白金台のワインバーでダンディな1本を
007の最新作「スペクター」の公開までひと月あまり。ジェームズ・ボンドお気に入りのシャンパーニュといったら、そう、ボランジェである。
木枯らしが吹きすさび、夜はめっきり冷え込むこの季節、ピノ・ノワールが多めにアッサンブラージュされた、力強く、ボディのしっかりしたボランジェはお誂え向き。白金台のワインバー、「Canon」のカウンターにひとり腰掛け、MI6のエージェント気分に浸るのも悪くはない。
スペシャル・キュヴェ
ボランジェが本拠を構えるのは、ランスのサン・ニケーズの丘でもエペルネのシャンパーニュ大通りでもなく、グラン・クリュのひとつ、アイ村。マルヌ渓谷の一部ながら、高品質なピノ・ノワールを育むクリュとしてよく知られている。
ボランジェのすごいところは、このアイを中心に165ヘクタールもの自社畑を所有し、必要とするブドウの6割を賄っていること。毎日40名のスタッフが畑のケアにあたっているから、ピノ・ノワールにベト病の被害が広がった2005年のような難しい年でさえ、ミレジメのグランダネを造ることができたそうな。また大手メゾンとしては数少ない、木樽の使い手としても有名。メゾンにはMOF(フランス最優秀職人)の称号をもつ樽職人が常駐し、樽の修繕にあたっている。
ジェームズ・ボンドを本気で気取るなら、グランダネか、それを長期熟成させたRDだが、そこまで真似るとちょっと痛いヤツに見られかねないので、ノンヴィンテージのスペシャル・キュヴェにしよう。
スペシャル・キュヴェはピノ・ノワール60%、シャルドネ25%、ムニエ15%のアサンブラージュ。連続するふたつのヴィンテージをベースにマグナムボトルで熟成させたリザーヴワインを加え、30ヶ月以上の瓶内熟成を施したこのノンヴィンテージは、パワフルにしてエレガント。あらゆる危機を乗り越える持ち前のタフネスと、トム・フォードのスーツをさらりと着こなす粋なジェームズ・ボンドには、このシャンパーニュがじつによく似合う。
「Canon」はシンガーソングライターにして、歌うソムリエールの野田幹子さんがマダムを務めるワインバー。月に一度(時期によっては二度)ライブを開き、その色褪せない歌声を披露している。ミュージックチャージにシャンパーニュ1杯がサービスされ4,000円はお得。スリッパに履き替え、リビングルーム風にくつろぐスタイルをとることもあるそうだ。
※柳忠之さんのスペシャルな記事『キンメリジャンがワインに何を与えるのか?~ワインマニアのためのテロワール講座その1~』はこちら
Canon(カノン)
- 電話番号
- 03-6450-2961
- 営業時間
- 19:00~翌1時
- 定休日
- 不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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