「余った卵白」が本格スイーツに早変わり!洋菓子のプロ直伝、サクッと作れる「ラングドシャ」の簡単レシピ

【連載】洋菓子レシピは巷に溢れているが、ホンモノを知りたいなら専門家に聞くのがイチバン! 洋菓子レッスンは半年待ち、各メディアで大活躍中の洋菓子研究家・たけだかおる先生にdressing編集部が弟子入り。秘伝メソッドとこだわりレシピを大公開します!

2018年04月21日
カテゴリ
レシピ・キッチン
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「余った卵白」が本格スイーツに早変わり!洋菓子のプロ直伝、サクッと作れる「ラングドシャ」の簡単レシピ
Summary
1.人気洋菓子研究家が教える、ホンモノの洋菓子レシピ
2.卵白消費に大活躍! 風味豊かでコク深い「ラングドシャ」の作り方
3.サクサク食感に仕上げる鍵は、「生地の混ぜ方」にあり!

■洋菓子研究家が伝授! 最高においしい「ラングドシャ」の作り方

サクッと軽やかな食感と、ふわりと繊細な口溶けが心地よい薄型クッキー「ラングドシャ」。

「手作りするなら、型抜きクッキーの方が簡単!」と思われがちですが、シンプルな材料を混ぜるだけで作れるラングドシャも、意外なほど簡単に作れるのです。

上品な見た目と味わいが、贈り物やちょっとした手土産にもぴったり。そんなおしゃれなスイーツが自分で作れたら嬉しいですよね。

そこで今回は、本当においしい「ラングドシャ」のレシピを教わるべく、新妻グルメライター植木祐梨子(左)が、洋菓子研究家・たけだかおる先生(右)に弟子入り。

たけだかおる先生主宰の予約がとれないお菓子教室に参加して、とっておきのレシピを教わってきました!

●祐梨子
「先生〜! 前回のレッスンでプリンを作ったときに、卵白が余ってしまって……。余った卵白ってどう活用したらよいのでしょう?」

●先生
「そうね〜。卵白を使ったスイーツレシピはいくつかありますが、その中でも特にシンプルなラングドシャはどうかしら?」

●祐梨子
「わ〜! ひと口サイズが食べやすいから、ピクニックやホームパーティーの手土産に最高ですね! 中に挟んであるチョコクリームも、艶やかでとっても濃厚そう♪
でも、こんなにおしゃれなスイーツ、初心者の私でも失敗せずに作れるでしょうか? ラングドシャって、生地が薄いから作り方も繊細そう…」

●先生
「そう思われがちですが、すべての材料を同量合わせるだけなので、お菓子作りの入門編としてオススメしたいくらいです。
アレンジもしやすいので、作り方を知っておくととっても便利なスイーツなんですよ」

●祐梨子
「それは意外!なんだか簡単に作れそうな気がしてきました!」

●先生
「大切なポイントは、“材料の混ぜ方”と“生地の絞り方”。
材料の混ぜ方や生地の厚みによって、焼き上がりの食感が大きく変わってしまうんです。今回はその理由も解説しながら、パリッとサクッと、口当たりの軽いラングドシャ作りのポイントをお伝えしますね」

●祐梨子
「はい、よろしくお願いします!」

■押さえておきたいポイント3つ

1.バターを混ぜるときは、泡立てない!
2.卵白は複数回に分けて「切るように」混ぜる!
3.「アーモンドパウダー」と「バニラオイル」を加える!

[point1]バターを混ぜるときは、泡立てない!

●先生
「まず最初のポイントは、バターの混ぜ方です。風味よく仕上げるコツは、混ぜる際に泡立てないようにすること。そのため、私のレシピでは泡立て器は使わずに、ゴムベラを使って混ぜていきます」

●祐梨子
「どうして泡立ててはいけないのでしょうか? 泡立てて空気を入れたほうが、サクサク食感になりそうですが…」

●先生
「たしかに、泡立てたほうが食感は軽くなりやすいです。でも泡立てると、バター自体が空気を抱き込んでしまい、せっかくの風味が弱くなってしまうんです。
ゴムベラで混ぜやすいよう、バターは必ず常温に戻して柔らかくしておきましょうね」

