【街の達人流レストランの楽しみ方】メニューを見ずに料理を注文するコミュニケーション術について

【店づきあいの倫理学】店は生きものであり「おいしさ」や「楽しさ」は数値化できない。だから顔の見えない他者からの情報「評価」を比較して店や食べるメニューを決めたりすることは無効だ。その店だけの「固有の身体感覚」のようなものがあり、その場その時の「代替不可能な店側/客側のコミュニケーション」が、その店の真価を決定づけている。「店と客の関係性」をもとに「よりおいしく食べるための店づきあい」の方法とは?

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【街の達人流レストランの楽しみ方】メニューを見ずに料理を注文するコミュニケーション術について
Summary
1.店に何回も訪れ、実地訓練をして身体を鍛えるようにして、うまいものにありつく方法
2.メニューを開いて字を追うよりも、店の人と話をすることで生まれるグルーヴ感を愉しむ
3.店に行ったということが重要なコレクターではなく、何度も同じ店に通うことで見えてくるもの

フランス料理でも割烹でも鮨屋でも「おまかせ」とかで食べるのはあまり好きでない。
だいたい何を食べたいという具体的なものは、トンカツ屋さんやお好み焼き屋さんなどに行くときは明確なのだが、肉や魚、スープや汁ものも食べられるような料理屋では、ほとんど店に入ってから決めることが多い。

中国料理でもそうなので、一流ホテルのようにお決まりのコースが主体の店はあんまり行かない。

とりあえずピータンやクラゲを頼んでビール。前菜を食べながらメニューを見て、その時の舌の感じやお腹の空き具合で決めていく。

神戸で中国料理を食べるなら実は山手がいい

学生時代からそれこそ四半世紀かけて身体に馴染んだ神戸の広東料理店が世界一うまいと思っているが、それは明石や淡路の魚介類や神戸牛といった地元の好素材があるのと、この店なら海のもの、ここならスープといった店の持ち味をクロスさせることが、神戸ではおいしく食べるコツだと分かっているからだ。

だからその日その時、「どこに行こう」となるときは、「どこそこのどんな料理」というのが漠然と頭に浮かんでくる。

神戸の元町山手にあるこの店は、常連客のレベルが高い。

店に何回も行き倒して、街場の店で実地訓練をして身体を鍛えるようにして、うまいものにありつく方法を知っている客が多いから、横のテーブルを見ていても楽しいものだ。

この日は2人で行って、どちらも「蒸し鶏が食べたい口」だったので、渡されたメニューも開かずに「蒸し鶏!」と田中真紀子さんと似ているおかみさんに言ったら、「味付け鶏もあるし、ハーフサイズで出したげる」という具合。

ビールを飲みながら、まず壁に掛かっている「おすすめ料理」を見る。
「オマール炒めかなあ」などと言ってると、おかみさんが「ホタテおいしいよ」とのことだ。

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