毎日寄りたいカジュアル「イタリアン」!幡ヶ谷『SUPPLY』が瞬く間に人気となったのはなぜか

2019年04月25日
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毎日寄りたいカジュアル「イタリアン」!幡ヶ谷『SUPPLY』が瞬く間に人気となったのはなぜか
Summary
1.センス溢れるイタリアンを絶品ワインとともに。幡ヶ谷に誕生した『SUPPLY』
2.和食材やアジアの調味料をイタリアンと融合させた、ユニークなメニューが40種類近くも揃う
3.人気ワインバー出身のソムリエが選び抜いたナチュラルワインも大きな魅力

居酒屋のように普段使いできる「イタリアン」が誕生

代々木上原のほど近く、老舗と新店が混在する美食エリア幡ヶ谷に、新たなカジュアルイタリアンの名店が誕生した。『SUPPLY(サプライ)』だ。

それは、京王電鉄京王線・幡ヶ谷駅から甲州街道沿いに徒歩4分ほど。「SUPPLY」と墨文字で描かれた真っ白なのれんが目印だ。オープン間もないにもかかわらず、開店と同時に連日満席になるほど盛況で、店内の活気が通りからもうかがえる。

店舗面積は10坪ほどで席数は20。シンプルに仕上げられた店内は、洗練されながらも温かみのある雰囲気。

中央にはカウンター席。窓際には2人掛けのテーブルが2つ、奥にはグループ向けのテーブル席2つがある。ちなみにカウンター手前は、混みあってくると立ち飲みスペースとして利用している。

オーナーシェフの小林隆一さん(写真上・左)と、ソムリエの小林希美さん(同・右)夫妻。

隆一さんは15年間にわたってタイプのさまざまなイタリアンの店で腕を磨き、2019年1月23日に念願の独立を果たした。ソムリエの資格を持つ希美さんは『BUCHI(ブチ)』(渋谷・現在は閉店)、『Wine Stand Bouteille(ブテイユ)』(渋谷)など人気のワインバーで経験を積んできた。

「ふらっと立ち寄れて、おいしいナチュラルワインを飲みながらイタリアンを味わえる店、自分たちが毎日でも行きたいと思える、居酒屋みたいな店を作りたいと思っていました」と隆一さん。

店内のボードに並ぶメニューは40種類弱。
「キュウリのガピ炒め」「タコとネギ、バーニャカウダソースでぬた」「白子と焼き葱のグラタン、ニラバター」など、イタリアンと居酒屋メニューが融合したような、ユニークな料理がずらりと並ぶ。メニューは旬や仕入れ状況によって、毎日2~3品変わるという。

ワインとも相性抜群な逸品揃い

厨房に立つのは隆一さん1人だが、満席でもほとんどの注文が驚くほどスピーディーに出される。隆一さんの調理が手早いこともあるが、秘密は「高級フレンチみたいな凝った料理は無く、基本的にシンプルな料理が多いんです」(隆一さん)という点にある。

「すぐ出るおつまみ」メニューの「マヨタマ、からすみ」(写真上)は、シンプルなメニューの代表格だ。卵とカラスミの相性がいいのはもちろんだが、そこにオリーブ、ケッパー(花のつぼみの酢漬け)などを刻み込んだマヨネーズソースが加わることで、重層的なうまみが加わる。乾杯ワインのお供におすすめだ。

同店の特徴は、白子や山菜など、和食によく使われる旬の食材と、イタリアンの食材を組み合わせたメニューの多さに見ることができる。

「菜の花とラルドのブルスケッタ」(写真上)は、春野菜らしいほろ苦さのある菜の花のソテーと、こってりした脂のうまみが味わえるラルド(豚の背脂をスパイスで熟成させた生ハム)の相性のよさに驚かされる逸品だ。

「新玉葱のポタージュ ホタルイカ」(写真上)は、最初にスープだけを味わうと、旬のタマネギならではの濃厚な香り、とろりとした舌ざわりにうっとりする。だが、そのスープにホタルイカを絡ませると、ホタルイカのややクセの強いうまみが加わり、ワインの肴に一変する。

「旬のタマネギと旬のホタルイカをかけあわせたら面白いと思っただけなんです」と隆一さんは謙遜するが、こうしたのびやかで自由な発想の料理が、同店の最大の魅力だ。

ほとんどの人が注文するという人気ナンバーワンメニューが、自家製ラー油をかけた「羊セロリギョーザ」(写真上)。

フィリングにはラムのひき肉、自家製の皮にはセロリを練りこんでいる。もっちりとした皮はかむたびにさわやかなセロリの香りが広がり、ややクセのある羊肉との相性が抜群。水餃子のようでもあり、ラビオリのようでもある。

