伝説的アーティストたちに愛された実力シェフが「隠れ家フレンチ」をこっそりオープンさせていた!

2018年08月03日
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伝説的アーティストたちに愛された実力シェフが「隠れ家フレンチ」をこっそりオープンさせていた!
Summary
1.ナタリー・コール、セルジオ・メンデスらグルメなアーティストを唸らせたトップ・シェフが、小さなレストランをオープン
2.完璧な火入れに、ひと手間かかったソースや付け合わせ。フレンチの真骨頂が感じられる
3.好きなものに囲まれ、好きなことをして、最高に幸せ。そう語るシェフの心のこもった料理たち

セレブやグルメを唸らせてきたシェフが開いた小さなフレンチ【東京・奥沢】

東急目黒線の奥沢駅といえば、落ち着いた住宅街の広がるイメージの街。賑やかな自由が丘の隣という立地でありながら、喧騒が途切れ静かさが心地よいこの奥沢に、真打ちとも言えるフレンチがこっそりオープンしたのをご存知だろうか。

レンガ作りにガラスが映える落ち着いた外観、中に入るとカウンター8席にテーブル4席だけの小さな空間。長いバーカウンターの向こうでは、シェフが忙しく立ち振る舞う。

こちらの男性は、オーナーシェフの清水郁夫さん(写真上)。東京・南青山の有名ジャズ・クラブ『ブルーノート東京』で長年グラン・シェフを務め、数々のセレブなゲスト、またグルメなアーティストたちを唸らせてきた張本人だ。

清水さんはフランスで修業したほか、ホテルなどでの勤務を経て2001年、『ブルーノート東京』のシェフに就任した。『ブルーノート東京』は、トップ・アーティストのライブを聴きながら洗練されたフレンチが食べられることでも知られているが、この流れを作ったのは清水さんだ。

『ブルーノート東京』は満席時には300席以上が全て埋まり、しかもステージは1日2回、完全入れ替え制。これは、レストランをディナータイムに2度オープンするようなもの。さらには2回目の開場時間の前に、出演アーティストの食事も準備しなければならない。連日、戦場のような忙しさの厨房を指揮していたという。

当然、アーティスト向けの食事もお客に出すものと同等レベルのクオリティをキープ。アーティストのサインがひしめく思い出のシェフコート(写真上)には、ピアニストのオスカー・ピーターソン、シンガーのナタリー・コールやボビー・コールドウェル、セルジオ・メンデス、ギタリストのパット・メセニーなど錚々(そうそう)たる顔ぶれからの感謝の言葉が並ぶ。

ついに出逢った運命の物件は、瀟洒な外観の路面店

12年にわたる『ブルーノート東京』勤務のかたわら、「フランス料理文化センター(FFCC)」での講師を長年勤め、『ブルーノート東京』を去ったあとは都内人気店のオープンに関わっていた清水さん。実はずっと独立のタイミングを狙っており、休みのたびにお気に入りの物件を探し徒歩で巡回していたそう。そしてついに見つけたのが、この駅からほど近い路面店。60歳にて、言葉通り“満を持して”のスタートとなった。

清水さんには、以前よりこだわって使ってきた食材がいくつかあるが、その一つが福島県産の「伊達鶏」だ。「伊達鶏」はうまみや力強さにあふれ、噛み締めたときのおいしさに思わず感嘆のため息がでるほど。

また、キノコ類にもこだわり、『長谷川農産』のものを使用。丁寧に手をかけて育てられたマッシュルーム類(写真上)は、香り、味わい、うまみ、どれをとっても感動もの。野菜は“食べ物が大好きな人たちが集まる”と言われる「おいしい本物を食べる会」より仕入れる。トマト、ジャガイモ、葉物、すべてが力に溢れ、まさに“本物”の味わいといえよう。

火入れとバランス、付け合せに至るまでひと手間をいとわない“ホンモノ”の美味

こちらはランチコースの魚料理「鹿児島産アズキハタのポワレ ソース・ピストゥ」(写真上)。カリッと香ばしい皮目と、ふんわり焼き上げられた身とのバランスが完璧だ。松の実のきいたピストゥソースで爽やかに。

肉料理の「福島産伊達鶏のロースト ゆずこしょう風味」(写真上)は、シンプルにローストされた伊達鶏のうまみを存分に味わえる一品。ゆずこしょう入りの粒マスタードが添えられるが、伊達鶏との相性がバツグン! 和の鶏には和のフレーバーが実によく合うということを実感するほど、素晴らしいアイデアだ。

ディナーメニューより「白えびのカルパッチョ」(写真上)。エビを叩いてカリフラワーのソースと合わせるのは、清水さんの得意技。

ソースに散らされているツブツブは、青魚のコラーゲンを粒状に成形した”シーフード・ゼリー”というもの。甘くねっとりしたエビの舌触りと、シーフード・ゼリーのプチプチ感が対照的で楽しい。

「鶏レバーとフォアグラのフォンダン」(写真上)は、鶏レバーとフォワグラを丁寧に蒸しあげ、キメの細かなテリーヌ状に仕上げた一品。

上に乗ったオレンジピール、添えられたイチジクのコンフィチュール、そしてブルーチーズのムースのそれぞれと合わせると、全く異なる味わいに変貌するのが驚異的だ。

そしてこちらは「仔羊背肉のロースト ローズマリー風味」(写真上)。きっちりとロゼ色に仕上がった仔羊に合わせるのは、ラタトゥイユとジャガイモ。このジャガイモは薄くスライスしたものを筒状に積み上げ、プリンカップに入れたまま油で揚げるという手の込んだ一品。付け合わせにもどれだけの手間がかかっているかを実感し、思わず言葉を失う。

楽しくてしかたない! そのひと言に込められた“清水イズム”を感じに行こう

「料理を作るのは楽しい。でも、やっぱり肉が一番楽しいね。しかも塊の肉。それを焼いて、切る瞬間がスリリングでたまらないんだよ」と清水さん。

「好きな食材や好きな本に囲まれ、好きなことをしている。自分の作ったものをお客さんが食べてくれて、笑顔になってくれる。今は朝の8時から夜の12時まで働いているけど、でも、やりたいんだ。最高だろう?」

そんな同店の名前は……

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