神田・JR高架下にある羊料理の超人気店にはモンゴルで食べたロシアの味がある?

【連載】クレイジーケンバンド小野瀬雅生の想う店・想う味 第16回 クレイジーケンバンドのギターにして、その食情報の確かさで多くのグルメなファンも持つ、小野瀬雅生さん。彼の愛する店、どうしても食べたくなる料理を教えていただく。

2016年05月24日
カテゴリ
賢人コラム
  • ラム肉
  • 中華料理
  • 連載
  • 神田
  • 食文化
神田・JR高架下にある羊料理の超人気店にはモンゴルで食べたロシアの味がある?
Summary
1.小野瀬雅生ショウでのモンゴル講演での出来事
2.神田にある羊串とワインの組み合わせで大人気の店
3.モンゴルとドイツ、ロシアの複雑な関係?

モンゴル建国800周年で訪れた街での想い出

今から10年前の2006年にモンゴルに参りました。2006年はモンゴル建国800周年と云うことで、世界各国からアーティストを呼んで首都ウランバートルの国会議事堂前広場に設置された特設ステージで毎週末にコンサートを開催しておりました。

モンゴルに深く繋がりのある方のご紹介で、私のリーダーバンドであります小野瀬雅生ショウがそのコンサートに出演すると云う事になりました。日本を出国する時から国賓扱いでちょっとビックリ。モンゴル到着後は私にSPが同行するなどかなり大仰で更にビックリ。ホテルの部屋に入るときもSPが先に入ってチェックしておりました。それなのにシャワーから出る水は鉄サビの色なのか真っ赤。絶対に水道の水を飲まないでくださいと云われておりましたがこりゃ飲めんわ。

テレビをつけると日本のNHK BSのプロ野球中継が映ってまたビックリ。当時横浜ベイスターズに在籍していた小池正晃選手がホームランを打つシーンに偶然遭遇。何と云う巡り合わせ。日本から飛行機で5時間。モンゴルは遠いようで近いのだなと頭がクラクラしました。

リハーサルや歓迎パーティーに参加などして過ごし(抱腹絶倒の事件が頻発しましたが今回は割愛)、いざ演奏当日。これがまた前代未聞に奇跡的で頓珍漢な様々な事件があってステージにスタンバイ。
ステージのある広場には私達の事なんて絶対に知らないであろう観客の皆様が約3万人。スゴイことですよ3万人。ちなみに私達の一週間前にはここでスコーピオンズが演奏したとのこと。

特設ステージは幅が数十メートル。背後にはステージと同じ幅で高さ10メートルほどの巨大なLEDスクリーンが設置されていました。こんな大規模なコンサートなのにステージ上にも周囲にもスタッフが殆どいません。てんやわんや。
それでも何とかコンサート開始。しかし演奏が佳境に差し掛かった頃に大変な事態が勃発。

ウランバートルと云う所は四方を山に囲まれた盆地なのです。日本と違って夜は真っ暗。本気で暗い。街にも灯りが殆どないくらい。そんな真っ暗闇のど真ん中に巨大なLEDスクリーンを設置したらどうなるか。モンゴル中の虫という虫がそのスクリーンに向かって突進してくるわけです。ふと気が付くとステージの上は空也のもなか位のでっかいカナブン軍団に占拠されておりました。
足の踏み場がないとはこの事。演奏中もそいつらが飛んできて私のおでこにコツンコツンと当たってくる。PA卓エンジニアもライヴ途中でいなくなり、気づくと責任者のモンゴル通産大臣が操作している始末。やれやれ。修行になりました。
そして演奏が終わると同時に国賓扱いも解除でSPもどこへやら。車も黒塗りから普通のセダンに格下げ。非常に判りやすい。勉強になりました。
でも人はみな親切でフレンドリー。シャイだけど一度打ち解けると破顔一笑、みんなニコニコ。心温まる思い出もいっぱいです。モンゴルブラボー。

モンゴルのドイツ料理店で食べたロシア料理の味を神田の中国東北料理の店で食べるというカオス

モンゴル滞在中に、ウランバートル市内のドイツ料理店で食事をしました。メニューの中にロシアの民族料理が幾つか。モンゴルとロシアは近いので文化的にもクロスしている部分が多いようです。
オーダーしてみたその民族料理の一つは、スープにすいとんのような団子が入ったシンプルなものでした。その団子をキュッと噛み締めた瞬間、この食感はそのまま日本に通じているのだなと感じました。初めてなのに懐かしい。
ちょうどホテルのテレビに日本のプロ野球がパッと映ったように、自分の中で日本のすいとんもほうとうもだご汁もうどんも全部このモンゴルの一皿に繋がったのです。遠いようで近い、そして近いようで遠いモンゴル。またいつか行ってみたいと思います。