「僕が『山東(サントン)』(横浜中華街)の『セロリ水餃子』が好きで、ラムが好きだから。結局、自分が好きなものの寄せ集めですね(笑)」(隆一さん)。

これは外せない、味わい豊かな自家製パスタ

同店でぜひ注文したいのは、常時5種類前後用意している自家製の手打ちパスタ。

「豚ホホとたっぷり玉ねぎ、グリーンピースのブシャーティ」(写真上)は、たっぷりのタマネギと豚ほほ肉の煮込みを、手打ちのブシャーティ(ひも状の生地を串に巻きつけて成形するパスタ)に合わせる。「すごい量のタマネギを使っていて、ソースはほぼタマネギだけなんです」(隆一さん)というのが信じられない、深みのある重層的な味わい。

手打ちのブシャーティのねじれが、豚ほほ肉とコクのあるソースを絶妙に絡めとり、野生味を感じるグリーンピースの香りが、素晴らしいアクセントになっている。

「蟹のタリアテッレ ふきのとうの香り」(写真上)は、1品を2皿に分けていただける心遣いがうれしい。蟹のだしがよく染みこんだタリアテッレ(幅5mm前後の平打ち麺)の、手打ちならではのなめらかさとモチモチ感が楽しめる。

ふきのとうのほろ苦さと香りは、イタリアのハーブほど主張が強くなく、蟹の風味を邪魔しない。

「独立したら、木村硝子のワイングラスをそろえるのが夢でした」

ワインはすべてナチュラルワイン。ボトルで100種類以上、グラスで常時10種類ほどを用意している。小ロットで仕入れているのでワインリストを作らず、希美さんが注文のたびに好みを聞いてセレクトしてくれる。

「おいしいと思うものを産地に偏りなく選んでいますが、フランス産が少し多めですね」(希美さん)。
希美さんが自信をもって揃えるワインは、どれも魅力に溢れている。

その魅力をさらに引き立てるのがワイングラス。同店のグラスは、”極薄グラス”などで有名な老舗『木村硝子(がらす)店』の「ピッコロ」1種類のみ。

「このグラスが大好き。これで飲むと、赤でも白でも泡でも、なんでもおいしく感じられるんです」(希美さん)。「独立したら絶対に木村硝子さんのワイングラスを使いたいと思っていました」(隆一さん)。

フォルムが美しいだけでなく、口にあたった時の薄さ、角度も絶妙だ。これによって、ワインの香りや味わいもより一層、深く堪能することができる。

独特のスタイルは、すべて誠意とやさしさのあらわれ

シェフ1人にあって、これだけメニュー豊富なのはなぜなのか。
「途中で品切れになってしまうとお客さんに申し訳ないと思って保険をかけているうちに、多くなってしまいました」と隆一さんは苦笑いしながら答えてくれた。

ユニークなメニューが多いのも「わざわざこの店に来てもらうからには、ここでしか食べられないような料理を出したい」という想いからだ。
乾麺より生パスタメニューが多いのも「昼間、仕込みさえしておけば茹で時間が短くて済み、待たせずすぐに出せるからです」(隆一さん)。

この店独特のスタイルは、すべて隆一さんの誠意とやさしさのあらわれ。まさに「店は人なり」だ。

そんな心やさしい隆一さんの新たな”心配”は、予想以上に速いスピードで繁盛店となっているために、「忙しすぎて、お客さんが注文しづらいのでは」ということ。そこで今後はスタッフを1人増やし、ケータリングなどにも挑戦してみたいという。
まさに「飛ぶ鳥を落とす勢い」の『SUPPLY』から、今後も目が離せない。


【メニュー】
マヨタマ、からすみ(1個)200円
菜の花とラルドのブルスケッタ(2個)600円
新玉葱のポタージュ ホタルイカ 800円
羊セロリギョーザ 800円
豚ホホとたっぷりタマネギ、グリーンピースのブシャーティ 1,400円
蟹のタリアテッレ ふきのとうの香り 1,400円
ナチュラルワイン(グラス) 800円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です

SUPPLY(サプライ)

住所
〒151-0072 東京都渋谷区幡ヶ谷1-5-6
電話番号

なし ※facebookのメッセージから予約可能
営業時間
18:00~24:00(L.O.23:00)
定休日
水曜
公式サイト
https://www.facebook.com/SUPPLY_hatagaya-274119746485828/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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有川美咲
フードライター
渋谷からたった5駅の知らない街。自由が丘と学芸大の間の超穴場な・都立大のさらにディープな店案内

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森一起
ライター/作詞家/ミュージシャン