●祐梨子
「なるほど。バターは柔らかい状態の方がいいんですね。時間短縮のために、電子レンジで温めてから混ぜようかな!」

●先生
「電子レンジは失敗しやすいので、あまりオススメできません。
ラングドシャは絞り袋で絞って成形するのですが、溶かしバターのように緩くしすぎてしまうと、絞る量が調整しづらくなり、同じサイズに揃えて絞るのが難しくなるんです 。そのため、バターは必ず室温で戻すようにしてくださいね」

●祐梨子
「そうなんだ! 工程一つひとつに、ちゃんと理由があるんですね」

●先生
「ちなみに、ラングドシャはバターの風味がダイレクトに感じられるスイーツなので、発酵バターを使うのがオススメです。バターの風味がぐっと増して、よりコク深く、上品な味わいに仕上がりますよ」

[point2]卵白は複数回に分けて「切るように」混ぜる!

●先生
「さて、ここからが一番重要なポイント! サクサク食感に仕上げるために大切な“卵白の混ぜ方”について解説しようと思います」

●祐梨子
「卵白の混ぜ方が、焼き上がりの食感にどう影響するのでしょうか?」

●先生
「前提として、材料に含まれる油分と水分が繋がることを”乳化”というのですが、お菓子作りには、乳化して良い生地と、そうでない生地があります。
そして、ラングドシャは後者。完全に乳化させるのは好ましくないんです」

●祐梨子
「それはなぜでしょうか?」

●先生
「ラングドシャの生地を混ぜすぎてしまうと、バターの油分と卵白の水分が乳化した状態になり、サクッとした軽い食感が損なわれてしまうためです。
逆に、混ぜ方が足りないと、モロモロと分離したまとまりのない生地になってしまいます」

●祐梨子
「じゃあ一体どうすれば……」

●先生
「コツさえ守れば、大丈夫ですよ!
生地を完全に乳化させないように仕上げるコツは、卵白を4~5回にわけて少しずつ加えること。そして、バターの粒が細かく滑らかな状態になるまで、ゴムベラで切るように混ぜることです。この写真を見れば、違いがわかるかしら?」

●祐梨子
「生地の質感が全然違う! 左はひと塊になって生地が硬く締まった印象ですが、右はふわっと柔らかいように感じます。卵白の加える量や混ぜ合わせ方で、こんなにも生地に差が出るなんてびっくり…」

●先生
「そうなんです。必ずしも失敗ではありませんが、混ぜ方ひとつで、食べたときの食感が変わってくるの。ちなみに、使用する卵白は新鮮なものがベストですが、冷凍保存したものでもおいしく作れますよ」

●祐梨子
「たしかに、余った卵白を冷凍保存しておけば、いつでも作れますね」

●先生
「はい、特に洋菓子作りは卵黄のみを使うレシピが多いので、卵白が余ったときはラップで包んで冷凍庫に入れておくと便利です。
ただし、冷たいままの卵白はバターと混ざりにくいので、冷蔵庫で解凍し、そのあと必ず常温に戻してから使ってくださいね」

[point3]「アーモンドパウダー」と「バニラオイル」を入れる!

●先生
「バターと卵白をきちんと混ぜ合わせたところで、次は粉を混ぜていきます。
ここでポイントになるのが、粉を2種類入れること。小麦粉のほかに、アーモンドパウダーも合わせて加えましょう!」

●祐梨子
「ナッツの芳ばしい風味が、よりコク深い味わいに仕上げてくれそうですね!」

●先生
「そうなんです。さらに、アーモンドパウダーには油分が含まれているため、焼き上がりの生地が固くなりにくく、サクサク食感になる効果もあるの。バニラオイルも加えてあげると、香りが華やかになってオススメです」

●祐梨子
「ナッツの風味とバニラの甘い香り、両方を味わえるなんてたまらない♪ バニラオイルがオススメとのことですが、バニラエッセンスでも良いでしょうか?」

●先生
「NGではないですが、バニラオイルがオススメです。
バニラオイルとバニラエッセンスがどう違うのかというと、バニラオイルは“バニラの香りの主成分を油に溶かしたもの”のことを言うのに対し、バニラエッセンスは、“アルコールに溶かしたもの”を言います。
バニラエッセンスは、熱するとアルコールと一緒に香りが飛んでしまうため、焼き菓子にはあまり向いていないんです。
だから、焼き菓子を作る際は、香りが蒸発しにくいバニラオイルがオススメです」

■生地を綺麗に絞るためには?

