本当は教えたくない!本場仕込みの「自由なフランス料理」に心躍る、中目黒の隠れ家フレンチ『グルドボワ』

2019年03月25日
カテゴリ
レストラン・ショップ
  • レストラン
  • 中目黒・代官山
  • フレンチ
  • ワイン
  • ビストロ
  • 東京
本当は教えたくない!本場仕込みの「自由なフランス料理」に心躍る、中目黒の隠れ家フレンチ『グルドボワ』
Summary
1.本場仕込みのフランス料理をカジュアルな価格で楽しめる、中目黒のカウンターフレンチ
2.ワインは100%ヴァン・ナチュール。ワイン同様、産地の風景が見える食材を選ぶ
3.食材同士の新しい出逢い。発見と驚きがある、色彩豊かな料理の数々

日常使いしたくなる、気軽なフランス料理店が中目黒に誕生

東京・中目黒駅から徒歩5分、人気店が林立する街角に2018年11月、気軽なフランス料理とヴァンナチュールの店が新しく誕生した。

その名も、『La gueule de bois (グルドボワ)』。訳してみると、なんと「二日酔い」。
ワイン好きならもうそれだけで、ぐっと身近に感じてしまうだろう。

カウンター席は、心地良いシェフズテーブル

10坪の店内は、高めのカウンター10席(写真上)と低めのカウンター2席、そして4人掛けのテーブル1つ(写真下)からなる。

カウンター席は、オーナーシェフ・布山純志(ぬのやまじゅんし)さんの動きがよく見え、次々に作り出される料理にわくわくしながら、おしゃべりも楽しめる特等席。
グループならばテーブル席へ。裸電球の下、まるでフランスの路地裏にいるような雰囲気を味わえる。

レストランよりカジュアル、ビストロより新しい

「パリでは2010年頃に注目された“ビストロノミー”ですが、レストランよりカジュアルで、ビストロより新しい感覚が漂います」(布山さん)。

布山さんは渡仏した時にビストロノミー(美食を意味する「ガストロノミー」とカジュアルなフレンチ「ビストロ」の2つを併せ持つお店)に通い、感動し刺激を受けた。

「料理人としての経験と発想を駆使して、食材と食材の新しい出逢いを提案するのがビストロノミーだと悟りました。そして、いつかそんな店を作りたいと願うようになったんです」(布山さん)。

高級感があり記念日のものといったフランス料理を、もっと日常にしたいと言うのが布山さんのテーマだ。

「シェフのおまかせコース」は、お一人様でもOK

メニューを眺めると、前菜からメインまで10数種類が並ぶ。どれも気になって選べない…そんな方におすすめなのが「シェフのおまかせコース」。

「最初はなかったんですけど、お客さまの希望があっておまかせコースを作りました。突然の入店でもお一人様でも大丈夫ですし、好みや要望に合わせてお作りできますよ」(布山さん)。

ちなみにこのおまかせコース、5品+アミューズでひとり5,000円。
もちろん、これから紹介する料理もすべて一人分だ。味わったあとは、だれもがそのコスパのよさに驚くだろう。

日本料理の先付けを思わせる、繊細なアミューズ

「シェフのおまかせコース」は、まずアミューズから。

菜の花とホタルイカのハニーマスタード和えをパンにのせた小さなひと皿は、春らしさ満載。

「菜の花のフレッシュな苦みをアクセントに、ハニーマスタードは酢味噌をイメージしました」と、布山さん。確かに、ひと口頬張ると、春の日本料理の先付けを思わせる味わいがする。

「和食の料理人がいらして、いろいろ食べてくださった後、『僕ら寄りの料理ですよね』って言われたこともあります」と、笑う。

スパークリングに合わせたい、海が香る前菜

続いて供されるのは、「兵庫県産真牡蠣の冷製 生クリームと焼きのり 海藻とシャンパンビネガー」。

「海のミルク」と呼ばれるクリーミーな牡蠣が、生クリームと出逢ってミルク感がさらに濃厚に! 口に含むとシャンパンビネガーの酸味、ワカメやトサカノリ、エシャロット、レッドオゼイユ(ほのかな酸味のあるハーブ)の食感と風味が追いかけてくるようだ。

