一度飲むと忘れられない「ゲイシャコーヒー」って!? 幻のコーヒーの魅力を『丸山珈琲』からレポート

魅惑のコーヒーワールド #1
いまやワインのように、豆の様々なキャラクターを楽しむ「コーヒー新時代」が到来。日頃からコーヒーを楽しむファンから、興味はあるけれどよく分からないというビギナーまで、「コーヒー新時代」をもっと楽しむためのヒントをお届け。

2019年03月31日
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一度飲むと忘れられない「ゲイシャコーヒー」って!? 幻のコーヒーの魅力を『丸山珈琲』からレポート
Summary
1.その味に世界が感嘆! 業界に革命を起こしたゲイシャコーヒーとは?
2.”幻のコーヒー”と言われる理由は?スペシャルティコーヒー人気でますます注目度アップ
3.東京でゲイシャコーヒーを味わうならここ! 一流バリスタのコーヒーが味わえる『丸山珈琲』へ

【連載:魅惑のコーヒーワールド】一杯約2,000円のコーヒー! 世界が注目する「ゲイシャ」コーヒーとは?

2014年、アメリカ発祥のコーヒーチェーン『スターバックス コーヒー』が一杯約2,000円という高額なコーヒーを売り出したニュースは、瞬く間に日本中を駆け巡った。販売されたのはパナマのゲイシャ種。そのとき、初めてその名前を耳にした人も多いことだろう。

このゲイシャと呼ばれるコーヒーは、どんなコーヒーで、なぜこのように高額なのか。

本コラムでは、ゲイシャコーヒーが”幻のコーヒー”と言われる秘密を解き明かしつつ、極上のゲイシャが味わえる店もご紹介。今は、高品質なコーヒーを丁寧に楽しむ“コーヒー新時代”。その豊かさの象徴ともいえるゲイシャコーヒーの魅力に迫ってみよう。

注目のきっかけは「ゲイシャショック」。世界が感嘆した味わい

「ゲイシャ」と聞けば、日本に縁があるのではと思う人もいるかもしれないが、その名前はエチオピア南西部にあるゲシャ村の名に由来している。

ゲイシャというのはコーヒーの品種のひとつで、ゲシャ村で自生していた種が起源となり、本来なら「ゲシャ」と呼ばれるところが「ゲイシャ」と伝わり、そのまま広まったと言われている。

ここで少し品種について解説しよう。
現在、日本でコーヒーとして飲まれているのは、「アラビカ種」と「カネフォラ種(ロブスタ種とも呼ばれる)」の2種類。そのうち、専門店でよく飲まれているのは「アラビカ種」で、そこからさらに細かくいくつかの栽培品種に分かれていく。

「ゲイシャ種」は「アラビカ種」の突然変異した在来種の一つ。エチオピアで発見され、その後コスタリカに渡り、パナマなど中米の各地に植えられるようになった。

ゲイシャは最初から注目されていたわけではなかった。その名が世界中にとどろいたのは「ゲイシャショック」と呼ばれる出来事がきっかけだ。

年に1度、パナマで開催される「ベスト・オブ・パナマ」というコーヒーの国際品評会がある。2004年、その品評会にパナマ『エスメラルダ農園』が初めてゲイシャコーヒーを出品。そのコーヒーを口にした世界各国の審査員たちは、今まで飲んだことがないような際立つ個性に感嘆し、その魅力に熱狂した。

品評会後に開かれたオークションでは、『エスメラルダ農園』のゲイシャは史上最高値で落札され、一躍その名が世界中に知られるようになる。その後も、品評会で優勝し続け、ゲイシャの価格はオークションで毎年高値を更新。世界で最も高価なコーヒーの一つとなった。

ゲイシャコーヒーが“幻”と呼ばれる理由は?

