あの名シェフ菰田欣也氏の新店! 南青山『4000(ヨンセン)』の次元を超越した究極の四川料理 

2019年01月13日
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あの名シェフ菰田欣也氏の新店! 南青山『4000(ヨンセン)』の次元を超越した究極の四川料理 
Summary
1.独立から1年半、業界から顧客までが祝福する新店が幕を開けた
2.中国料理ひとすじに31年、これが菰田欣也さんの集大成だ!
3.最高の料理は人の絆で作られる

待ちこがれた菰田欣也さんの中国料理店がオープン!

港区南青山、日赤通りにまたひとつレストラン史に残るであろう店が誕生した。
店の名前は『4000 Chinese Restaurant(ヨンセン チャイニーズレストラン)』。オープン前に口コミだけで向こう2カ月の予約がほぼ埋まるという偉業を成し遂げスタートした店とは、いったいどんな店なのだろうか?

『4000』は“ヨンセン”と読む。中国料理の店なので“シセン”と読むかと思ったが、「四川からインスピレーションを得ていますが、そのままでは芸がないので」と笑顔で話すのはオーナーシェフの菰田欣也(こもだきんや)さん。

オープンに際し食業界、芸能人、同業者から贈られた店に入りきらないほどの祝い花を見ると、菰田さんがどれだけ愛されている人物なのかがわかる。それは料理の道に入った1988年から『赤坂四川飯店』の陳建一氏の下で中国料理ひとすじに生きてきたからだろう。

2001年に渋谷『szechwan restaurant陳(スーツァンレストラン ちん)』の料理長に就任してからはTV番組やイベントに出演、調理学校の講師、料理教室、冷凍食品の開発、学校給食アドバイザーなど寝食の時間を削って四川料理の普及に尽力してきた。

2017年9月に独立し、四川火鍋専門店『ファイヤーホール4000』を五反田に、次いで麻布十番にもオープン。菰田さん秘伝のスープは人気を博し、店は大盛況! しかし、誰もが心の底で菰田さんの作る四川料理を待ち望んでいた。

そして2018年も終わろうとしている12月12日、とうとうその日がやってきた。菰田さんの四川料理の店が南青山に誕生したのである。

中国料理店らしい雰囲気の中に和を感じる盆栽を配し、木の温もりに溢れる内装やゆったりと座れる椅子は非常に落ち着く。この空間はまさに菰田さんの料理を表現していると言える。

菰田さん自ら日本各地で探した生産者の作る食材、毎日豊洲に行き仕入れた魚介類を使った料理はすべてコース仕立て。ベースはあるもののお客さまの嗜好を鑑みカスタマイズする。では、その料理をいくつかご紹介しよう。

料理歴31年の経験と技術が食材のポテンシャルをマックスまで引き上げる

こちらは「石川県能登島 高農園のセミドライとフレッシュの野菜 ドライトマト炒め」。赤土で育てられた『高農園』の野菜は味や香りが濃く、“野菜を食べている”という実感がある。確かに野菜自体も大層おいしいのだが、菰田さんの手にかかるとそのおいしさは格段に増す。

「セミドライにした野菜を一緒に炒めます」と菰田さん。そうなのだ、菰田さんは形が悪く売ることができない野菜や、くず野菜を乾燥させて調味料として使っている。セミドライにすると野菜のうまみが凝縮され、さらに濃い味になるそうだ。

白菜は甘くてシャリシャリとして火の入れ方も完璧だ。噛むとポリポリと音が立つセミドライ野菜は、噛むごとに味に変化をもたらし、どうにも箸が止まらない。コース料理が終わるまでずっと横に置いて箸休めのように食べていたくなる。これがセミドライ野菜の効果なのか。ドライトマトの酸味も良い塩梅で、塩コショウのみというシンプルな味付けに奥行きを持たせている。これを「野菜炒め」と呼んで良いものなのか、次元が違い過ぎる。

次は「活車海老(いきくるまえび)の高温揚げ 満天星唐辛子と花椒のピリ辛炒め」。この唐辛子の量から想像するとかなりの辛さだが、それを感じさせないのが車エビの存在。生きたまま高温でほんの数秒揚げた車エビは頭からガブリといくと殻は薄皮のようにやわらかく、それでいて天ぷらのようにサクサク。信じがたい食感だ。甲殻類特有の香りとエビ味噌のコクに身も心も骨抜きになる。

