ランチでもわかる!『ミシュランガイド東京2016』でも一つ星を獲得した「日本流フレンチ」の実力

dressing編集部では、ミシュランガイドの星を獲得し続ける実力店を独自リサーチ。 まずは手頃なランチでその実力を知り、気に入ったらデートでディナー利用という順序をふむのはいかがだろうか。どんなランチを出しているのか?シェフがもっとも力を入れるこだわりとは?ミシュランガイドの星獲得も頷ける極上の料理とサービスの秘密に迫る。

2016年01月22日
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ランチでもわかる!『ミシュランガイド東京2016』でも一つ星を獲得した「日本流フレンチ」の実力
Summary
1."基本"にとらわれないフレンチの異端児武田シェフは、ランチでも一切妥協なし
2.和の食材を多彩に操る革新フレンチが『ミシュランガイド東京2016』でもまた一つ星を獲得
3.ランチコースは平日3,800円~、土日祝5,800円~から

場所は麻布十番の閑静な一角。ともすると通り過ぎてしまうほど、入口はわかりづらい。そんな立地だからこそ、店の品格にふさわしい、静かでゆったりとした時間が流れているのだろう。

『Liberte a Table de Takeda(リベルテ ア ターブル ド タケダ)』は『ミシュランガイド東京2016』でも一つ星を獲得している実力店。店名に掲げられた「リベルテ」とは「自由」を意味しており、その名の通り、自由な発想で枠にとらわれない独創的なフレンチを提供している店だ。

オーナーシェフの武田健志氏は、『オテル・ドゥ・ミクニ』や『ひらまつ』など本格フレンチの名店での経験もありながら、この店で出される料理は、一般的なフレンチとは方向性が異なる。その独自のスタイルはランチでも存分に楽しめると聞き、実際に店を訪れた。
果たしてどんな料理が楽しめるのか。今回はシェフの経歴やこだわりとともに、『リベルテ ア ターブル ド タケダ』のランチのスゴさの秘密をご紹介しよう。

多くの名店で修業した武田シェフが影響を受けた教えとは?

1995年、ソシエテ・ミクニ入社を皮切りに料理人の道を歩み始めた武田健志シェフ。25歳で渡仏し、『TROISGROS(トロワグロ)』『Le Jardin des Sens(ル・ジャルダンテ・サンス)』で修業を積んだ後、株式会社ひらまつ、『サンス・エ・サブール』で実績を残し、2009年には神宮前『Restaurant-I(レストラン アイ)』の料理長を務めた。

名だたる名店での経験を経て、武田シェフは現在の「自由なスタイル」に辿り着くのだが、なかでも初めての店となる『オテル・ドゥ・ミクニ』での教えには影響を受けたという。

「大半は精神面のこと。人として、ということですね。例えば、挨拶や返事はきちんとしろ、など当たり前のことです。人にものを作る、与える立場の人間としては基本中の基本ですから。」と武田シェフ。

料理人である前にひとりの人間。その基本がしっかりしていなければ、お客様に最高の料理を出すことはできない。「人として」の精神は、長きに渡って日本のフレンチ界を牽引してきた『オテル・ドゥ・ミクニ』直伝のようだ。

目指すのは「日本人にしか作れないフランス料理」

武田シェフの料理といえば、“自由”がキーワード。
自由な発想で、自由な組み合わせで、この店でしか味わえない”面白い”フランス料理を創り出している。それだけに、日本人の方には「これはフレンチと言えるの?」と思われる可能性もあるという。

「“自由”と言葉にするのは簡単ですが、いろいろな解釈がありますから。あえて言うならば、目指しているのは“日本人にしか作れないフランス料理”だということ。近年のトレンドはいかに個性を料理に反映させられるかが重要になってきていて、お客様はジャンルに関係なく“その人の料理”を食べに来るんです。ですから、料理人の個性が前面に出た、特徴的な料理をお出ししていきたいと思っています。」と武田シェフ。

さらに、だし、味噌、醤油など日本独自の調味料を多用するのも武田シェフの料理の特徴。最近は、スッポンに注目しているそうで「大きな可能性を秘めている食材」と期待を寄せている。

今回いただいたランチにも、和の要素がふんだんに散りばめられており、注目食材「スッポン」を使った前菜も登場。果たして、どんな料理が登場したのか、その詳細をご説明しよう。

ランチという枠に縛られない驚きが隠された料理の数々

今回、実食したのは「ムニュ デギュスタッション」(7,800円)のコースで、内容は以下の通り。


アミューズ①:小さな前菜の贈り物
(北海道のズワイガニを薄くスライスした大根で包んだもの、タピオカ、イクラ、炭のチュイル、ハーブのオイルパウダー、オゼイユ)

アミューズ②:水ダコ
(炙った水ダコ、フェンネルのムース、青海苔のジュレ&チップス)

前菜:スッポンとフォワグラ
(スッポンのカネロニ風、フランス産フォワグラ、菜の花、舞茸、※白トリュフをオプションで追加)

魚料理:カスベ
(北海道・羅臼産のカスベ、燻製にした“インカのめざめ”のピューレ&チップス、ムカゴ、グルノーブル風焦がしバターソース)