ゲイシャは“伝説”や“幻”などと呼ばれるが、その理由は2つある。
少量しか生産されない希少性と、スペシャルティコーヒーであることだ。

「アラビカ種」は病害虫に弱く、少しでも強い品種がないかということで、中米にたくさん持ち込まれた種のひとつがゲイシャだった。しかし、ゲイシャは他の品種と比べて、実のなる量が半量程度と生産性が低く、生産者にとってあまり魅力的な品種ではなかった。

そのため、ほとんどが栽培をやめてしまい、細々と栽培を続けていたのは、『エスメラルダ農園』を初めとするいくつかの農園だけだった。

『エスメラルダ農園』では、ゲイシャは標高1,600~1,800mの急斜面という、栽培には難しい環境で育てられていた。この豆の良さに気付いた生産者は、試行錯誤しつつ、時間をかけて丁寧に栽培を続けた。その結果、見事にその個性が花開いたのだ。

その傑出した個性が高く評価されるようになった背景には、先述の通り「スペシャルティコーヒー」であると認められたことが欠かせない。

そもそも「スペシャルティコーヒー」とは、豆の栽培から始まり、選別、焙煎、抽出にいたるすべての段階でしっかりと品質が管理され、消費者のもとに届けられる高品質コーヒー。

一般に飲まれるコーヒー(コモディティ)と上質なコーヒー(プレミアム)のさらに上として位置づけられ、おいしさだけではなく、産地ごとの豊かな個性を感じられることも重んじられる。

より質の良いコーヒーを作りたいという生産者の想いから生まれ、抜きん出た個性を持つゲイシャは、まさに「スペシャルティコーヒー」を代表する存在。

現在流通しているコーヒー豆全体の中で「スペシャルティコーヒー」と呼ばれるのは、わずか0.5%ほどと言われ、ゲイシャはその頂点に立っているといえば、その希少性がおわかりいただけるだろう。

ぜひ覚えよう! ゲイシャコーヒーの特徴を整理

世界のコーヒー愛好家が憧れるゲイシャは、どんなコーヒーなのだろうか。産地、味わいなどをご紹介しよう。

産地
パナマの品評会で一躍注目を浴びたゲイシャだが、今ではパナマのみならず原産地のエチオピアや中米各国で栽培されている。高品質なゲイシャを生産するためには、適した環境と高度な栽培技術が必要。このため、生産地は増えても限られた量しか収穫できず、その希少性は変わっていない。

豆の特徴
もともと野生種だったゲイシャは豆の形も特徴的。他のコーヒー豆が丸みを帯びた半円形なのに対して、少し細長い形をしている。

味わい
ゲイシャを初めて飲んだ人は「これがコーヒーなのか!?」と驚くだろう。香水にも例えられるフローラルで華やかなアロマ、トロピカルフルーツのような甘さ、心地よい酸味などが主な特徴となる。

焙煎
焙煎は豆のポテンシャルを引き出すことが大切で、「ゲイシャならこの焙煎」という決まったルールはない。ただ、特有の香りや味わいを生かすために、浅煎りから中煎りに焙煎されることが多い。

どこで飲めるのか
全国の「スペシャルティコーヒー」専門店のいくつかで扱われ、有名コーヒーチェーン店でも時折、数量限定で販売されることもある。まだまだ生産量が少ないゲイシャ。店頭で出会いがあれば、ぜひ試してみたい。

一度飲むと忘れられない味わいを持つゲイシャ。その味わいを一流バリスタによる一杯で楽しむことができる店を紹介しよう。
『丸山珈琲 表参道 Single Origin Store(シングルオリジンストア)』だ。

一流バリスタが淹れる至福のコーヒーに出逢える『丸山珈琲 表参道』へ

軽井沢で1991年に創業し、現在、長野、山梨、神奈川、東京で11店舗を構える『丸山珈琲』。『表参道 Single Origin Store』は、コーヒー業界で常に注目を集めている同店が、表参道に初進出したと話題を呼んだ。

