2020年までに日本上陸!NYの老舗ステーキハウス『ピーター・ルーガー』で全米一の絶品肉を楽しみたい

【連載】NYスタイル、進行形  世界最新の食トレンドを生み出し続ける、ニューヨーク。日々新しいスタイルが提案されるこの街で、生き残るのは至難の技。そんなニューヨークのトレンドに敏感な街の「賢人」の琴線に触れた店とは?

2018年09月17日
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2020年までに日本上陸!NYの老舗ステーキハウス『ピーター・ルーガー』で全米一の絶品肉を楽しみたい
Summary
1.家族経営続く著名なステーキハウス『ピータ・ルーガー』
2.一番人気は「ポーターハウスステーキ」だが、隠れた人気メニューは“賄い”から誕生した意外な一品
3.海外初出店先は東京! 2020年までに日本初上陸が決定した

1887年にオープンした老舗

ニューヨークに住んでいる日本人、旅行や出張などでニューヨークを訪れたことのある人なら「誰でも知っている」と言っても過言ではないほど、著名なステーキハウスがある。その名は『Peter Luger Steak House(ピーター・ルーガー・ステーキハウス)』だ。

アメリカでは1号店のブルックリンに加え、ニューヨーク郊外ロングアイランドのグレートネックに店舗があるが、2020年までに初の海外店として東京出店を計画している。名店の味が東京でも味わえることを楽しみにしているファンは多いに違いない!

『ピーター・ルーガー』は1887年、『Carl Luger’s Cafe, Billiards and Bowling Alley(カール・ルーガーズ・カフェ、ビリヤーズ・アンド・ボーリングアレイ)』の名前でブルックリンにオープンした。レストランの中にビリヤードとボーリング場があったのか?と思わせる名前だが、現在の経営陣でも名前の由来は不明という。

場所は、マンハッタンからウイリアムズバーグブリッジを渡ってすぐ。イーストリバーにかかる橋を渡っている時から、レストランの大きな看板が目に留まる。地下鉄で行く場合は、MかJの線に乗ってマーシーアベニュー駅で降りて徒歩約5分。地上にある駅のホームからもレストランの看板がすぐ目に入るので、迷う心配はない。

ドイツのビアホールをイメージした内装

このエリアは元々ドイツからの移民が多く住んでいたところで、初代オーナーのピーター・ルーガー氏も、その甥でキッチンを仕切っていたカール・ルーガー氏もドイツ系だった。

レストランの内装も、ドイツのビアホールをイメージしてつくられた。

開店当初は、入り口を入って右側にあるダイニングルームのみだった。その後、入り口を入って左側にも新たに一部屋、その奥にももう一部屋をつくって拡張し、さらに2階にプライベートパーティルームも設け、現在の形になったのは25~30年前くらい。
椅子とテーブルも、古くなったものを修繕したり同じ形のものに差し替えたりしながら、開店当時の内装や雰囲気を変えないよう気を付けているという。

現在のオーナーはフォーマン家だ。店のはす向かいに“フォーマン・ファミリー”の看板が掲げられたビルがあるが、そこでソル・フォーマン氏が金属加工業を営んでいた。ソル・フォーマン氏は『ピーター・ルーガー』の常連客で、得意先の接待に同店をよく利用していたという。

ピーター・ルーガー氏が亡くなってレストラン経営が行き詰った1950年、ソル・フォーマン氏が店を買収。それ以来、『ピーター・ルーガー』はフォーマン家のファミリービジネスになっている。フォーマン家の金属加工業も現在は存在せず、フォーマン・ファミリーのビルはフォーマン家が一部をオフィスとして使用し、あとは賃貸している。

ちなみに、フォーマン家はロシア系ユダヤ人だ。『ピーター・ルーガー』のある界隈を歩くと、黒い帽子をかぶり、ひげを生やした黒づくめのユダヤ教の超正統派ハシディック派のユダヤ人男性が多く目につく。ハシディック派ユダヤ人のコミュニティに隣接しているためだが、新興エリアのウイリアムズバーグにも近いので、『ピーター・ルーガー』の周辺は、ハシディック派ユダヤ人とそれ以外の人たちがミックスしたエリアになっている。

海外初出店先は、東京!

