名物餃子食べ比べからの塩サバおにぎりの名店まで7軒の旨さ

日本を代表する食道楽の一人、マッキー牧元さん。彼はどんなものを食べて過ごしているのか。「教えていいよ」という部分だけを少しのぞき見させていただく。

2016年01月11日
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名物餃子食べ比べからの塩サバおにぎりの名店まで7軒の旨さ
Summary
1.京都では祇園の人気店と大衆中華
2.銀座の玉子サンドならぬオムレツサンド
3.長崎にて名物を食べ歩く

1.コロッケ「旨みのかたまり」

「なんじゃこれは!」一口食べた途端、誰かが松田優作のような雄叫びをあげる。
小さな小さなコロッケをかじって、一同みな叫ぶ。
断面を見れば、茶色いペシャメルが、香ばしい香りを立ち上げている。
これは小さな爆弾である。濃縮したうま味だけが詰まった爆弾である。

なんというアミノ酸量だろう。
うま味が次々と津波のごとく襲ってくる。
これは、干し松茸を牛乳で戻し、その牛乳でベシャメルソース作り、戻した松茸と、松茸をソテーしてさらに加えたコロッケである。

こんな恐ろしい爆弾を考えながら、「一道」の関シェフは、爽やかな笑顔で飄々としているのであった。

<予算>
〜20,000円

祗園 一道 (ギオンイチドウ)

住所
〒605-0074 京都市東山区祇園町南側589ぎをん松本ビル1階
電話番号
075-561-1949
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/9wk5arbt0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

2.「完成された焼きそば」

これを「磐石」というのだろう。
小麦粉と卵の揚げ麺は、カリッと香ばしく弾み、その間を縫って細もやしはシャキシャキ音を立て、玉ねぎはシャクっと歯ごたえを見せる。
カリッ、シャキッ、シャクッと、口の中で生まれた痛快なポリリズムが、心を踊らせる。
さらに韮や椎茸が香り、脂はうま味を滑り込ませる。
しかし誰も、出過ぎない。
黄金比率で定めたかのように、火の通しと量がピタリと決まり、互いを引き立てながら、自らの役目を果たしている。
味の機能美と言う言葉があれば、それは「鳳泉」の炒麺のことである。

<価格>
炒麺(焼きそば)755円

鳳泉(ホウセン)

住所
〒604-0911 京都府京都市中京区河原町通二条上る清水町359
電話番号
075-241-6288
営業時間
火~金11:30~14:30、17:00~20:00、土・日 11:00~20:00
定休日
定休日 月曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/rrdasnry0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

3.「オムレツにキスするサンドイッチ」

この子は絶対タテである。
普通サンドイッチは横にして、つまりパンを上下にして食べる主義だが、これはパンを左右に配置して食べるべきである。

なにしろ玉子サンドではない。オムレツサンドなのである。
紡錘形の美しいオムレツを、温めたパンの間にそっと挟んである。
だから上下にしてつかみ、これ以上の圧力をかけてはいけない。
横にして食べると、まず唇に、ふんわりとオムレツがキスをする。
そしてむむむむっと、舌の上に玉子の甘みが広がって、バターの香りが抜けていく。
そのあたりで少しパンの味が顔を出す。
パンにバターも塗っていなければ、もちろんケチャップもなし。
この上なくオムレツに肩入れしたサンドイッチなのである。
僕は後半、ちょっとだけ塩をかけてみた。すると甘みが膨らんで、玉子が笑うのだった。

喫茶YOU (キッサユー)

住所
〒103-0000 東京都中央区銀座4丁目13-17 高野ビル 1~2階
電話番号
03-6226-0482
営業時間
10:00~20:30(L.O.)、ランチは11:30~15:00(L.O.)、ディナーは15:00~
定休日
不定休(年末年始休)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/46t0p3bs0000/
公式サイト
http://www.kissa-you.com/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

4.おじや「名物の企業秘密」

「素早く回すだけです」。
どうやって作るのかと聞くと、「企業秘密です」と言いながらも、長崎「一二三亭」の板前さんは、優しく教えてくれた。

なにしろここの雑炊は、卵がふわふわになりながら、ムラがない。
米一粒一粒と抱き合いながら、その甘みをゆっくり舌の上で膨らます。
わずかに入ったごま油のアクセントが効いていて、卵と米の優しさにたくましさを投げかける。
そしてなによりお米の具合が素晴らしい。
だしというぬるま湯に長く浸かって、心身ともにほぐれましたというくつろぎ方をしている。
わずかに米粒の存在感を残しながら、だしを吸って膨らんで、柔らかい。
その加熱具合こそが、この店の名物となった魅力なのだ。