肉料理:鹿肉
(本州鹿のロースト、赤ワインソース、栗のピューレ、和栗の渋皮煮、キノコ&玉ネギのロースト)

デザート:梨
(洋梨のソルベ、和梨&洋梨のコンポート、すだちのゼリー、ソーダ、ワサビ)

プティフール:チョコレート
(チョコレートのプリン、ナッツ、板状のチョコレート、マスカルポーネのムース)

どの皿も、さりげなく驚きを忍ばせていて、まさに武田シェフにしか作れない料理ばかり。
カネロニ風に仕上げたスッポンは、だしの香りが高く、フォワグラとの相性も抜群。
水ダコは吸盤部分が酢ダコを思わせる味になっていたり、デザートにはワサビが添えられていたりと、和のアレンジも冴えている。

最初のアミューズは、ズワイガニにリンゴを合わせて甘さと食感をプラス。
油通しした香ばしいカスベは軟骨が入っていて、やわらかな身とコリコリした軟骨の歯応えが楽しい。
このように味、食感のバランスも絶妙で、忍ばせられたアクセントに一口食べるごとに心が躍る。

ランチだからとあなどるなかれ。
「内容は全然違いますが、“基本”は変わりません」と、武田シェフの中では、ディナーとの棲み分けはほとんどないという。 “自由な料理”はランチでも健在だ。

特注の食器や、シェフがセレクトしたカトラリーにも注目

料理だけでなく、カトラリーや食器も注目すべきポイント。
食器はほとんどが特注したオリジナルで、シェフがイメージを伝えて作ってもらっているそう。
「こんな色でこんな形でと、職人さんと2、3回やりとりをします。テスト品が上がってきたら、さらに修正を加えて理想形に近づけていただく、という感じです」。
料理から食器のデザインをイメージするのではなく、広く考えてトータルで使えるものを発注するそうだ。

枠にとらわれない武田シェフの料理には、個性的な器がよく似合う。

最初のアミューズで出てきた黒い平皿、最後のドリンクで出てきて、カップを固定できるソーサーなど、どんな器で登場するかにも、ぜひ注目してほしい。

カトラリーは、優美なラインと独特なカッティングがハイセンスな印象を醸すポルトガルの“クチポール”、肉料理のナイフは“ラギオール”ほど丸みがなく、男性的な印象の“ティエール”が使われる。これらはコース全体の統一性を考えて、すべて武田シェフ自らがセレクトしたもの。

料理の前に登場するカトラリーを見ただけで、「これでいただくのは、どんな料理だろう…」と期待感が高まる。主役であるおいしい料理に、名脇役は欠かせないのだ。

ミシュラン2つ星を目指して、さらに磨きをかける

『ミシュランガイド東京2016』では一つ星を獲得したが、シェフが目指すのはそのさらに上だ。
「これからも、トータルのクオリティを上げていかなければと思っています。今のスタイルのままで、ワンランク、ツーランク上を目指せば、結果がついてくるはず」と武田シェフ。

さらに今後の夢を聞いてみると……。
「日本人だけでなく、世界中の人に来てほしいと思っています。自分の料理は特徴があると思っているので、外国の方にはその強みを最大限に活かせると思うんです。極端なことを言えば、日本人には“創作だよね” “フレンチじゃないよね”と言われる可能性が高いですけど、それはそれでいい。日本に住んでいる外国人をきっかけに、もう少し多くの方に広まればうれしいですね」

飽くなき探求心の持ち主ともいえる武田シェフ。「常に上を目指していきたい。」、そうまっすぐに語る武田シェフの力強い眼差しを目の前にして、期待は膨らむばかりだ。




今回のランチは、女性客がほとんどだった。しかし、話を聞くと夜は接待などで使われることもあるが、カップルの利用も多いため、男女比は6:4くらいだという。女性に囲まれる可能性は高そうだが、リーズナブルなランチで武田シェフの味を楽しめるのだから、これを利用しない手はない。

「フォワグラやトリュフ以外はほとんど日本の食材を使っている」、「和の調味料を積極的に使っている」など、武田シェフ独自のスタイルを事前に味わっておけば、彼女とのデートの話題としても、きっと花を咲かせてくれるだろう。

武田シェフ自らが厨房に立ち、そのこだわりを余すことなく表現する『リベルテ ア ターブル ド タケダ』のランチ。そのスゴさの秘密は、ディナーと同じスタイルで、スタッフもそのままに、日本の食材を自由且つ丁寧に調理していく、妥協の一切ない”日本人らしい”姿勢にあるようだ。

“面白いフレンチ“、”日本でしか味わえないフレンチ”を求めるのであれば、『リベルテ ア ターブル ド タケダ』にぜひ訪れていただきたい。





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Liberte a Table de Takeda(リベルテアターブルドタケダ)

住所
〒106-0045 東京都港区麻布十番2-7-14 1F
電話番号
03-5765-2556
営業時間
水~日:ランチ 11:30~15:00(L.O.13:30)、火~土:ディナー 18:00~23:30(L.O.21:00)、日・祝日:18:00~22:00(L.O.20:30)
定休日
定休日:月曜日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/gdc0700/premium/
公式サイト
http://azabu-liberte.com/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。