●祐梨子
「ところで先生、生地のサイズを均一に絞れないと、せっかくおいしく焼けても見た目がイマイチになってしまいますよね。
どうすれば、初心者でも同じサイズで絞ることができるのでしょうか?」

●先生
「そのお悩みには、とっておきの秘訣があります!
それは、ベーキングシート(またはシルパット)の下に、写真のようにガイドとなる線を引いた紙を敷いておくことです!」

●祐梨子
「なるほど! 下に敷いても線が透けて見えるから、その幅に合わせて絞れば、失敗せずに絞ることができますね」

●先生
「今回は直径3cmの大きさで作るので、天板に合わせて3cm間隔で線を引いたガイドを用意しましょう。余裕があれば、天板ごと計りの上に乗せて、一枚ずつ重さを計りながら絞るのがベスト。その際は、1枚につき4~5g程度が理想です」

●祐梨子
「このひと手間が、均一な大きさに絞るために大切なんですね」

●先生
「さらに、絞り方にもコツがあります。まずは、この2枚の違いから見ていきましょう」

●祐梨子
「ん~。右の方が綺麗な形をしているように見えます。左は、生地が広がりすぎてしまっているような……」

●先生
「その通り! これは、生地をどの位置から絞ったかが関係しているの。
写真(右)は、天板と口金を近づけて絞ったもので、写真(左)は、天板から遠い距離から絞ったもの。
天板から遠い位置で絞ると、天板との距離がある分、生地がたくさん出てしまって形やサイズの調整が難しくなるんです。
低い位置から垂直に絞ることで、写真(右)のように綺麗な円形に焼き上げることができますよ!」

■アレンジのしやすさも魅力!

●先生
「ラングドシャが完成したら、お好みでガナッシュを挟んだり、溶かしたチョコレートでデコレーションしても華やかになりますね」

●祐梨子
「食べごたえもアップしそうですね! ちなみに手土産にする場合は、どんなアレンジがオススメですか?」

●先生
「そうね~。手土産の場合は、日持ちの良さ も大切ですね。『プラリネ』入りのチョコレートを挟むのはどうかしら? 4~5日ほど日持ちするので、安心して手土産に使えますよ」

●祐梨子
「プラリネ? 聞いたことはありますが、どんなものでしょう…?」

●先生
「プラリネとは、ローストしてキャラメリゼしたナッツで作るペーストのことです。芳ばしい甘さが魅力で、季節問わず楽しめますよ。市販のプラリネでもOKですが、今回は自家製プラリネの作り方も合わせて紹介していきましょう」

■ポイントを押さえたところで、さっそく実践!

●祐梨子
「バターと卵白の混ぜ方や、生地の絞り方が、ラングドシャの仕上がりに大きく影響しているとは知りませんでした。でも、教わったコツさえ押さえておけば、とっても簡単に作れそう!」

●先生
「そうなんです。コツといっても、難しいテクニックはありません。
ラングドシャ作りは工程がとってもシンプル。だからこそ、一つひとつのポイントをおさらいしながら丁寧に作っていきましょう!」

●祐梨子
「わ~、とっても楽しみ♪ 先生、よろしくお願いします!」

■ラングドシャ・プラリネ入りチョコサンドの材料(※直径3cm/22〜24枚分)

<ラングドシャ生地>
・無塩発酵バター … 30g(今回は「明治発酵バター」を使用)
・粉糖 … 30g
・卵白 … 30g(およそ1個分)
・バニラオイル … 適量(お好みで)
・レモンの皮すりおろし … 適量(お好みで)
・アーモンドパウダー … 15g
・薄力粉 … 15g(「バイオレット」を使用)

※今回は絞り袋で成形するが、シャブロン型(すりこみ型)で成形する場合は、薄力粉を「準強力粉(フランス粉)」を20gに変更し、やや固めの生地に仕上げる。

※粉糖は茶こしで漉してから計量する。なお、粉糖には「①オリゴ糖入り」「②粉末水あめ入り」「③純粉糖」「④コーンスターチ入り」などの種類がある。今回は①〜③の粉糖がオススメ。コーンスターチが含まれていないものを選ぶ。

