とろ~り「ブッラータチーズ」は必食! 本場イタリアのプーリア料理の魅力を伝える『セルヴァジーナ』

特集:イタリア郷土料理

2019年09月09日
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とろ~り「ブッラータチーズ」は必食! 本場イタリアのプーリア料理の魅力を伝える『セルヴァジーナ』
Summary
1.ピザやパスタだけじゃない! 個性あふれるイタリア郷土料理の世界【特集・イタリア郷土料理】
2.チーズからハムまですべて自家製! イタリア・プーリア州の食卓を楽しむ
3.シェフ自らが収穫! 天然キノコや野草の滋味豊かな味わいを堪能

イタリアの「食糧庫」と呼ばれるプーリア州

イタリアには各地域の文化・風土に育まれた個性的な郷土料理が実に多彩である。その中でも日本ではまだ馴染みが薄いが、南イタリアを代表する郷土料理のひとつプーリア料理を紹介しよう。

プーリア州は、ブーツのような形をしたイタリア半島のかかと部分に位置している。プーリア料理の特徴は、恵まれた自然環境から生まれる豊富な食材にある。肥沃な平野からは、「イタリアの食糧庫」と呼ばれるほど質・量ともに豊かな小麦や野菜、果物がとれ、長い海岸線を持つため魚介類も豊富だ。特にオリーブオイルは、イタリアトップの生産量を誇り、品質の良さから世界的にも有名。その他、最近日本でも人気がある「ブッラータチーズ」はプーリアの特産品である。

『オステリア セルヴァジーナ』は、プーリアに魅せられたオーナーシェフ・高桑靖之さんが2011年、東京・駒込にオープンしたイタリア・プーリアの郷土料理のお店。

高桑シェフは、都内のイタリアンレストランでシェフのキャリアをスタート。3年間、みっちりと基礎を身に付けた後、イタリアに渡った。イタリアではトリノの高級レストランに勤務したが、もっと深くイタリア料理を身に付けたいと、休暇中にプーリアからシチリアまで南イタリアを回り、一番気に入ったプーリアで本格的に修業を始めた。

修業先に選んだのは、美食の街として知られるプーリア州チェリエ・メッサーピカを代表するレストラン『チーブス』。地元の良質な食材を使った料理が評判の家庭経営の店だ。そこで、高桑シェフは、レストランで供される料理より、家庭料理をベースにした賄い料理に心をひかれたという。

「毎日食べて、飽きることがなく、健康にもいい。そんな生活に根ざした料理でした。その料理が自分の料理のベースになっています」と高桑シェフ。今でも毎年プーリアを訪れる高桑シェフは、現地に行くことを“帰る”という。まるで第2の故郷のようにプーリアを近しく想う気持ちが店を満たしている。

料理
プーリア料理

特徴
イタリアには「クチーナ・ポーヴェラ(貧者の料理)」という言葉がある。身近に手に入る食材で作る簡素な料理のことをいうが、まさにプーリア料理のスタイルそのものといえるだろう。

「プーリア料理はシェフ泣かせと言われます。どんなに手の込んだ料理を作っても、マンマの作る料理の方がおいしいと言われるんですよ。おいしい食材がたくさんあるので、複雑な調理をする必要がないんです」(高桑シェフ)。

『オステリア セルヴァジーナ』をオープンしたとき、プーリアで学んだ料理をそのまま再現しようとしたが、日本の食材を使えば同じ料理にとはいかない。そこで「暮らしている土地の豊かな実りをシンプルに味わう」というプーリア料理の精神を軸に、日本の旬の食材のおいしさを生かしたシンプルな料理を作るようになった。

同店では、シェフ自ら野山に出掛け、野草やキノコを採取したり、チーズや生ハムを手作りしたりする。自然の恵みそのものの風味や、できたてのチーズのおいしさ、自家製だからこその生ハムの優しい味わい。それら全てがプーリアの人々が日常親しんでいる“おいしさ”。このおいしさを日本でも味わってもらおうと高桑シェフは考えている。

究極のシンプルさで食材の持つ魅力を生かす料理の数々

では、『オステリア セルヴァジーナ』の料理を紹介しよう。日本はこんなにも豊かな自然があるのかと感動する料理ばかりだ。

▲自家製ブッラータチーズ
ブッラータチーズとはチーズ生地を湯の中でこねてのばしながら袋状に成形し、その中に生クリームと刻んだチーズを包み込む。同店では、注文を受けてから生地をのばして作り、まさにできたてほやほやのチーズが味わえる。

プーリアのチーズ工房でも働いた経験のある高桑シェフ。作りたてのおいしさを店でも提供できないかと考え、試行錯誤しながら、日本のミルクを使って現地と同じおいしさを持つチーズを作り上げた。

ナイフを入れると、真白いクリームがトロリと流れ出す。ベースとなるミルクは、東京・八王子『磯沼ミルクファーム』から仕入れる4種類の乳牛のミルクをミックスしたもの。口に含むとミルキーでコクのある味わいがたまらない。包み込むチーズの弾力の強さに驚かされるが、これが作りたての証。

▲そら豆のピュレ
野菜が豊富にとれるプーリアは、野菜料理も多彩だ。「そら豆のピュレ」はプーリアの伝統的な料理。ペースト状にしたそら豆にジャガイモのペーストを少し足し、塩で味付けした素朴な料理だ。