<価格>
おじや(※文中では「雑炊」ですが、メニュー名はおじやです)650円

一二三亭 (ヒフミテイ)

住所
〒850-0000 長崎県長崎市古川町3-2
電話番号
095-825-0831
営業時間
月~日 ランチ 11:30~14:00 ディナー 17:30~23:00
定休日
不定休日あり
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/h3k8bkvf0000/

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5.「二軒の人気店の小さな餃子を食べ比べる」

長崎には「雲龍亭」と「宝雲亭」がある。餃子の話である。
「雲龍亭」が創業60年、「宝雲亭」創業54年。ともに小さい餃子で人々を惹きつけ続けて、市内に何店舗かある。
どうやら親戚筋らしいのだが、真相はわからない。
博多にも「宝雲亭」があり、こちらは創業60年。三軒のメニューは、ほぼ同じで「雲龍亭」と「宝雲亭」が同時多発したのか、長崎「宝雲亭」が「雲龍亭」からの流れなのかは、調べたがわからなかった。
どなたか知っている人がいたら教えて欲しい。
さてどちらがおいしいかという問題だが、これは長崎市民でも意見の分かれるところで、ハシゴして食べ比べてみた。

「雲龍亭」の餃子(10個400円)は、頼むとすぐ登場する。
小さくカリカリとして、いくらでも食べることの可能な焼餃子である。
アンは野菜感が強く、あっさりとしている点も、するする入ってしまう要素である。

「宝雲亭」の餃子(10個380円)は、作り置き冷凍されている「雲龍亭」とは違い、営業時間中は常に皮から作り続けている。
そのため、薄く小さいながら、皮にかすかなモチっとした存在感がある。
アンは、肉感が強く、皮とのバランスがいい。サイズも「雲龍亭」の1.5倍ほどある。
餃子好きなら悩むところだろう。通なら、そりゃあ作りたての皮の方がうまいよということになろうが、「雲龍亭」の存在感が弱い点も、いじらしい。
つまりハシゴするしかないのである。
ちなみに名物ニラトジ(「雲龍亭」300円「宝雲亭」380円)も食べ比べてみた。うむこちらの方は、玉子の閉じ方に妙がある「宝雲亭」だな。

ちなみに写真は、「雲龍亭」→「宝雲亭」の順

長崎一口餃子の雲龍亭浜んまち

住所
〒850-0853 長崎県長崎市浜町10-3
電話番号
095-822-4621
営業時間
火曜日~土曜日 14:00~00:00 (ラストオーダー:23:30) 、 日・祝日 13:00~22:00 (ラストオーダー:21:30)
定休日
定休日 月曜(祝日の場合、翌火曜日が定休)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/heskx5tc0000/
公式サイト
http://unryutei-shokuhin.com/

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思案橋 宝雲亭

住所
〒850-0901 長崎県長崎市本石灰町1-8
電話番号
095-821-9333
定休日
定休日 月曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/reg8kkx90000/
公式サイト
https://www.facebook.com/%E6%80%9D%E6%A1%88%E6%A9%8B-%E5%AE%9D%E9%9B%B2%E4%BA%AD-710452552327310/

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6.塩サバおにぎり「長崎の〆」

長崎の夜を締めくくるのは、誰がなんといってもラーメンではなく「かにや」である。
おにぎりは30種類。注文すると木枠に米を置き、ネタを包み、軽く握る、東京で言う所の“ぼんご”方式である。
おにぎりを待つ間に、当然ながらおでんを頼み、調子に乗ってウィンナー串焼きなる下品を頼んで、ビールを飲みながら待つ。

今宵のおにぎりは、天かすやしそわかめ、王道のたらこに鮭、チョーコー醤油とまぶしたおかか、葉唐辛子や紅ショウガ、岩海苔やしその実と悩んだが、やはり「塩サバ」にした。

頬張れば、ひのひかりの甘みが広がり、有明海苔の香りが広がり、塩サバの旨みが追いかける。
後は味噌汁と貝汁を頼み、麦味噌の甘みにむせび泣く。

<価格>
おでん各種130円、ウインナー串焼き130円、味噌汁270円、貝汁400円
おにぎり:てんかす160円、しそわかめ160円、たらこ160円、さけ160円、かつお節160円、はとうがらし160円、べにしょうが160円、岩のり160円、しその実160円、塩さば160円

かにや本店

住所
〒850-0841 長崎県長崎市銅座町10-2
電話番号
095-823-4232
営業時間
月~土 18:00~翌3:00
定休日
定休日 日曜・祭日不定休
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/ph14kjfh0000/
公式サイト
http://www.kaniya.org/index.html

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