※卵白は冷凍保存しておいたものでも可能。その場合は冷蔵庫で解凍して、使用するときは常温に戻しておく。

■プラリネ入りチョコレートの材料

<市販のプラリネを使用する場合>
・チョコレート … 30g
・プラリネ … 20g

※チョコレートは、ヴァローナ社「フェーブ ジヴァラ・ラクテ カカオ分40%」を使用

※プラリネは、ヴァローナ社「プラリネノワゼット キャラメリゼ」を推奨

※プラリネを自家製する場合は下記材料を別途用意する。(市販のプラリネでも十分おいしく作れるが、自家製の方がより風味と食感が際立つのでオススメ)

<自家製のプラリネを使用する場合>
・ヘーゼルナッツ … 100g
・水 … 50g
・グラニュー糖 … 65g

※ラングドシャに使用するプラリネは20gのみ。余ったプラリネは煮沸消毒した容器に入れて冷蔵庫で保存する。(保存期間は4~5日)

■今回使用したキッチンツール

<ラングドシャ生地>
・ボウル
・粉ふるい
・ゴムベラ
・ベーキングシート(今回はシルパットを使用)
・カード
・絞り袋
・丸口金(10mm)

<自家製プラリネ>
・熱伝導のよい銅やステンレス素材の鍋
・木ベラ
・フードプロセッサー

■下準備

・バターは常温に戻し、柔らかくしておく。

・粉糖、薄力粉、アーモンドパウダーはあらかじめふるっておく。

・冷凍保存しておいた卵白を使用する場合は、冷蔵庫で解凍する。また、使用する際は常温に戻しておく。

■ラングドシャ生地を作る

① 柔らかくしておいたバターを、ゴムベラで滑らかにする。

ポイント
・バターは必ず常温に戻すこと。溶かしすぎを防ぐため、電子レンジは使用しない。

・バターは硬いまま使用すると生地が分離してしまい、逆に緩すぎると生地が広がりすぎてしまう。

② 粉糖を2回くらいに分けて、その都度ゴムベラで馴染む程度に混ぜる。

ポイント
・一度に全て加えてしまうと、粉糖が飛び散りやすくなる。

・①のバターが硬かった場合は、温めた濡れふきんをボウルの下に敷いて、ボウルを数秒温めるとよい。
・一度に全て加えてしまうと、粉糖が飛び散りやすくなる。<br><br>・①のバターが硬かった場合は、温めた濡れふきんをボウルの下に敷いて、ボウルを数秒温めるとよい。<br>

③ 卵白を4〜5回にわけて加えて乳化させないように混ぜる。バターの粒が細かく滑らかな状態になるまで、ゴムベラで切るように混ぜていく。

ポイント
・卵白は少しずつ(小さじ1程度)加える。

・混ぜすぎると、生地が乳化してひと塊になってしまう。完全に乳化すると焼き上がりの食感が若干固くなるため、細かく切り混ぜるように滑らかに仕上げる。

④ バニラオイル、レモンの皮など、お好みで加えて混ぜる。

ポイント
・オイルやレモンなどを加える場合は、粉類よりも先に加えた方が生地に分散しやすくなる。

⑤ アーモンドパウダーをふるいながら加え、馴染む程度に混ぜる。

⑥ 薄力粉をふるいながら加え、さらに混ぜる。

ポイント
・シャブロン型(すりこみ型)で成形する場合は、薄力粉ではなく「準強力粉」を使用する。

・粉気がなくなる程度でよい。
・シャブロン型(すりこみ型)で成形する場合は、薄力粉ではなく「準強力粉」を使用する。<br><br>・粉気がなくなる程度でよい。<br>

■生地を絞る

⑦ 天板にシルパットをのせる。

ポイント
・天板に合わせて3cm間隔で線を引いたガイドをシルパットの下に用意しておくと、生地を均等に絞りやすい。

・オーブンの熱風でベーキングシートがめくれて生地が変型する可能性があるため、シルパット推奨。

⑧ 絞り袋に生地を入れて、丸口金(10mm)で小さく絞る。

ポイント
・余裕があれば、生地を均等に絞れるよう計りの上にのせて作業するとよい。一枚4〜5g程度が理想。

・焼き上がりの生地がくっつかないように、生地と生地の間隔は充分にあけて絞る。

●祐梨子
「均等に絞るって難しい……。生地同士がくっついてしまわないか不安です」

●先生
「あらかじめ、絞りたい幅に合わせて線を引いた紙を用意しておくと便利ですよ! その幅に合わせて絞れば、簡単に均等に絞ることができます。
生地を絞るときは、高い位置から絞ると生地がたくさん出すぎてしまい、焼いている途中に広がって生地同士がくっついてしまうことがあります。
天板と口金の距離は短く、垂直に絞ることを意識して絞りましょう!」

