和食の名店『Yoshii(ヨシイ)』に見習いとして入り、半年後に料理長に大抜擢された直後のことだった。

まだ十分な英語も習得していなかった寺本シェフだったが、他の4人の受賞者(いずれもオーストラリア人)とコラボし、言語的な壁を乗り越えコースを作った経験は大きな財産となった。

また、受賞により、インドネシアの大富豪のためのバースデーディナーを担当する、オーストリアのレストランでの期間限定シェフをオファーされるなど、数多くの経験を積むことができた。若いシェフにもどんどんチャレンジをさせる風土がある、海外だからこその貴重な体験だったと彼は言う。

そんな彼が、腰を据えた勝負の場として選んだのは日本だった。2012年に帰国後、三軒茶屋の和食店『廩(りん)』での料理長を勤めた後、2017年9月に満を持して自らの店を持つ。それが『現代割烹Terra(テラ)』だ。

「でき立て」を一番おいしいタイミングで供するおもてなし

では、コースの中から寺本シェフが腕をふるう料理を紹介しよう。どの料理も見た目が鮮やかで、特注の皿や器も美しい。

シドニー時代に「うにたま」という名前で出していた料理を、進化させた独創的な前菜がこちらの「黄金のたまご」(写真上)。散らされた金箔が、コース序章のワクワク感を演出する。

ウニ、卵、干し椎茸の鼈甲餡というところまではありそうな組み合わせだが、これを器に敷いたカダイフにかけるという素晴らしいアイデア。ウニと卵のセクシーな舌触りにカダイフの心地良い香ばしさと食感が加わり、適度なボリュームも出る。

「前菜盛り合わせ」(写真上)の内容は、飛騨牛の握り寿司、かますと柚子胡椒の天ぷら、キングサーモンの杉板焼、トマトのおひたし。

飛騨牛は、柔らかく、うまく、しっとり。シェフが肉質に惚れ一頭買いしているという理由がよくわかる。天ぷらはフリット粉にビールを合わせ、さっくりした口当たりが嬉しい。サーモンは杉板を客前で炙り、軽くスモークをかけた状態にする。北海道のフルーツトマト「北の極」はハッとするフレッシュさだ。

清楚で品の良い白樺蕎麦に、そばつゆをエスプーマにして絡ませ、てっぺんにキャビアをあしらったコース〆の一品が「キャビアの冷たい蕎麦」(写真上)。

食べ進める途中、ワンパターンな味に飽きてしまうこともある蕎麦。それを、横に添えたシークワーサーを搾り、全く異なる印象に変えてしまう鮮やかな妙技が楽しめる。

デザートは「季節の出来立てアイスクリーム」。この日は酒粕のアイスリームが日本酒のジュレとともに供された。食べ手の料理の進み具合を見つつ、アイスクリーマーを回し、まさにでき立てを準備しているという。これがどれほど手間のかかる作業かは、同様のことを実践するレストランが少ないことから想像してほしい。

その瞬間、そのタイミングでしか味わえない最高の味にこだわる、寺本シェフの熱き想いが表れたデザートである。

枠にとらわれない自由な料理。それが「現代割烹」

寺本シェフはオーストラリア・シドニーのレストランに約8年勤務したが、欧米文化圏では「料理人の地位が高い」ということを痛感。料理そのものに関しても、自由な発想で表現することが許された。寺本シェフの料理は、そんな空気に育まれてきた。

日本でも、枠にとらわれない自由な表現をしたい。そんな気持ちを「現代割烹」という言葉に込めた。若き「逆輸入シェフ」が東京のメインステージへ。今後の活躍が楽しみだ。

【メニュー】
コース 8,000円、10,000円、15,000円(要予約)、ベジタリアンコース8,000円

現代割烹Terra(テラ)

住所
〒106-0032 東京都港区六本木5-1-1 丸正小林ビル B1F
電話番号
03-6447-1630
営業時間
18:00~翌4:00
定休日
日曜
公式サイト
http://te-rra.tokyo/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。