それぞれが個性のある食材なのに、プリッとした主役の牡蠣が見事に引き立っている。

アラカルトメニューなら牡蠣は2個付けだが、おまかせコースでは1個。しかし、1個でも大粒の牡蠣なので食べごたえ十分だ。

馬肉のタルタルに振りかけられているのは、チーズではなくラルド

続いて登場する料理は「馬肉のタルタル・イタリア産ラルドのすりおろし」(写真上)。

▲新鮮な馬肉をたたき卵黄を加えてまとめ、仕上げにラルドを削りながら振る(写真上・左)。さらにゴマやエシャロット、ケッパーベリー、ピンクペッパーをあしらう(同・右)。

ラルドとは、豚の背脂を使った生ハムで、この料理では冷凍庫で凍らせてから削っている。口の中で、ねっとりまとまった馬肉をラルドの脂が包み込む感じがよくわかり、食材と食材の組み合わせの妙にため息だ。

色合いから生まれる、新しい料理。これは一体…

どきりとする色合いの一品は、「真鱈のベニエ(フリット)自家製ビーツのマヨネーズ」(写真上)。

タラに纏わせた衣の黒色の正体は、竹炭。
卵・小麦粉・ビールに少量の竹炭を混ぜているのだ。衣内に、タラのジューシーな風味が封じ込められていて、熱々を頬張ると衣がサクッ、タラがジュワ。

ビーツ100%ジュースと、豆乳でつくった自家製マヨネーズを合わせたピンク色のソースをたっぷり付けると、まろやかな酸味が口いっぱいに心地よく広がる。

「フランス産のクラフトビールを発注したので、もうすぐアルコールメニューに入ります。ぜひ合わせてみてほしいです」(布山さん)。

布山さんの料理は、インスピレーションから生まれる。
フランス現地の新しい料理の“写真”を見て、その色合いを参考にすることもあるという。

「大切なのは、食体験。四六時中、食材と食材の組み合わせをイメージしています」(布山さん)。

シンプルに見えるメニューにこそ、素材へのこだわり

魚介料理は、「ヤリイカのソテー 牡蠣とほうれん草のピューレ 白バルサミコソース(写真上)」。

千葉県・外房で水揚げされた旬のヤリイカをさっと焼き、蒸し牡蠣と生クリーム、ほうれん草を合わせたピューレに盛り付ける。仕上げには、白バルサミコを少し煮詰めたソースをかけるひと皿だ。

野菜は、広島県のハーブ農家からの直送。
「試食してみると、野菜の強烈なパワーに驚いて、僕自身が虜になったんです」と、布山さん。

産地とつながって取り寄せている自慢の食材がもう1つある。故郷の滋賀県の特産品、近江牛だ。

肉料理は、ダイナミックに焼き上げる

春らしく紅菜花(ベニナバナ)をあしらった肉料理は、「滋賀県『木下牧場』産近江牛クリミのロースト(写真上)」。クリミとは、肩から前足にかけての部位で、筋肉が発達していて脂肪分控えめ、うまみが強いのが特徴。

「僕が滋賀県出身ということもありますが、木下牧場の牛肉をどうしても使いたくて牧場を訪ねたんです」と、布山さん。

同牧場では、規定ランクにこだわらず国産の飼料を70%以上使い、健康的な牛を育成。脂がスーッときれいに消えるのが魅力だ。

まず多めのオイルで焼き、210℃のオーブンで5分火入れし、5分休ませる。仕上げに直火で炙り焼き、香ばしさを引き立てる。

ゴボウを使ったソースと、マデラ酒(ポルトガル・マデラ諸島で作られるアルコール度数の高いワイン)のソースを添えていて、2種のソースの相乗効果で風味がさらに広がる。

扱うワインは、100%ナチュール!

ヴァン・ナチュール(Vin nature)は、いわゆる「自然派ワイン」。

環境や健康を大切に考え、無農薬・有機栽培で作られたブドウを原料に、自然酵母を使ったり、酸化防止剤を極力控えたり、ノンフィルター(無ろ過)で瓶詰めしたりと、大量生産ではない丁寧な醸造で生まれるワインをいう。

同店で扱うワインは、すべてヴァン・ナチュール。グラスは赤と白それぞれ3種類、ボトルは4,000円台から用意。ボトルワインの中心価格は6,000円前後と、2人なら「ボトルを開けようか」と思わせる。

