本物の「ジビエ」に開眼! 岐阜『摘草料理かたつむり』は、わざわざ行くべき孤高の名店である

味わう旅 #6

2019年04月06日
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本物の「ジビエ」に開眼! 岐阜『摘草料理かたつむり』は、わざわざ行くべき孤高の名店である
Summary
1.岐阜の山奥に佇む『かたつむり』は、わざわざ行く価値のあるジビエの名店
2.供するのは、いま一番おいしい天然物。素材の味を活かした一皿が並ぶ
3.店主自らが捌く本物のジビエ料理、自然のうまみに開眼

国内外から注目される岐阜県と、その食文化

中部地方を代表する観光地・岐阜県には、世界文化遺産でおなじみの白川郷を始め、飛騨高山(ひだたかやま)の古い町並みや下呂(げろ)温泉など、さまざま名所が点在している。

特に白川郷は、国内のみならず外国人観光客も増えており、日本有数の人気観光スポットとなっている。

また特徴的なのは、富山・石川・福井・長野・愛知・三重・滋賀と7つもの県に囲まれ、海に面していないこと。

そのため、物流の発展や冷蔵技術が浸透する前は、朴葉寿司(ほおばずし:タケノコ、鮭の切り身、シイタケ、紅ショウガなどをのせた寿司飯を朴の葉で包んだ郷土料理)などの保存がきく食べ物や、県内で採れる食材、主に山の幸を使った料理が盛んに食べられており、現在でもその名残がある。

そんな岐阜県北部の山県(やまがた)市に、日本を代表するジビエ料理の専門店がある。『摘草(つみくさ)料理かたつむり』だ。

店主自ら捌いたこだわりのジビエ料理が楽しめる名店

立地的に公共交通機関で行くのは難しいため、岐阜市などでレンタカーを借りていくのが一般的だろう。JR岐阜駅付近から車で向かう場合、下道を30分ほど進んだ山県市の長滝を通る県道174号沿いを進む。

一見民家のような佇まい(写真上)で見過ごしやすいため、注意が必要だ。

隣接する駐車場に車を止めると、オーナーの清水滋人さん(写真上)が現れた。清水さんは、元々ジビエ肉の卸業を営んでいたが、和食とイタリアンに長けたシェフである岩田芙美代さん(写真下)との出会いからジビエ料理店を始めた。

「今日は珍しくツキノワグマが獲れたんだよ」とにっこり笑い、早速解体に取り掛かる清水さん。提供する肉は必ず自分で捌くというこだわりも、お客に提供する以上、それがどんな状態の肉であり、何歳でオスなのかメスなのか、狩りで獲られたものなのかどうかなどの個体情報を自分の目で確かめたいからだと話す。

よって、どんな動物も必ず信頼のおける猟師から1頭丸々仕入れることをポリシーにしている。バラ売りの肉や仕掛けワナで捕まった獣は、安いが、味の保証ができないからだ。

同店で提供される食材は、季節によって大きく異なる。春は山菜やカモ、夏は鰻や鮎にポルチーニ茸、秋はキノコ全般、冬はツキノワグマやアナグマといった具合だ。

しかし自然の生き物なので、希望した食材が手に入るとは限らない。希望する食材がなくても、初めて出逢うような絶品食材が次々に運ばれてくるので安心してほしい。清水さんは、山の食材を扱って30年以上のプロフェッショナル。むしろ清水さんに、すべて任せておくのが賢明だろう。

同店にはアラカルトメニューは存在しない。キノコや山菜がメインの4,000円のコースや、ジビエをたらふく楽しむことができる15,000円のコースが用意されているのだ。

その他珍味や希少部位は、予約時に食べたい旨を伝えることで、予算に応じて提供してもらうことができる。いずれにしても、食材調達の関係で来店3日前までの予約が必須となっている。

そのなかでも今回は、最もメジャーな15,000円のコースを紹介しよう。

初体験な天然物の数々に、驚きの連続

先付けは全部で9類。「イノシシの旨煮」「アジメドジョウ」「ふなの甘露煮」「さつまいもの木の葉」「熊のお肉で炊き上げた大根」「かぼちゃ」「巻きがき」「イノシシの膵臓の燻製」「アピオス」と、早くも聞きなれない食材のオンパレードに思わずニヤリとしてしまう。