⑨ 絞り終えたら天板を叩いて生地を少し広げる。

ポイント
・生地が平らに広がっていないと、均一に熱が通らず、焼き上げたときに生地の中心だけがしっとりした食感になってしまう。

●先生
「絞り終わったら次は生地を平らに広げていきましょう。均一な薄さにするには、天板を持ち上げて軽く落としながら少しずつ広げるのがコツです」

●祐梨子
「お〜!何度が繰り返していると生地が広がって薄くなってきました!でも、形が若干歪んできた気が…」

●先生
「生地を絞るときと同じように、テーブルと垂直に、均等に力をかけてくださいね。また、途中で天板の向きを変えると、ムラなく広げることができますよ!それでも生地が広がらないところがあれば、天板の裏からトントンと優しく手で叩いてあげましょう」

■生地を焼き上げる

⑩ ガイドに敷いていた紙を抜き取り、140℃に余熱したオーブンに生地を入れる。140℃で8分半程度、天板の奥と手前を入れ変えて3分程度焼く。
(今回はガスオーブンを使用。電気オーブンの場合は、150℃で8分半程度、天板の奥と手前を入れ変えて3分程度焼く)

ポイント
・天板の上で粗熱を取る。シルパットからすんなり剥がれたら焼き上がりの証拠。

・中心がしっとりしていたら、同じ温度で1分、30秒、余熱30秒…と、短い時間でこまめに温め、焦がさないように熱を通す。
・天板の上で粗熱を取る。シルパットからすんなり剥がれたら焼き上がりの証拠。<br><br>・中心がしっとりしていたら、同じ温度で1分、30秒、余熱30秒…と、短い時間でこまめに温め、焦がさないように熱を通す。

「きれいに焼けました〜!」

●祐梨子
「上品な焼き色に仕上がりました♪ 焼きたては柔らかかったですが、時間をおいたら生地がしっかりしてきました!」

●先生
「このまま食べてもおいしいですよ♪ ちょっと味見してみましょう!」

●祐梨子
「香りがとっても華やかでおいしい〜♪ バニラオイルやアーモンドパウダーを加えたことで、甘くてほんのり芳ばしい味わいに仕上がりましたね」

●先生
「プラリネの芳ばしさとも相性ばっちりなの!それでは、湿気ないように生地をプラスチック容器に保存して、プラリネ入りのチョコレートを作りましょう!」

■プラリネを作る(※市販のプラリネを使う場合は⑲へスキップ)

⑪ 天板にわら半紙(もしくはベーキングシート)をしき、ヘーゼルナッツを入れる。150℃に余熱したオーブンで5分ほど空焼きする。
(今回はガスオーブンを使用。電気オーブンの場合は160℃で5分程度から焼きしておく)

ポイント
・焼き時間が長すぎるとヘーゼルナッツの苦みがでてしまうため、温める程度でよい。

・キャラメリゼする際は、温かい状態のヘーゼルナッツとシロップを絡める方が、作業がしやすくなる。

⑫ 鍋に水とグラニュー糖を加える。鍋からはみ出さない程度の中強火で、118℃まで煮詰めてシロップ状にする。

ポイント
・118℃の目安は、泡に粘り気がでてきて、ゆっくりと割れる程度。

・今回は作る量が少ないため、ゴムベラは使わない。また、鍋を揺らすと縁についたところから砂糖に戻ってしまうため、あまり揺らさないこと。
・118℃の目安は、泡に粘り気がでてきて、ゆっくりと割れる程度。<br><br>・今回は作る量が少ないため、ゴムベラは使わない。また、鍋を揺らすと縁についたところから砂糖に戻ってしまうため、あまり揺らさないこと。