ラインナップから、布山シェフのおすすめをご紹介しよう。

▼左から
・ドメーヌ・デ・ブリソー「レ モルティエ2010」(醸造家のクリスチャン・ショサールは2012年没)
・オリヴィエ・コエン「ロゼ・フォンセ2017」
・ナナ・ヴァン・エ・カンパニー「エンジョイ・ルージュ」
・ル・クロ・デュ・テュ・ブッフ「コトー・デュ・ジェノワ2015 」
・ドメーヌ・ジュリアン・ペイラス「ヴァン・ド・フランス・ブラン・レ・コパン・ダボール」

「フランス滞在中に刺激を受けたワイナリーのワインを、ぜひ飲んでいただきたいですね。左から2本目を作っているオリヴィエ・コエンとは、ニースのビストロで一緒に働いていたんです」(布山さん)。

布山さんは、23歳から料理の世界に入り、2012年に渡仏。約1年間、南東部の都市ニースで研鑽を積んだ。
実は、以前はワインが飲めなかったという布山さん。それが、ニースでヴァン・ナチュールに出逢っておいしさに目覚めてしまったというわけだ。

「ワイン造りは醸造家の生き方そのものだと気づきました。さらに、ブドウ栽培に想いを馳せるようになり、第一次産業を支えていく視点が芽生えました」(布山さん)。

ひととおりの開店準備を終え、2018年11月開店直前に10日間フランスに戻った布山さん。たくさんのインスピレーションを背負って帰国し、オープンへの士気を高めた。

「料理に対して常に自由でいようと、あらためて誓いました」。

布山さんの料理を味わう私たちもまた、食に対して自由になれそうだ。


【メニュー】
▼コース
・シェフのおまかせコース 5品 5,000円

▼アラカルト(2名様量・お一人様はハーフサイズ可)
・兵庫県産真牡蠣の冷製 生クリームと焼きのり 海藻とシャンパンビネガー(2個) 800円
・馬肉のタルタル・イタリア産ラルドのすりおろし 1,450円
・真鱈のベニエ(フリット) 自家製ビーツのマヨネーズ 1,000円
・ヤリイカのソテー 牡蠣とほうれん草のピューレ 白バルサミコソース 1,500円
・滋賀県木下牧場産近江牛クリミのロースト 3,400円

▼ドリンク
・グラスワイン 800円~
・ボトルワイン 4,050円~

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税抜きです。

La gueule de bois(グルドボワ)

住所
東京都目黒区東山1-8-6 1F
電話番号
050-3469-8652
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
18:00~翌2:00
(お食事L.O. 翌1:00)
定休日
水曜日
2019年8月より、定休日が水曜となります
ぐるなび
http://r.gnavi.co.jp/eps49hjk0000/
公式サイト
https://www.instagram.com/gueule_de_bois_nakameguro/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

関連記事

2人の縁をもっと深めたいなら… 銀座の隠れ家 カウンターフレンチ『フルヌス』に行くべし!
2人の縁をもっと深めたいなら… 銀座の隠れ家 カウンターフレンチ『フルヌス』に行くべし!

みんな大好き「お酒」だけれど、もっと大人の飲み方をしたいあなた。文化や知識や選び方を知れば、お酒は一層おいしくなります。シャンパーニュ騎士団認定オフィシエによる「お酒の向こう側の物語」 #カウンターフレンチ『フルヌス』@銀座

岩瀬大二
ワインナビゲーター/酒旅ライター/MC
世界中のVIPの舌を唸らせ続ける、代官山の正統派フレンチレストラン『パッション』
世界中のVIPの舌を唸らせ続ける、代官山の正統派フレンチレストラン『パッション』

1.在日フランス商工会議所100周年記念イベント! 日本におけるフランス料理の発展に貢献したシェフが贈るスペシャルディナー 2.第3回は、『ミシュランガイド東京 2010』から9年連続一つ星に輝く『レストラン パッション』 3.メモリアルイヤーにぴったりなシャンパーニュとの贅を尽くしたマリアージュ

dressing編集部

驚くべき超コスパ!都心では実現できないクオリティ&プライスのビストロを上石神井で発見、そしてハマった

【知られざるいい店のすゝめ】あの口コミサイトに載っていない店。地元民しか知らない店。裏通りや駅から少し遠くにある店……。街にはまだまだ知られざる店がある!街と店と絡み合ってきた人生の中で食の賢人・松浦達也が辿り着いた珠玉の一軒を紹介する。

松浦達也
編集者/ライター/フードアクティビスト