【街の達人流レストランの楽しみ方】メニューを見ずに料理を注文するコミュニケーション術について

【店づきあいの倫理学】店は生きものであり「おいしさ」や「楽しさ」は数値化できない。だから顔の見えない他者からの情報「評価」を比較して店や食べるメニューを決めたりすることは無効だ。その店だけの「固有の身体感覚」のようなものがあり、その場その時の「代替不可能な店側/客側のコミュニケーション」が、その店の真価を決定づけている。「店と客の関係性」をもとに「よりおいしく食べるための店づきあい」の方法とは?

2017年05月16日
カテゴリ
賢人コラム
  • 連載
  • プレミアム記事
  • 神戸
  • 中華料理
【街の達人流レストランの楽しみ方】メニューを見ずに料理を注文するコミュニケーション術について
Summary
1.店に何回も訪れ、実地訓練をして身体を鍛えるようにして、うまいものにありつく方法
2.メニューを開いて字を追うよりも、店の人と話をすることで生まれるグルーヴ感を愉しむ
3.店に行ったということが重要なコレクターではなく、何度も同じ店に通うことで見えてくるもの

フランス料理でも割烹でも鮨屋でも「おまかせ」とかで食べるのはあまり好きでない。
だいたい何を食べたいという具体的なものは、トンカツ屋さんやお好み焼き屋さんなどに行くときは明確なのだが、肉や魚、スープや汁ものも食べられるような料理屋では、ほとんど店に入ってから決めることが多い。

中国料理でもそうなので、一流ホテルのようにお決まりのコースが主体の店はあんまり行かない。

とりあえずピータンやクラゲを頼んでビール。前菜を食べながらメニューを見て、その時の舌の感じやお腹の空き具合で決めていく。

神戸で中国料理を食べるなら実は山手がいい

学生時代からそれこそ四半世紀かけて身体に馴染んだ神戸の広東料理店が世界一うまいと思っているが、それは明石や淡路の魚介類や神戸牛といった地元の好素材があるのと、この店なら海のもの、ここならスープといった店の持ち味をクロスさせることが、神戸ではおいしく食べるコツだと分かっているからだ。

だからその日その時、「どこに行こう」となるときは、「どこそこのどんな料理」というのが漠然と頭に浮かんでくる。

神戸の元町山手にあるこの店は、常連客のレベルが高い。

店に何回も行き倒して、街場の店で実地訓練をして身体を鍛えるようにして、うまいものにありつく方法を知っている客が多いから、横のテーブルを見ていても楽しいものだ。

この日は2人で行って、どちらも「蒸し鶏が食べたい口」だったので、渡されたメニューも開かずに「蒸し鶏!」と田中真紀子さんと似ているおかみさんに言ったら、「味付け鶏もあるし、ハーフサイズで出したげる」という具合。

ビールを飲みながら、まず壁に掛かっている「おすすめ料理」を見る。
「オマール炒めかなあ」などと言ってると、おかみさんが「ホタテおいしいよ」とのことだ。

この記事にはまだ続きがあります

今すぐ続きを読む

プレミアム記事をすべて読むには、ぐるなびプレミアム会員登録が必要です

関連記事

もうすぐ解禁日!だけど…ボジョレー・ヌーヴォー自体をその年の指針にするのは無理があった!?
もうすぐ解禁日!だけど…ボジョレー・ヌーヴォー自体をその年の指針にするのは無理があった!?

みんな大好き「お酒」だけれど、もっと大人の飲み方をしたいあなた。文化や知識や選び方を知れば、お酒は一層おいしくなります。シャンパーニュ騎士団認定シュヴァリエによる「お酒の向こう側の物語」 ♯1:ボジョレー・ヌーヴォー

岩瀬大二
ワインナビゲーター/酒旅ライター/MC
焼肉とは何か? まだこんな店が隠れていたのか!と感嘆する名店を見つけた。

【知られざるいい店のすゝめ】あの口コミサイトに載っていない店。地元民しか知らない店。裏通りや駅から少し遠くにある店……。街にはまだまだ知られざる店がある!街と店と絡み合ってきた人生の中で食の賢人・松浦達也が辿り着いた珠玉の一軒を紹介する。

松浦達也
編集者/ライター/フードアクティビスト
天才と呼ばれたフレンチシェフが新橋で開いた居酒屋のあらゆる酒と料理のウマさにシビれる

【連載】幸食のすゝめ #052 食べることは大好きだが、美食家とは呼ばれたくない。僕らは街に食に幸せの居場所を探す。身体の一つひとつは、あの時のひと皿、忘れられない友と交わした、大切な一杯でできている。そんな幸食をお薦めしたい。

森一起
ライター/作詞家/ミュージシャン
【京おんなが教える京都のツウな遊び方】今や花街は旦那衆だけのものじゃない!祇園・先斗町のはしご酒3選

【連載】「京おんなの粋な夜遊び」第2夜 京都は三方を山に囲まれた小さな街。ここでは終電や終バスを逃し、タクシーで帰ってもさほど高額になることはなく、時間を気にせずはしご酒を楽しむのが当たり前。観光客仕様ではなく、京都人が日常遣いする店を今宵、地元の京都美人に案内してもらう。