どれも天然物で必要最低限の味付けが施されており、食材の味をしっかりと感じるとることができる。特におすすめしたいのが「イノシシの膵臓の燻製」だ。

新鮮なイノシシの膵臓を赤ワインに7日間つけて燻すことでチーズのように芳醇な香りをまとわせる。ワインのつまみにはこれ以上のものはない。

舌がジビエに慣れてきた頃、20cmほどの芳ばしく炭火焼きされた「イノシシのスペアリブ」(写真上)が運ばれてくる。噛んだ瞬間、肉汁がジュワッと口の中に広がり、芳ばしい香りが鼻を抜ける。

適切な処理をされた天然のイノシシは臭みやえぐみが一切なく、豚肉よりも味が濃く、赤ワインが止まらない。

がっつりとイノシシを楽しんだ後は、さっぱりとした「ヒラタケのお吸い物」(写真上)で口直し。ヒラタケのだしが体に染み渡りほっと胃を落ち着かせる。

続いて供されたのは、上品に添えられた「季節の天ぷら」(写真上)。この天ぷら、よく見ないとその素材の見当が難しい。

写真上は、右から銀杏、モロコ、 香茸(コウタケ:独特な香りのする天然キノコ)のコロッケ、ノビル、ふきのとう、干し柿。別皿に添えられた岩塩を少しまぶしていただく。

旬の素材を使用しているのでどれも味は折り紙つきだが、香茸コロッケには誰しもが驚かされるだろう。香りは松茸やトリュフをも超えると思わされるほどで、鼻から抜ける芳醇な香りがたまらない。

天ぷらの後はカモ料理「カモの鉄板焼き」(写真上)だ。円形に美しく並べられた赤身部位がロースで、真ん中の白っぽい部位がモモである。いずれも味付けはされておらず、客自身が鉄板で好みの加減まで火を通し、こちらも岩塩を少しかけてシンプルにいただく。素材の味を存分に楽しむことができる一品だ。

ロースはさっぱりとした味わいであるのに対して、モモは甘みが強く味も濃厚だ。どちらもクセやえぐみは全くなく、適度な歯ごたえによってうまみを噛みしめることができる。

これぞ本物のジビエ! 新鮮で良質な自然のうまみを体感

そうしてお腹も膨れてきた頃だが、メインはこれからだ。コースのメインは、基本的には山の幸のしゃぶしゃぶとなる。カツオと昆布がベースのスープに8種類のキノコを入れ、ぐつぐつ煮込んでいるところへメインの食材をしゃぶしゃぶし、いただく。

この日のメインは、薄くスライスしたツキノワグマ(写真上・左)とイノシシ(同・右)の肉だ。良質な脂をまとったツキノワグマ肉は想像を超える甘さで、口の中で脂がみるみる溶けていく。反対にイノシシ肉は弾力があり、噛めば噛むほどうまみが溢れてくる。

いずれも、だしとキノコのうまみが染みこんでいるので、調味料は特に必要ない。味に締まりが欲しくなったら、別添えの柚子胡椒を少しつければ良いだろう。良質な肉のうまみがスープに溶け込むため、食べれば食べるほど感じるうまみは増えていく。

締めに米を投入し雑炊にして食べるのが『かたつむり』流なのだが、あまりに汁がおいしく、米が来る前に汁を飲み干してしまうお客が後を絶たず、今では雑炊用の米が提供されることを最初に伝えているほどだ。

▲食後には季節の果物とコーヒーが供される

「極上の天然物の味を、是非知ってもらいたいです」と強く語る清水さん。そんな本物のジビエを体感しに、岐阜の山奥まで足を運ぶ価値は大いにある。


【メニュー】
ランチコース 4,000円
ジビエコース 15,000円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。

摘草料理 かたつむり

住所
岐阜県山県市長滝502
電話番号
050-5487-9393
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
ランチ 12:00~15:00
(L.O.14:30)
ディナー 18:00~21:00
(L.O.20:30)
定休日
不定休日あり
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/6faffx8u0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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