焼鳥ツウが太鼓判を押すイチオシの焼鳥店がここ!敷居の低さと極上の味を両立する恵比寿『鍈輝(えいき)』

2019年06月04日
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焼鳥ツウが太鼓判を押すイチオシの焼鳥店がここ!敷居の低さと極上の味を両立する恵比寿『鍈輝(えいき)』
Summary
1.『鳥しき』出身、『鳥かど』初代店主 小野田幸平さんの新店・恵比寿『鍈輝(えいき)』
2.うまさの秘訣は「火」にあり。五感をフル活用させながら1本ごとに最適な焼き具合を作りだす
3.至福の焼鳥を気負わずに味わえる、「江戸っ子」的な雰囲気が早くも大人気

生まれも修業先も名店中の名店という「焼鳥界の寵児」がついに独立

2019年2月、焼鳥の新店『鍈輝(えいき)』が恵比寿にオープンした。

店主の小野田幸平さんは、“日本一予約が取れない焼鳥屋”といわれる『鳥しき』にて修業を積んだのち、同店初の姉妹店『鳥かど』で初代店主を務めた人物。そして実家は祖父の代から続く田園調布の名店『鳥鍈(とりえい)』という、焼鳥界の寵児である。

店名は、祖父・父・師匠にリスペクトを込めて、『鳥鍈』から一文字、『鳥しき』の親方 池川義輝さんの名前から一文字をいただいた。以前からの常連が訪れるほか、早くも通い詰める近隣の方も多いそうで、『鍈輝』は連日にぎわいを見せている。

「まずは昔からのお客様に“鳥しきの味をちゃんと受け継いでいるね”と認めていただくことが目標です。新しいメニューなども今後試していくと思いますが、ともかくみなさんに認めていただいてから。少なくとも数年は今のまま続けるつもりです」と小野田さんは謙虚に語る。

注文は『鳥しき』『鳥かど』と同じく、おまかせのストップ制。何を焼くかは店主に任せ、満腹になりそうな頃合いで客からストップを伝える形式だ。コの字型のカウンターは15人で満席。タイミングや表情などを見ながら次の串を焼くため、この規模がベストだという。

様子を見ながら1本ずつ提供される、至福のおまかせコース

さっそく焼いていただこう。

まずは「ささみ(さび焼き)」(写真上)。表面に炭の芳香をまとい、中はほどよくレア。上品ながら淡泊すぎないササミのうまみを、絶妙の塩加減とおろしたての生ワサビで味わう。「味のバランスからして、最初にしか出せない部位です」という言葉通り、繊細さを極めた1本だ。

焼鳥の神髄ともいえる「かしわ(もも)」(写真上)。「モモ肉は鶏の味が一番わかりやすいのでとくに神経を使います」という小野田さんが目指すのは「ふっくらとジューシー、しっかり水分が残っているイメージ」。まさにその通りで、親方から受け継いだ秘伝のタレと相まって何本でもいけそうな直球勝負のうまさ。

次は希少な「せせり」(写真上)。首の後ろ側の部位で、身がしまっていて適度な脂身がある。噛みしめるほどにそのうまみと炭の香りが口の中を満たしていく。「火が中に入りにくいのでヘタに焼くとパサつきがちです。丁寧に火を入れこみながらほわっとジューシーな焼きあがりに」と小野田さん。

鶏肉のおいしさを堪能する合間に出される野菜がまたいい。塩と調味料をさっとまとわせて香ばしく仕上げた「ししとう」(写真上)の独特の辛みで味覚が一旦リセットされ、次に続く肉への期待値をさらに高めてくれる。

『鳥しき』から受け継ぐ素材と焼き方で、おいしさを一身に守り続ける

『鍈輝』では、「脂身と肉のバランスがよく焼鳥に最適」という福島産の伊達鶏をメインに使い、焼く際は「近火の強火」を信条とする。いずれも、『鳥しき』の親方 池川さんから受け継いだものだ。

串の打ち方、炭の組み方、ダクトの位置など、一つひとつの要素がすべて焼きあがりに影響する。「自分の中でのゴール、理想の焼きあがりを常に意識しながら、目も耳も鼻もフルに使って、経験を重ねていくしかありません。毎日が勉強だと思っています」