店舗は、国内外から訪れる人で賑わう大通りから入った路地の先にある一軒家。緑に囲まれ、まるで隠れ家のような風情がある。

1階はコーヒー豆のショップとテイクアウト用カウンター。常時用意されているコーヒー豆はなんと約30種類。品評会の国際審査員を務め、1年の半分近く海外の生産地を飛び回っている、創業者の丸山健太郎氏が厳選したものばかりだ。

知識豊富なバリスタに相談したり、実際に試飲したりしながら、ゆっくりと好みのコーヒー豆を選ぶことができる。

2階はカフェスペース。コーヒー農園併設のカフェをイメージした店内は、天井も高く開放感にあふれ、緑と白を基調にしたクラシックなインテリアが優雅。森の中のリゾートにいる気分でコーヒーを楽しむことができる。

『表参道 Single Origin Store』のコンセプトは「Discover Coffee(コーヒー豆生産者との出会い)」。品種や産地だけでなく、生産者が異なれば、コーヒーの味わいも変わってくる。同店では、良質なコーヒーを作り続ける生産者にスポットライトを当てて、商品をラインナップ。

1階奥には、世界中から集められたコーヒー豆が、生産者の写真と共にディスプレイされている。生産者とコミュニケーションを重ね、絆を築いてきた『丸山珈琲』だからこそ見られる光景だ。

それぞれの違いに驚く、おすすめのゲイシャコーヒーを飲み比べ!

さっそく、おすすめのゲイシャコーヒーを3種類紹介しよう。3杯ともフレンチプレスで抽出。バリスタ櫛浜(くしはま)健治さんの鮮やかな手際に思わず見とれてしまう。

「フレンチプレスだと、コーヒー豆の油分までしっかり抽出します。豆の風味をダイレクトに楽しめ、コーヒーの特徴もはっきりわかります」と櫛浜さん。豆の品質に自信のある『丸山珈琲』ならではの楽しみ方だ。

▲左から「50lbs.ECP ハイメ・カルデナス ゲイシャ レッドハニー」(802円)、「ガリード ゲイシャ エル・アレナル」(900円)、「ファビオ・カバジェロ2018年ホンジュラスCOE1位」(1,188円)

まずは、コスタリカの「50lbs.ECP ハイメ・カルデナス ゲイシャ レッドハニー」。『50lbs.ECP(フィフティ・パウンズ・エリート・コーヒー・プロジェクト)』とは、コスタリカの輸出業者が行っているプロジェクトで、約22.6kg(50lbs.)という極少量(通常のコーヒーは約60~70kg)で品質を管理し取引をしている。まさにコーヒー豆のエリートたちだ。こちらの豆は『丸山珈琲』が日本での独占販売を許されている。

一口飲むとまろやかな酸味をまといつつ、しっかりとした甘さが感じられ、まるでピーチのような風味がある。後から押し寄せるアフターフレーバーが「ゲイシャ種」らしく華やかだ。

「温度帯が変わると味わいも変わります」と櫛浜さん。温度が低くなると、よりフルーツジュースのようなフレーバーが現れてくる。

「ガリード ゲイシャ エル・アレナル」(写真上)の産地はパナマ。カップを顔に近づけると、まるでジャスミンのような香りに驚かされる。

心地よい酸味、ハチミツにも似た甘さ、あふれる華やかなアロマ。一般的に言われる「ゲイシャ」の個性がくっきりと感じられ、長く続く余韻に酔いしれたい一杯だ。

「ファビオ・カバジェロ」(写真上)。「2018年ホンジュラスCOE」で1位を獲得した特別なゲイシャコーヒー。「COE(カップオブエクセレンス)」とは、年に1度、各生産国で開かれるコーヒーの国際品評会のこと。

「ファビオ・カバジェロ」は、他の2杯に比べて色目が淡く、まるでハーブティーのようなエキゾチックな香りが匂い立つ。一口飲むと、最初はレモンのような酸味が感じられ、徐々に甘さが増しマスカットのようなフレーバーが現れるなど、一つのコーヒーの中に何層も複雑な味わいが秘められている。

