新しい熟成肉「なれにく」とは? 肉料理を極めた、完全紹介制の隠れ家レストラン『千』

2018年07月12日
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新しい熟成肉「なれにく」とは? 肉料理を極めた、完全紹介制の隠れ家レストラン『千』
Summary
1.電話番号は非公開、かつ完全紹介予約制の隠れ家レストラン。その理由とは?
2.熟成肉の新しいおいしさを発見! 神戸ビーフのみを使った絶品「なれにく」を堪能
3.“肉料理”というジャンルを極めたい! 趣向を凝らした一品料理の数々

熟成肉のエキスパートが踏み出した新たなチャレンジ

ここ数年続いている肉ブームはさらなる勢いを見せ、新たな肉料理の名店が続々と誕生。肉ラバーたちの幸せは止むことはない。そんなラバーたちに、またひとつ、肉グルメの新しい扉を開ける店を紹介したい。

六本木の大通りから一本入った裏に2016年冬に静かにオープンした『千』。電話番号は非公開、完全紹介予約制で同じ時間帯の予約は2組までしか受け付けない。

インターネットやSNSによる情報発信をしていないのにもかかわらず、口コミだけで、すでに予約が取りにくい店となっている。まさに知る人ぞ知る隠れ家レストランだ。

オーナーの渡邊 塁さん(写真上)は、茗荷谷にある熟成肉の名レストランを立ち上げ、4年間、店の運営などに尽力してきた。プロとしてドライエイジングによる熟成肉を極める一方で、渡邊さんは新たな熟成肉の可能性について考えるようになったという。

そこで、現在の店舗物件を紹介されたタイミングで、もっと自由に牛肉の可能性について考えてみたいと『千』をオープンした。

オープン当初から紹介制としたが、これには訳がある。「“なれずし”から発想した『なれにく』は、他ではあまりやっていない熟成方法なので、お客様に丁寧にご紹介したいと思いました。また、顔が見える少人数のお客様ならではのおもてなしや料理を提供したいと考えたからです」と渡邊さんは微笑む。

なお、今回は『dressing』のプレミアム会員向けに席をご用意。詳しくは最後まで読んでみよう。

“なれずし”を発想とした熟成肉とは? 神戸ビーフの新たなおいしさを発見

「なれにく」は、発酵食品の一つである“なれずし”にヒントを得た方法で牛肉を熟成させてみたらどうだろうという発想から始まった。ひと言で言うなら、麹を使ったウェットエイジングだ。

仕入れる肉は神戸ビーフのみ。信頼できる関西の卸から毎回塊を届けてもらい、部位ごとに切り分け、水分調整をした後、独自の手法で熟成させる。期間は長いもので7日~10日間、短いものだと前後の調整期間も入れて2日~4日間ほど。部位だけではなく個体によっても繊維の質や水分量などの特徴が異なるため、その特徴に合わせて熟成期間を調整している。

できあがった「なれにく」は、ドライエイジングのような熟成香は少ないが、水分が減ってうまみが凝縮されるだけでなく、麹菌によりタンパク質がうまみ成分に変化する。言わば、うまみがギュッと詰まった肉ができあがるというわけだ。

他であまり使われていない手法のため、最初のうちは、さまざまな種類の和牛を使用して、試行錯誤を繰り返したという。しかし、神戸ビーフで試すと驚くほどおいしい肉ができあがった。「信頼している取引先から納品される神戸ビーフは品質が安定していて、私たちがやろうとしている手法のエイジングにぴったり合っていたのです」(渡邊さん)。

和洋といったジャンルを超えた絶品“肉料理”の数々

さっそく料理を紹介しよう。メニューは、レギュラーコース(スープ、肉の前菜3品、サラダ、メイン(写真上)、麺、お茶菓子の8品)と、レギュラーの肉を増量したコース、ステーキの肉が希少部位に代わるコースの3つが基本となる。

新しい熟成肉「なれにく」は、シンプルに焼いて食べても十分においしいが、『千』では、素材のポテンシャルをさらに引き出したいと手間や工夫を凝らした料理も提供している。

料理のスタイルはフレンチや和食といったジャンルにとらわれない料理。あえて言うなら“肉料理”というジャンルを極めようとしていると言ったらよいだろうか。その多彩さには驚くばかりだ。

こちらは肉の前菜「刻(きざみ)」(写真上)。赤身の「なれにく」を炙って、刻み、同じく刻んだ山芋とワサビを合わせている。

この料理は何と言っても、その演出が楽しい。料理に被せたガラス蓋を開けると、中に閉じ込められていた桜チップのスモークがフワッと立ち昇る。肉そのものを燻製したわけではないが、薫香をまとった肉は、なんとも食欲がそそられる。

こちらは「削(けずり)」(写真上)。調理したなれにくを冷凍し、薄く削っているのだが、口に入れると舌の上で肉がフワッと溶けていくのが、なんとも不思議な食感だ。軽やかな存在感ながら、しっかりとうまみを感じさせるのは、「なれにく」ならではの魅力だろう。肉の下にはアスパラのクリームスープが隠されていて、ソースのように絡めてもおいしい(※スープの食材は季節によって異なる)。

一見すると何だろうと思う不思議な料理は「裂(割)(さき)」(写真上)。なれにくの自家製コンビーフに目玉焼きに見立てたラビオリを合わせた遊び心いっぱいの料理だ。目玉焼きの目玉は半熟の黄身。コンビーフにまぶして食べる趣向だ。

コンビーフと言えば、缶詰を連想する人もいるだろうが、こちらの料理はまるで別物。少し粗目にほぐされた身は、脂っぽさがまったくなく、口の中でさらにホロホロとほどけていく。しっかりと塩気がきいており、添えられた黄身やポテトが味わいをまろやかにしてくれる。手間も時間もかかった料理だ。

真打登場! メイン料理で堪能する凝縮された“なれにく”のうまみ

旬の野菜を使った料理に続いて登場するのが、「なれにく」を使ったメイン料理(写真上)だ。取材当日のメインは「なれにく」をグリルしたもの。『千』では、2名の場合、赤身とサシが入ったものの2種類の肉のメイン料理が楽しめる。

部位は、要望や来店回数、またはその日に一番いい状態の部位を組み合わせて供される。取材当日はシンシンとイチボ。シンシンはモモの繊維の細かい部位で、イチボはお尻から外モモにかけての場所にあり、サシの入り方のバランスが良い部位だ。

熟成肉らしく繊維部分がほぐれやすく変化しており、食感は部位によって異なるが、今回の部位では少しサクサクした、けれど赤身肉らしい噛みごたえもしっかり残ったものとなっている。肉そのものの味わいが濃厚で、噛みしめているとそのうまさが口の中いっぱいに広がっていく。熟成香がないため、よりストレートに肉のうまみを堪能できるのが「なれにく」の魅力のひとつだろう。

〆は「半田そうめん」を使った麺料理(写真は取材当日のもの)。コースの始めに温かいスープが供されるが、麺料理とスープどちらも神戸ビーフでとったコンソメスープに、昆布とカツオでとった濃い目のだしを合わせている。こちらのスープは肉の余韻を消さないようにと淡泊な味付け。ツルンとしたのど越しの麺がコースの〆にふさわしい。

『dressing』読者限定で席をご用意!

通常は紹介制のみの同店だが、今回は特別に『dressing』の読者限定で席をご用意していただけることになった。予約は下記からどうぞ。

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森一起
ライター/作詞家/ミュージシャン
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