1日限定2組だけ! 幻のカニ料理&スッポンが身近に味わえる西麻布のヒミツの「割烹」

2018年11月01日
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1日限定2組だけ! 幻のカニ料理&スッポンが身近に味わえる西麻布のヒミツの「割烹」
Summary
1. 京料理とカニ料理専門店で培った経験を活かし、先付けから甘味まで旬を表現
2.お客の好みを大切に、通うほどにカスタマイズされていく会席料理
3.店主が集め続けた希少なアンティークの器、グラス類も見ごたえたっぷり

無機質な扉が噂の「割烹」の入り口

新築のマンション1階。予約が取れない割烹料理店がここにあるとは、存在を知らないと通り過ぎてしまう構えだ。

中央のガラス張りの、内部が見えない扉が玄関(写真上)。予約をしていても初来店だと開くのを躊躇してしまうが、心配はご無用。扉の向こうは、一転、お店らしい設え(写真下)になっていて、安堵する。

が、どうも普通のお店の様相ではない。通路の突き当たりが厨房で、客席は左右に1部屋ずつ個室があるのみなのだ。なるほど、1日2組限定! カウンター割烹が流行りの昨今だが、個室にした理由の一つとして、スタッフの水戸幸子さんはこう説明してくれる。

「店主がおしゃべり好きで、話し始めると料理する手が止まってしまうんです。一人で作っているので、料理が出せなくなってしまいます。それでも、できたての料理を運んだり、時には鍋をこしらえたりと、客席にどんどん顔を出して、やっぱりおしゃべりしています(笑)」。

もしかして、ものすごく気さくで親しみやすい店主なのかもしれない!?

2つの個室は、2~6名でゆったり食事ができるダイニング風。余計な装飾はなく、上品でゆったりできる空間だ。1部屋は小上がりを設け、子ども連れで訪ねてもくつろげるよう配慮されている。

日本の「食」は、旬の「色」が美しい!先付けから期待高まる逸品たち

お料理は先付けから始まるおまかせコース1本のみ。

トップバッターのキャビアに目が止まる。「初来店のお客様には必ずお出ししている先付けです」と、水戸さん。まずはキャビアに目を奪われるが、実は主役はその下に。ハマグリのバターソテーだ。

レアに仕上げた弾力と磯の風味が、下のマッシュポテトと同化する。人肌に温かいキャビアは、孵化する直前のミルクキャビア。粒が大きくなめらかだが、プチプチ感が強く広がる。

注目すべきは、器。江戸時代後期に作られた古伊万里の、青の美しさに見惚れる。

漆塗りのお椀は、蓋を開くと乳白色と翡翠色のコントラストが見事。乳白色は、天草産のハモ、翡翠色は新銀杏のすり流しだ。色と味、香りのアクセントとして、梅肉と振り柚子をあしらっている。お椀を開ける瞬間から、最後のひと口まで、五感を研ぎ澄ませて味わいたい。

続くお造りは、長崎産のアコウ。目を凝らすと、薄くピンクがかって見えるのが特徴だ。緑鮮やかなオカヒジキの上に、ふわっと重なった身を、そっと箸でつまむだけで、引き締まった身の弾力を感じる。土佐醤油、またはごま醤油で味わう。

自慢はずばり「カニ料理」! ていねいにほぐした身は、濃厚さ半端ない

店主は、活蟹料理専門店『赤坂 きた福』で6年間、毎日カニを触っていたので、献立にカニは頻繁に登場する。

今日のカニは、静岡・浜名湖産の「どうまん蟹」。正式名称は「トゲノコギリガザミ」と言い、いかにも強そうなハサミを持つ。浜名湖は、淡水と海水が混ざり合う汽水湖(きすいこ)として知られるが、この水質が「どうまん蟹」にとって最良。だが、漁獲量はとても少なく、幻の蟹とも呼ばれている。

「どうまん蟹」のほぐし身の上に、店主の出身地・北海道函館産のウニ、スッポン、土佐酢ジュレをのせた、贅沢極まりない一品だ。ひと口目から誰もが無言になるだろう。何も言わず、ただただ味わいたい。入荷するカニの種類はめくるめく変化し、秋から冬は、松葉ガニが堂々登場する。

また、スッポンを使うのには理由がある。店主は、スッポン料理にも長けていて、スッポンをメインに据えようという企画もあったほどなのだ。

名店で腕を磨いた、函館出身の料理人の姿とは?

ゆっくりと進むおまかせコース。料理に合わせてお酒も楽しもうではないか。日本酒はもちろんのこと、ワインも豊富に揃う。特に、店主が好きなブルゴーニュワインが目を引く。メニューにない隠し酒があるかもしれないので直接聞いてみるのもいいだろう。

ご用の際は、テーブルに置かれた呼び鈴(写真上)を、リンリンと振ろう。この呼び鈴も、300年ほど前のアンティークで、何度でも鳴らしたくなる心に響く音色だ。

続いて運ばれるのは、松茸の肉巻き。山梨産の松茸を、山形県産和牛で巻き、サマートリュフをたっぷりふりかける。トリュフは、和食に使うとどうしても創作料理になってしまうが、甘いタレと合わせることでコースの1品としてよくなじむ。これは、赤ワインを飲まずにはいられない!

締めの食事は、炊きたての白いご飯。添えられるのはイクラ、じゃこ、お新香、赤だし。さらに、テーブルにコンロが設置され、目の前ですき焼きが作られる。その後、甘味が続き晩餐はお開きになるのだが、お土産に「かにめし」「琵琶湖産うなぎめし」「うにめし」も名物となっている。

「ベースは京料理。献立は時季で変わりますが、短いスパンで来店する人については、その限りではなく、顔を浮かべて好みを思い、常に新しい料理を考えています。お客様に合わせて料理を作りたいのです」。

カニとスッポン料理が得意で、名店『赤坂 きた福』で腕をふるった、こちら、函館出身の料理人と、店の名は?

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