トップレストランが認めたシャンパーニュ
昼夜コテコテのフレンチに明け暮れたこの一週間、金曜の夜くらいは胃袋をいたわり、繊細な日本料理で締めくくりたいなんていうこともある。そんな時、ピュアな風味のブラン・ド・ブランが1本あれば、ずっと通しで楽しめる。私の最近のお気に入りは「RLルグラ」だ。
シャルドネの聖地と言われるコート・デ・ブランのシュイィに、1808年から続くメゾン。5ヘクタールの自社畑をこのグラン・クリュに持ち、買い付けるブドウもシュイィのみという、シュイィのシャルドネにこだわったメゾンである。
シャンパーニュの品質は申し分ないのに、今ひとつ知名度が低いのは、50年代に自社醸造を始めて以来、これまでの間、生産量の多くを有名レストランのプライベート・ラベルとして販売してきたためだ。71年、クロード・テライユに気に入られ、「ラ・トゥール・ダルジャン」のプライベートラベルを作ったのを皮切りに、「ギィ・サヴォワ」や「ランブロワジー」など、有名レストランから続々と引き合いが来たという。
日本料理に合うやわらかなタッチ
ルグラのラインナップには、「プレジダンス」や「サン・ヴァンサン」といった秀逸な上級キュヴェもあるのだが、もっともスタンダードな「ブラン・ド・ブラン・ブリュットNV」、これでいい、いや、これがいい。
シュイィのシャルドネは同じくコート・デ・ブランでも、メニルのような厳格な性質ではないから、若い時に開けてもとげとげせず、柔らかなタッチで舌を包んでくれる。リザーヴワインは前年の1年分だけだし、瓶内熟成期間も2年とさほど長くはないけれど、そのおかげで柑橘系のアロマとフレッシュな風味が保たれるのだ。たしかにシャンパーニュの醍醐味は長期瓶熟成による複雑なフレーバーとはいえ、それも場合によりけり。とくに上品な日本料理をいただくなら、過剰なイースト香は無粋だと思う。
都内屈指の日本料理店にて
世界のトップレストランに愛されてきたシャンパーニュを日本料理で愉しむ。そう考えた時に真っ先に思い浮かんだのは、2003年の開店より常に高い評価を受け、2012 年に銀座・並木通りに移転後も変わらず上客に愛される日本料理「銀座 小十」をおすすめしたい。ご主人・奥田透さん自らもソムリエ・きき酒師・焼酎アドバイザーの資格を持ち、酒のセレクトにも定評がある。繊細な日本料理のワインを合わせるのは難しいと思われがちだが、確実な1本を選んでもらえることだろう。
<料理>
「RLルグラ ブラン・ド・ブラン・ブリュットNV」※要問合せ
昼21,600円
夜27,000円
※税込、サービス料10%は別途
※柳忠之さんのスペシャルな記事『キンメリジャンがワインに何を与えるのか?~ワインマニアのためのテロワール講座その1~』はこちら
銀座 小十
- 電話番号
- 03-6215-9544
- 営業時間
- 12:00~L.O.13:00、18:00~L.O.21:30
- 定休日
- 定休日 日・祝、夏季休暇、年末年始
- 公式サイト
- http://www.kojyu.jp/
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