渋谷からすぐ! 一流シェフたちが夜ごと訪れていた深夜洋食の名店とは?

【連載】マッキー牧元の「ある一週間」 第33週  日本を代表する食道楽の一人、マッキー牧元さん。彼はどんなものを食べて一週間を過ごしているのか。「教えていいよ」という部分だけを少しのぞき見させていただく。

2016年05月02日
カテゴリ
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渋谷からすぐ! 一流シェフたちが夜ごと訪れていた深夜洋食の名店とは?
Summary
1.ヤマメからサクラマスになる色気
2.中国料理、スペイン料理、韓国料理、それぞれの深淵
3.一流シェフたちが愛した深夜洋食の誘惑

3月27日一軒目「ヤマメからサクラマスへ」

海に下ったヤマメは、昆虫食から脱して、イワシの稚魚などを食べはじめた頃だろうか。
出始めのサクラマスは、脂という艶をようやくつけはじめた気配を、舌に漂わす。
塩と昆布で〆たというサクラマスが、酢飯と抱き合い、じっとりと脂を滲ませる。
そのほんわりとした色気がたまらない。
鼻に抜けていく、桃色の香りがじれったい。
そして、春の陽だまりが胃袋に落ちていったような余韻残して消えていく。

鮨人(スシジン)

住所
〒939-8205  富山県富山市新根塚町3-5-7
電話番号
076-422-0918
営業時間
12:00~14:00、18:00~21:30
定休日
定休日 日曜(祝日は営業、但し月曜が祝日の場合は日曜営業・月曜休)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/97xre64j0000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

3月28日「中国料理の深淵」

それは確かな意識があった。
とうの昔に成仏されて、干され、遠方まで運ばれ調理されたというのに、人間を焦らす意識があった。
食べるとねちっと歯が包まれ、噛んで噛んで、溶けるように消えていくのだが、その間に舌を弄ぶ。
ねちっ、てろてろと、楽しむかのように舌や歯を舐め回し、にかわ質の甘みを滲ませながら、喉へと落ちていく。
中国人は、この食感の、色気とはかなさに惚れ、珍重したのだろうか?

花膠。ファーガウとも呼ばれる、絶滅危惧種の魚であるトトアバの浮き袋である。体長180cmにもなる巨大魚ならではの大きな浮き袋は干され、水だけで10日間ほどかけて戻し、調理される。
とてつもなく高価で、この一皿分の浮き袋の原価は、1万円ほどするという。
その希少な浮き袋を、来日していた香港『聘珍楼』料理長に料理をしていただいた。
金華ハムのスープで、スッポンのエンペラと三日間塩漬け熟成させた鮑とともに煮込まれている。
干鮑でも蒸し鮑でもない食感と香りを持つ鮑も、てれんと舌に甘えるエンペラも、滋味深いスープの中で、心を溶かす。
しかし厚さが3cmほどある花膠は、貴婦人のような品と娼婦のようなたくましさを混在させながら、僕らを翻弄する。

「饗螺菜膽燉魚翅」。
どこまでも澄み渡りながら、奥底が見えない。
たっぷりのつぶ貝を使い、フカヒレと最上級の陳皮を加えた蒸しスープは、一切の塩がされていない。
だが滋味深いという言葉も陳腐になるほどの旨みが渦巻いている。
飲めば充足のため息しかもれず、体の中にじっとりと幸せが積もっていく。
ひと口だけで満ち足りるが、無くなっていくのがなんとも寂しい。
ひと口で惚れるが、やがて去っていくことを認めたくない。
これは天上界のスープかもしれない。

滋味が丸く、舌に流れた瞬間、染み込んでいく。
隅々の細胞にまで溶け込んで、身体が喜びに打ち震えている。
そして余韻に、陳皮の甘く優しい香りが漂い、骨が溶ける。
僕らは空になってしまった小壷を見つめながら、焦らし泣く。
中国料理の深淵を覗いた夜。

聘珍樓横濱本店(ヘイチンロウ)

住所
〒231-0023 神奈川県横浜市中区山下町149 中華街大通中央
電話番号
045-681-3001
営業時間
11:00~15:00、17:00~22:00、土曜 11:00~23:00、日曜 11:00~22:00、詳細はホームページで。
定休日
定休日 無休
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/g468300/
公式サイト
http://www.heichin.com/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