⑬ 煮詰まったら火を止め、ヘーゼルナッツを加えて結晶化(溶けた砂糖が結晶)するまで木ベラで絡める。

ポイント
・グラニュー糖の温度が118℃に満たなかった場合も、混ぜ続けることでグラニュー糖は結晶化する。
・グラニュー糖の温度が118℃に満たなかった場合も、混ぜ続けることでグラニュー糖は結晶化する。

⑭ 結晶化したら、もう一度火をつけて、中火〜弱火でゆっくりと砂糖を溶かし、キャラメリゼする(キャラメル色にする)。

ポイント
・シロップが色づいてきたら、混ぜるスピードを速める。

⑮ キャラメリゼしたら火を止めて、ベーキングシートやバットの上に取り出して粗熱をとる。

ポイント
・鍋に残ったキャラメルごと広げる。ヘーゼルナッツはバラしておいた方が、フードプロセッサーに入れやすくなる。

⑯ 冷めたら手で適度な大きさに割り、フードプロセッサーに入れる。

⑰ フードプロセッサーでペースト状になるまで混ぜ続ける。

ポイント
・ペーストは冷蔵庫で4〜5日ほど保存が可能。

■プラリネ入りのチョコレートを作る

⑱ チョコレートを500Wの電子レンジで30秒ほど温めて溶かす。このとき完全には溶かさず、塊部分を溶けたチョコレートと馴染ませながら滑らかにする。

ポイント
・チョコレートは溶かしすぎないこと。

・もう少し温めたいときは、同じ温度で20秒ずつ、10秒ずつ…と時間を短くしながら、様子を見る。

・チョコレートを焦がさないように気をつける。

⑲ 滑らかにしておいたプラリネを加えて混ぜ合わせる。

ポイント
・プラリネが冷たすぎるとチョコレートが固まってしまう。

・作り置きしたプラリネは、油分と固形部分に分かれるので、使う際は均一に混ぜること。

■ラングドシャとプラリネ入りのチョコレートを組み立てる

⑳ プラリネ入りのチョコレートを絞り袋に入れて、ラングドシャに絞って挟む。

ポイント
・絞りはじめる前に、ペアになるラングドシャのサイズ合わせをしておく。

・クリームを絞る生地(土台)と、上から重ねる生地(フタ)を間違えないよう、あらかじめ交互に並べておくと作業しやすくなる。
・絞りはじめる前に、ペアになるラングドシャのサイズ合わせをしておく。<br><br>・クリームを絞る生地(土台)と、上から重ねる生地(フタ)を間違えないよう、あらかじめ交互に並べておくと作業しやすくなる。<br>

サクッと芳ばしい「ラングドシャサンド」が完成!

●祐梨子
「クリームもばっちり挟むことができました〜♪ 」

●先生
「綺麗にできましたね! プラリネ入りチョコレートが硬すぎると、口金が詰まって絞れなくなったり、逆に柔らかすぎると挟んだ隙き間からチョコが流れ出てしまったりするんです。今回は丁度良い硬さで絞ることができましたね♪」

●祐梨子
「先生に教わったポイントを守るだけで、プラリネまで自家製のラングドシャが作れました♪ さっそくいただきまーす!」

●祐梨子
「サックサクで、プラリネの香りがすごい〜! ナッツの粒感も少し残っていて、芳ばしさをダイレクトに感じることができます!」

●先生
「そうなの! ラングドシャも中心までパリッと仕上がっていますね! 基本を押さえておけばアレンジしやすいので、とっても重宝するレシピでもありますよ。
例えば、細かく砕いたアールグレイの茶葉を加えたりしても、香りが豊かになってオススメですよ。レモンの皮や紅茶の葉を加える場合でも、その他の材料の分量は変える必要がないので安心してくださいね」

●祐梨子
「アールグレイが香るなんてとってもおしゃれ! 早く上手に作れるようになって、いろんなアレンジを試してみたいなぁ〜」

●先生
「これで卵白が余ったときも安心ですね!
さて、だんだんと気温が上がってきて、梅雨も近づいてきていますね。
次回は、ジメッとした嫌な気分を忘れさせてくれるような、酸味が心地よいレアチーズケーキを作りましょう。とっておきのレシピを伝授しますよ」

●祐梨子
「わ~とっても楽しみ♪ レアチーズケーキレシピは、夏にも重宝しそうですね! 次回もよろしくお願いします!」

取材・文/植木祐梨子、写真/岡本寿