現在の社長はソル・フォーマン氏の娘のエイミー・ルーベンスタイン氏、副社長はフォーマン氏のひ孫のダニエル・ターテル氏が務める。ターテル氏によると、東京出店はずいぶん前から「いずれ」という思いがあったそうだ。

「東京は非常に面白い食の街だし、アメリカの牛肉に対する日本人の需要はとても大きい」とターテル氏。東京進出に向けてのパートナー探しで何人かに会った結果、『Union Square Tokyo(ユニオンスクエア東京)』や『Lawry's The Prime Rib(ロウリーズ・ザ・プライムリブ)』を展開する『株式会社ワンダーテーブル』が良いという結論に至ったという。アメリカの著名レストランを日本で展開している実績から、その高いオペレーション能力に安心を得たようだ。

ニューヨークの2店舗はそれぞれ肉の熟成室があるが、東京店にも熟成室をつくる。牛肉は生のままニューヨークから東京に送り、東京店で熟成させて出す計画だ。

隠れた名物メニューは厚切りベーコン

ブルックリン店で最も人気があるのは、メニューで「STEAK FOR TWO」とだけ記されている「ポーターハウスステーキ」(写真上)。サーロインステーキのヒレ部分が大きいステーキだ。
『ピーター・ルーガー』では、「USDA Prime Beef」と呼ばれる米国農務省(USDA)が最上級と承認した牛肉しか使わない。これは、全米で流通する牛肉の数パーセントという貴重品。毎週、ニューヨークの何カ所かの精肉所を回って買い付けているが、そこで見た「USDA Prime Beef」の中で実際に買い付けるのは半分という厳選ぶりだ。

2番目に人気があるのは「ルーガー・バーガー」(写真上)。客層は家族連れが多い。こどもにはハンバーガーの方が好まれる場合もあるだろうし、ランチタイムにステーキは少しヘビーと感じる人にはハンバーガーが丁度いいということになる。

3番目によく出るのは「ルーガーズ・シズリング・ベーコン」(写真上・右下)。このベーコンは、元々はウエイターたちがキッチンの隅で食べていたものだという。それを覗き見たお客たちから食べたいとリクエストされ、出すようになった。
5~6mmの厚さで、ベーコンのうまみをじっくり味わえる一品だ。普段は「カリカリに焼いた薄いベーコンでなきゃ嫌!」という人にも、これはぜひ試してほしいおいしさ。ほんのり甘い特製ソース(写真上・左)が添えられて、ステーキ、ベーコン、フレンチフライなどに好みでかけて食べるようになっている。

『ピーター・ルーガー』は、夜は予約のみで、ランチは予約がなくても場合によっては入れる。ターテル氏は「6週間前ほどには予約を入れたほうが無難です。それでもすぐに埋まってしまいます」と話す。尚、『ピーター・ルーガー』では普通のクレジットカードは使用できない。支払い方法は、現金または同店が発行のする専用のクレジットカードのみしか受け付けないのでご注意を。

東京店も、ニューヨークでの味を知っている人々からの評判が広がって「予約の取りにくい店」になるかもしれない。ニューヨークのステーキハウスの原点ともいえる名店が東京でどの程度人気を得られるか、今から楽しみだ。



【メニュー】
STEAK FOR TWO(ポーターハウスステーキ) 時価($100~)
Luger-Burger(ルーガー・ バーガー) $14.95(チーズ、ベーコン、フレンチフライは別価格)
Luger's Sizzling Bacon, Extra Thick by the Slice(ルーガーズ・シズリング・ベーコン) $6.50

Peter Luger Steak House(ピーター・ルーガー・ステーキハウス)BROOKLYN, NY

住所
178 Broadway, Brooklyn, NY 11211
電話番号
718-387-7400
営業時間
月曜日~木曜日11:45~21:45(最終予約時間)、金曜日・土曜日11:45~22:45(最終予約時間)、日曜日12:45~21:45(最終予約時間)
定休日
無休
公式サイト
https://peterluger.com/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。