ポイントはそら豆にたっぷりかけるプーリア産のオリーブオイル。特徴は辛みと香りが強いこと。良質なオリーブオイルは優れた調味料。そら豆を粗めにつぶしたピュレに、香り豊かなオリーブオイルをかけると、豆のホクホクした甘さが際立つ。

自家製食材が作る『セルヴァジーナ』ならではの味わい

▲シェフが森で採ってきた天然タマゴ茸のトロッコリ
オレンジ色が鮮やかなパスタは、シェフ自らが山で採ってきた「タマゴ茸」のみを使用したシンプルなメニュー。テーブルに供されると、フワッと漂うタマゴ茸の芳醇な香りにうっとりする。

タマゴ茸は、マツタケやポルチーニ茸のように栽培ができないため、ヨーロッパでは高級食材とされている。ちなみに、ポルチーニ茸も日本の山に自生しているとか。タイミングが合えば、シェフが採ってきた天然ポルチーニ茸がいただける。

トロッコリ(写真上・左)は、プーリア北部の手打ちパスタ。名前は、生地をカットする『トロッコラトゥーロ』という筋が入った麺棒(写真奥)に由来している。生地は卵を使わず、小麦粉と水のみで作られる。

見た目が少し太めで、まるでうどんのようだが、硬質小麦デュラムセモリナを100%使ったパスタは、モッチリとしながらもパツンとした歯ごたえが心地よい。肉厚なタマゴ茸は噛みしめるとじんわりとうまみが湧いてくる。花びらのような柄の皿は、プーリアの伝統的な器だ。

▲仔山羊の内臓肉のニュメリエッディ
「ニュメリエッディ」とは、羊か山羊の肺とレバー、タン、心臓などの内臓肉を塩コショウで味付けし、羊の腸に詰め、さらに上から豚の網脂を巻き付けたもの。プーリアの精肉店では、精肉以外にこういった加工品もよく売られているという。もちろん、日本では手に入らないので、こちらはシェフの手作り。

山羊は乳飲みの仔山羊のみを使用しているため、肉の臭みは全く感じられない。こんがり焼けてパリッとした皮の中には様々な部位をミックスした肉が詰まっており、しっとりしていたり、歯ごたえがあったりと色々な食感が楽しめる。

ブレイク間近?! イタリアでの生産量第2位のプーリアワイン

プーリアのワインは、知名度は高くないが、生産量はイタリアで2番目に多い。近年は自然農法の自然派ワインにこだわるなど、良質なワイン造りに取り組んでいるワイナリーも多いという。

毎年、プーリアの様々なワイナリーを訪れる高桑シェフは、輸入業者にプーリアワインを紹介したりもしているという。特徴は、赤ワインが好まれ、ロゼが好きな人も多いとか。『セルヴァジーナ』では、グラスワインで赤、白以外にロゼも用意している。

JR山手線「駒込」駅からすぐの路地裏にある『セルヴァジーナ』は、中に入ると古びた木の床やテーブル、椅子がぬくもりのある雰囲気を醸し出す。床やテーブル、椅子、棚もすべて高桑シェフの手作り。関西の寺院での修理の際に使用している足場板をリサイクルして作ったそうだ。

メニューは、おまかせコース1種類と、黒板に書かれたアラカルト。自家製ハムやチーズなど通年で出せるメニューもあるが、ほとんど旬の素材のため、食材の入荷によって、日々内容は変わっていく。

シェフが採ってくるキノコや野草も『セルヴァジーナ』の楽しみの一つ。素材の持つ力を生かした料理を味わえば、自然の恵みに溢れた味わいにしみじみと豊かな気持ちになる。秋には、シェフが狩猟に出かけ、獲ってきた鴨やウサギなどが登場する予定。

「地元を愛し、そこで育つ食材を愛す」。皿からあふれ出るのは、プーリアで学んだ精神だ。『セルヴァジーナ』でしか味わえない料理の数々をぜひ体験しに行こう。

▲高桑靖之シェフ プロフィール
1972年秋田県生まれ。都内トラットリアでイタリア料理の修業を始めセコンドを任されるまでになる。その後イタリア料理研究家・長本和子氏が企画監修する「FICTイタリア料理長期研修」に参加。トリノの星付きレストランで研修した後、プーリア州チェリエ・メッサーピカ『CIBUS(チーブス)』で研鑽を積む。帰国後、1年間、都内の知人の店で働いた後、2011年11月に『オステリアセルヴァジーナ』をオープンする。

【メニュー】
自家製ブッラータチーズと自家製生ハム『カポコッロ』 1,900円
そら豆のピュレ 1,500円
シェフが森で採ってきた天然タマゴ茸のトロッコリ 2,400円
仔羊の内臓肉のニュメリエッディ 2,400円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です

オステリア・セルヴァジーナ

住所
〒170-0003 東京都豊島区駒込3-2-7 ワリトル駒込1F
電話番号
03-6903-7020
営業時間
ランチ木曜~土曜、祝日 11:45~14:30(L.O.13:30)、ディナー月曜(祝日のみ)~土曜 18:00~23:00(L.O.21:30)
定休日
日曜、月曜(祝日と重なれば営業)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/3zwftuj60000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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