そのモンゴルのドイツ料理店で食べたロシアの民族料理(ややこしい)と同じ驚きを感じられたのが東京神田の中国東北地方料理店『味坊』の東北地方すいとんスープです。

『味坊』と云えばラム肉串焼きの羊肉串。私はこれが大好きで何本でも食べられます。他にも辛かったりスパイシーだったりでワインが進むメニューがいっぱいですが、このすいとんスープの素朴で優しい味わいは私の中で最上位に位置するものです。

すいとん自体はあまりギュッと固められておらず、スープの中で解けながらつぶつぶとした口当たりを楽しませてくれます。力強くもすっきりとした味わいのスープに卵とトマト。全ての関わり合いが絶妙。ウマウマウー。

中国東北地方なんて行った事ありませんが、なんでまたこんなにこの味を懐かしく思うのか。地図を見てみたら日本とモンゴルの間にちょうど中国東北地方があります。なるほど。シルクロードならぬ「すいとんロード」が存在するのでしょう。

私のルーツやDNAにそのロードが刻み込まれているのか定かではありませんが、心は全部繋がりました。ウィアーザワールド。美味しかったです! 御馳走様でした!

味坊(アジボウ)

住所
〒100-0000 東京都千代田区鍛冶町2丁目11-20 共同ビル 1~2階
電話番号
03-5296-3386
営業時間
11:30~14:30(閉店)、17:00~22:30(閉店23:00)
定休日
定休日 日曜、祝日(GW休、年末年始休)
公式サイト
http://r.gnavi.co.jp/gdgjm3ax0000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

関連記事

なぜ正月に「雑煮」を食べるのか? 日本人なら知っておきたい、雑煮のルーツと江戸雑煮のおいしい作り方

日本古来の伝統食は、日本の気候や風土、歴史によって長年育まれてきた大切な食文化です。中でも、暮らしの節目節目にくり返される「行事食」には、日本人のスピリットが凝縮されています。本連載は、日本の伝統食、行事食にスポットを当て、知っておきたい基本知識について、日本料理研究家の柳原尚之さんにお話しいただき、さらに覚えておけば日々の食ライフがランクアップする、日本料理の基本レシピも随時紹介!

柳原尚之
江戸懐石近茶流嗣家(きんさりゅうしか)/「柳原料理教室」副主宰
なぜ年末に「年越しそば」を食べるのか?【日本料理研究家/江戸懐石近茶流嗣家・柳原尚之】

日本古来の伝統食は、日本の気候や風土、歴史によって長年育まれてきた大切な食文化です。中でも、暮らしの節目節目にくり返される「行事食」には、日本人のスピリットが凝縮されています。本連載では、日本の伝統食、行事食にスポットを当て、知っておきたい基本知識について、日本料理研究家の柳原尚之さんにお話しいただき、さらに覚えておけば日々の食ライフがランクアップする、日本料理の基本レシピを随時紹介します!

柳原尚之
江戸懐石近茶流嗣家(きんさりゅうしか)/「柳原料理教室」副主宰
【dressing読者は期間限定で入店可能に!】オトナが注目する街・四谷荒木町の紹介制隠れ家

【連載】幸食のすゝめ #055 食べることは大好きだが、美食家とは呼ばれたくない。僕らは街に食に幸せの居場所を探す。身体の一つひとつは、あの時のひと皿、忘れられない友と交わした、大切な一杯でできている。そんな幸食をお薦めしたい。

森一起
ライター/作詞家/ミュージシャン
「日本酒」選びに迷ったら? 騎士団オフィシエがこっそり教える、年末年始に飲むべき旨い「日本酒」

みんな大好き「お酒」だけれど、もっと大人の飲み方をしたいあなた。文化や知識や選び方を知れば、お酒は一層おいしくなります。シャンパーニュ騎士団認定オフィシエによる「お酒の向こう側の物語」 ♯3:年末年始にオススメの「日本酒」

岩瀬大二
ワインナビゲーター/酒旅ライター/MC