▲1階で販売される「ファビオ・カバジェロ」の豆。隣には生産者・ファビオ・カバジェロ氏の写真が飾られている。

このようにいろんな要素の味が一つのカップから感じられるのは、雑味のない、クリアな味わいを持つコーヒーならでは。生産者が栽培から選別、豆の処理に至るまで丁寧に仕事を施した賜物だ。

同店では、もちろん「ゲイシャ種」のコーヒー豆も購入できる。写真上は「50lbs.ECP クリスチャン・モンヘ ゲイシャ レッドハニー」。

ハンドドリップの場合、豆10gを92~93℃のお湯で180cc淹れるのがおすすめ。豆ごとに淹れ方のアドバイスを受けられるのもうれしい。

バリエーション豊富! 気分や好みにあった「スペシャルティコーヒー」が選べる

同店のゲイシャコーヒー以外のおすすめも紹介しよう。こちらはサイフォンで抽出していただいた。サイフォンによる抽出はサイフォニストが在駐のときのみ実施される。

▲サイフォンで抽出する様子も目の前で楽しめる

サイフォンはフレンチプレスより高温かつ短時間で抽出するため、すっきりとした飲み口となるのが特徴だ。

ご紹介するのはエチオピアの「OCR チベブ・ロバ」(写真上)。柑橘系やレモングラスのような風味といったエチオピアの豆ならではの特徴を持ちつつ、ジューシーでフルーティな甘さがある。しっかりとした甘さと爽やかな酸味とのバランスが絶妙だ。

「OCR(オペレーション・チェリー・レッド)」とはオランダの輸出業者が主催した、世界の著名なテイスターが参加したプライベートオークション。オークションで買い付けた銘柄が今後も続々と登場予定だそうだ。
※上記コーヒーは、いずれも数量に限りがあるため、なくなり次第終了

人気パティスリーのケーキとともに、至福のコーヒータイムを

同店では、コーヒーの他にも、イタリア製マシンによるエスプレッソやカプチーノなども楽しめる。フードは、学芸大学の人気パティスリー『ジュンウジタ』のケーキがいただける。

コーヒーの種類の多さに圧倒されそうだが、好みの味に出逢う方法について櫛浜さんにアドバイスをいただいた。

「まずは酸味や苦みなど、好きなコーヒーの味わいを伝えてください。そのときの気分でも大丈夫です。リフレッシュしたい、落ち着いた気分のときに飲みたいなど生活の中でどんな風にコーヒーが飲みたいのかお聞かせください。それにあった味わいのコーヒーをおすすめしますよ」

ズラリと並んだコーヒーは、どれひとつとして同じ味はないという。コーヒーは、手軽にテイクアウトも可能。
新たなコーヒーの楽しさにきっと出逢える『表参道 Single Origin Store』で、魅惑のコーヒーワールドを旅してみよう。

編集協力/小田中雅子


【メニュー】
50lbs.ECP ハイメ・カルデナス ゲイシャ レッドハニー 802円/1杯、1,620円/100g
ガリード ゲイシャ エル・アレナル 900円/1杯、3,024円/100g
ファビオ・カバジェロ2018年ホンジュラスCOE1位 1,188円/1杯、6,264円/80g
OCR チベブ・ロバ 900円/1杯、3,240円/100g
ケーキ(ジュンウジタ) 566円~

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込みです。
※すでに販売を終了している銘柄もあります。

【一部画像提供】
PIXTA

丸山珈琲 表参道 Single Origin Store

住所
〒107-0062 東京都港区南青山3-14-28
電話番号
03-6447-5238
営業時間
10:00~21:00
定休日
年中無休
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/dxg3t3cx0000/
公式サイト
http://www.maruyamacoffee.com/blog/shop/omotesando

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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須永久美
ライター