それにしても活きた車エビを揚げるとは何と贅沢なことだろう。良い食材をとことん使う、そこが菰田さんのこだわりだ。「エビ卸専門店の『亀福』さんから仕入れています。本当に素晴らしい車エビで全幅の信頼をおいています」と菰田さん。添えられたのはニンジンの葉。形といい、色味と言い、味といい、食材のマリアージュのセンスも見事だ。

人気の一品から「毛鹿鮫(モウカザメ)フカヒレと干しアワビの煮込み 柔らか白菜添え」をいただく。フカヒレのコリっとした食感、弾力がありながらも歯切れの良いアワビのおいしさはもちろんのこと、高級食材にも勝るとも劣らないのが、とろとろにやわらかく甘みが存分にある白菜。

またそれらを包み込むソースが隙のない最強のマッチングを作り出す。

料理もクライマックス、メインとなるのは「十勝ファームで育ったマンガリッツァ豚のバラ肉で作る“回鍋肉(ホイコーロー)”」である。

濃厚な赤身だけでなく良質な脂をもつハンガリーのマンガリッツァ豚は飼育管理制度が制定されておりハンガリー国内でも希少で国宝とされている。その純血マンガリッツァ豚を生体輸入し4年かけて純血国産マンガリッツァ豚としてやっと出荷するに至ったこの十勝のマンガリッツァ豚は、中国料理で使うどころか手に入れることすら困難である。「1頭に18カ月かけて飼育しているんです。だから脂がきれいでしょう? 初めて食べた時にこの脂を食べさせたいと思ったのです」と菰田さん。

確かに見た目ではかなり脂があるが、脂っぽさを微塵も感じない。その秘策を訊くと塊肉を茹でただけというからびっくりだ。度肝を抜かれたのはその調理法でキャベツや甘辛い甜麺醤(テンメンジャン)は使わない。四川では茹でた豚の塊肉をカットして葉ニンニクと炒め豆板醤などで味付けするのである。

肉は茹でてあるので余分な脂が落ち、うまみだけが残る。そこで活躍するのが自家製の豆板醤だ。「市販のものを使っていた時もあるのですが、どうしても化学調味料の味がしてしまう。食材の持つ自然のうまみには合わないし、辛さも自分で調節できるので手作りしています」と言う。長い間、中国料理を究めてきた菰田さんだからこそ言葉に重みを感じる。

50歳を迎えた菰田さんの集大成とも言える料理

今の菰田さんが作る料理は若い頃とは明らかに違う。年齢を重ねるにつれ身体に良いものを摂りたいと6年前に栄養薬膳師の資格を取得した。口にするもので身体は作られる。だから良い食材、良い調味料にこだわりたいと言う。ここ数年は自ら日本全国へ赴き生産者と直接話をして仕入れている。生産者の想いを訊くことでどう料理すれば良いか考えられるそうだ。「本当にいつも最高のものを使わせていただいています。感謝しかありません」と話す。

取引のある仲卸業者や生産者に来店してもらい料理を振る舞った。自身の作った野菜や卸した魚がどう料理されているのかを知ってもらうことでアドバイスや新しい提案をもらい絆が深まったと言う。
「大切なのは人なんですよね、食べてもらうのも人、仕入れさせてもらうのも人、一緒に作るのも人、だから顔を見て話すことが大事だと思っています」。

最高の食材を最高においしくできる経験と技術で生まれる最高の料理、根元にあるのは人とのつながりだった。菰田さんの料理は人の愛に満ちあふれている。おいしくないわけがないではないか。


撮影:八木竜馬

【メニュー】
LUNCHコース 10,000円/15,000円 
DINNERコース 15,000円/22,000円/38,000円/50,000円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。

4000 Chinese Restaurant(ヨンセン チャイニーズレストラン)

住所
〒107-0062 東京都港区南青山7-10-10 パークアクシス南青山7丁目1F
電話番号
03-6427-9594
営業時間
ランチ12:00~、ディナー18:30~
定休日
不定休(毎月変動制)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/a1n486kd0000/
公式サイト
https://minamiaoyama4000.jp

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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須永久美
ライター