高い位置からハラハラと塩をふる所作が美しい。「以前は近くからふりかけていましたが、それだと部分的にしょっぱくなったりして。親方の“大きくふれ”というアドバイスで、塩が決まるようになりました」と振り返る。

聞けば、サラサラの塩をもう一度炒って水分をできる限り飛ばしているという。そうすることで塩はまんべんなく食材にまぶされる。焼鳥のおいしさは「素材と焼き方」が肝要だが、「塩加減」も重要な決め手のひとつ。小野田さんの塩梅は常に完璧だ。

さて、コースに戻ろう。

モモ肉に軟骨とネギを加えてしっかり練った「つくね」(写真上)は、秘伝のタレで香ばしく焼きあげる。ふっくらやわらかく、うまみがじわり。バランスよく配合された軟骨のコリッとした食感もたまらない。「かなりの粗挽きでつなぎも入れていないので、うまく焼かないとつぶれてしまいます。高さを出すように焼くのがポイントです」

人気の1本、「ちょうちん」(写真上)。卵を割らないよう慎重に串を打つ技術と、焼き方にも細心の注意を要するだけあって、焼鳥では珍しい希少部位だ。卵をほおばると黄味がプリッとやぶれ、中身がとろりと流れ出る。くさみやクセなど全くなく、ひたすらうまみを噛みしめる。

野菜と同様に絶好の箸休めとなる「厚揚げ」(写真上)。周りはカリッと、中はホクホク。豆腐は炭と好相性だが、「外がバリバリになりすぎず、中までしっかり火を入れるのは難しいんですよ」と小野田さん。細やかな気遣いがそのまま味となっていく。しょうゆベースの調味料がしみこみ、刻みネギ2種のバランスも絶妙で、お酒が進む。

話題の「じゃばら酒」をはじめ、日本酒、ワインなども抜群

お酒の種類も豊富で、日本酒、焼酎、ワインなど、好みに合わせて焼鳥とのマリアージュを楽しめる。

じゃばら酒(写真上)は『鳥かど』でも提供していた柑橘系リキュール。和歌山特産の柑橘“じゃばら”は花粉症の予防や改善が期待できるとしてしばしば話題にのぼるようになったが、じゃばら酒は『鳥かど』の時から人気。さわやかな酸味とほどよい苦みがあり、焼鳥にぴったり。ソーダ割りでクイッといくのがおすすめだ。

「なぜか『鳥かど』のときより、お酒をたくさん召し上がる方が多いんですよ」と小野田さんが笑顔で教えてくれた。『鳥かど』はシックで粋なインテリアだが、『鍈輝』の内装は「京風ではなく江戸っ子らしい“和”のイメージで」とデザイナーに伝えたそう。また、カウンター席と焼き手の距離感が近く、話しかけやすい。「“忍べない店”と言われてます。特別な日のデート向きではないかもしれません(笑)」

肩ひじ張らない和やかな雰囲気で一流の味が堪能できるのだから、お酒が進むのも当然だ。

こちらは焼きの作業に欠かせないうちわ。年季の入った品に見えるが、じつはこの時点でまだ2週間しか経っていない。日々「近火の強火」に向き合うとこうなるのだ。

早くも予約困難な店になったという声もあるが、「いえいえ、そういうわけではないんです」と小野田さん。「まだ人手が十分ではないので、満席になるほどご案内していない状況です。ゆくゆくは、“今日あいてる?”という飛び込みの方もお迎えできる店にしたいと思っています」

敬愛する『鳥しき』の味を実直に守り続ける『鍈輝』。その生真面目な姿勢もこの店の魅力のひとつに違いないが、同時に「ここにしかない雰囲気」「ここでしか味わえない焼鳥」はやはり着実に形成されていて、食通を引きよせている。

【メニュー】
おまかせコースのみ(ストップ制) 6,000円~
※おまかせの一例:ささみ、かしわ、せせり、ししとう、つくね、ちょうちん、厚揚げ、せせりとはまぐりの炊き込みご飯
ドリンク
・じゃばら酒 650円 
・日本酒 1,200円〜 
・日替わりグラスワイン 1,200円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です

鍈輝

住所
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿2-10-5 ROZIS1F
電話番号
03-5422-8611
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/4kgbuuhk0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。