3月31日「ピッツァじゃないピザとか」

深夜の洋食は、蜜の味である。
かつて一流シェフたちが、夜な夜な訪れていたという洋食屋に行った。
「ボラーチョ」という、スペイン語で「酔っ払い」を意味する店名に敬意を表し、酔っ払ってから行った。三人で焼酎のボトルを飲み干してから行った。
今はおばあちゃんとその娘さんがサービスをし、孫が料理を作っている。

茄子のグラタンの熱々を口に運んで、チーズとホワイトクリームに抱かれながら溶けていく茄子の甘みに、歓声を上げる。そして、ガーリックトーストも頼み、ソースをたっぷりとつけて食べることも忘れない。

次は? そう私、立場上トンカツをどうしても注文しなくてはいけないのです。と無理やり理由をつけてpork cutletを頼み、夜のトンカツ会議を開いてみました。

「スパゲッティボラーチョってなんだ?」
「聞いてみよう」。
「いや聞かずに頼もう。食べればわかる」。と、また理由をつけて、ついに禁断の炭水化物ナイトが幕を開けた。
ミートソースのようだけどそうではない。デミグラス主体で煮込まれた肉が入っている。
「おおこれは赤ワインじゃ、くるしゅうない、赤ワインを持って参れ」。
スパゲッティ食べてワイン飲んだら、なぜか腹が減った(錯覚)。

「仕方ない、ピザも頼むか」。
仕方ないのである。やむを得ないのである。
そしてアンチョビピザ様がやってきた。ピッツァじゃないよ。ピザだよ。
薄い生地は、カリッとしながら、ふんわりもしている。
ピザとピザトーストの間を走る、ピザなのである。
チーズのコクとソースの甘みの中から、アンチョビの塩気がキックする。
練れた塩気が夜の闇を甘くする。

ボラーチョ

住所
〒153-0044 東京都目黒区大橋2-6-18
電話番号
03-3465-4452
営業時間
18:00~翌3:00、日・祝~翌1:00
定休日
定休日 月曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/s7gkkyjj0000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

4月1日「日本随一のスペイン料理へ」

艶かしい。
噛めば、しなやかな肉の躍動があって、甘い命がしたたり落ちる。
2キロ以上あるナメタガレイを骨つきのまま炭火焼にし、骨を抜いいて元の形に戻し、ピルピルソースを添える。

とろんと乳化したソースにまみれ、ナメタガレイは自らの甘みを、じっとりと舌に広げる。
今、ニンニクの香りとともに、カレイの丸い香りが抜けていった。
皮下のコラーゲンが、にゅるんと溶けた。
ああ、魚がなくなっていく。
僕は、静けさの中に凛々しさを秘めた余韻がいつまでも続くようにと、目を閉じた。

ZURRIOLA(スリオラ)

住所
〒104-0061 東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル4F
電話番号
03-3289-5331
営業時間
11:30~L.O.13:00、土・日・祝11:30~L.O.13:30 、18:00~L.O.21:00
定休日
定休日 月曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/9c9xkwkw0000/
公式サイト
http://www.zurriola.jp/index.html

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

4月2日「メッチュの旨み」

どこまでも、「きれい」である。
熟れた塩気と旨みが、舌に流れ、甘い余韻だけを残して消えていく。
一切の雑味もエグミもなく、優しい、澄んだ命の香りだけを漂わす。
「今回は本当によくできて、よかった」。オンマは笑った。

小イワシの鱗を隅々まで取り、洗って余分な水分を取る。
塩漬けにし、空気が入らぬよう密閉し、冷暗所で寝かし、3年の月日がたった。
昨夜ようやく光を見たメッチュは、大海原を泳いでいた命の輝きを取り戻し、洗練された力で、我々の心を安らかにする。
塩は丸く、旨みもまあるく、山奥の湧き水のように澄み渡る。

これを8ヶ月熟成させたキムチの汁と混ぜ、熱々の白ご飯にかけて、よくよく混ぜた。
ああ、やめて。
そこには天上のうまさが凝縮したような、陶酔がある。
もう絶望的にうまい。
こんどはツラミ肉を焼いて、メッチュの汁を塗ってまた焼く。
もうやめて。
肉は、突如色香を振りまき、我々を堕落させようと手を伸ばす。
「熟れてこそ美しく、海深くきれい」。
それは、70を遠に過ぎた、オンマの輝く肌と同じであった。

焼肉と韓国料理とお酒のお店 韓灯(ハンドゥン)

住所
〒104-0052 東京都中央区月島2-8-12 AS ONE月島B1
電話番号
050-5798-6569
営業時間
17:30~23:30(L.O.23:00)
定休日
定休日 月曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/a525200/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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