やっと美味しいコーヒーが飲めるようになったパリのプティカフェ

【連載】知りたいパリ、変わるパリ。  いまや世界は狭くなり、パリで起きている情報はすぐに手に入れることができる、、、と思いがちだけど、やはりパリに暮らしその空気を吸った人だけが感じられる「今」がある。パリでレストランのコンサルタントをし、日常の暮らしがあるからこそ見えてくるもの。そんな本当の最先端のパリの食事情を伝えていただく。

2015年10月25日
カテゴリ
レストラン・ショップ
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やっと美味しいコーヒーが飲めるようになったパリのプティカフェ
Summary
・フランス文化の発祥地であるカフェ
・でも「パリのカフェは美味しくなかった」が常識
・特にオススメのカフェは?

パリジェンヌの飲むあのカフェ、実は美味しくありませんでした

雑誌や映画で見るパリの様子といえばプティカフェ(エクスプレッソ)をテラスで新聞や本を読みながら楽しむパリジャン。暇つぶしをしたり、待ち合わせをしたり、仕事やちょっとした息抜きに利用したり。カフェはパリジャンの日常生活に欠かせない場所。

パリでカフェがつなぐのは時間だけでは無い。人と人をつなぐ場でもある。
左岸ではサンジェルマン・デ・プレの老舗カフェに人が集まり、物事がまわると言われている。ファッションや出版関係のビジネスマンが打ち合わせに使う。文化人が議論をする。講演会が開かれる。こういった文化度の高いカフェがフランス文化の発祥地となっているのだという。

「エクスプレッソ」という飲みもの

そんな重要な役割をもったカフェで「アン・カフェ・シルヴプレ(カフェをひとつください)」と頼むと出てくるのがエクスプレッソ。プティカフェとも言う。これが、実際口にしてみると、実はさほど美味しくない。
イタリアでは、散歩に出るとついついバルでエスプレッソを頼んでしまう私なので、フランスのエクスプレッソがあまり美味しくないのはさみしい限り。
イギリスでは、ロンドンに無数にあるロースターのコーヒーを飲むのを楽しむ私は、フランスにフィルターコーヒーが無いのもなんだか物足りない。

ふむ、おしゃべりなフランス人は、皆自分の話に夢中で、彼らにとって目の前で冷めていく茶色い液体の存在意義は、お飾り程度に間をつなぐもの。または、きゅっと飲み干す朝の目覚まし。気分をシャキッとさせてくれる刺激物。その味にはさほど興味がないということか。
美しいパリの街のただ中にあって、ただ苦いだけの、中途半端な酸味を持ち、酸化した豆から発される独特の香りを振りまく液体を前に、それまで持っていた幻想をこわされてがっかりした私。焙煎から日が経っているにちがいない。新鮮な豆では無いのだろうな。心の中で舌打ちする。
しかし、幸運なことに、パリの街なかでそう思っていたのは私だけではなかったようだ。

味を追求した店が急増中

自家焙煎をするカフェや、美味しいエスプレッソを追求するロースターが続々と現れたのはここ数年のことだ。
こうして、今のパリは、英語が通じるカフェが数多くある状況となった。イギリス人やオーストラリア人といった、アングロ・サクソン系の人々がオープンした、Caféならぬ、Coffee shopがたくさんできているのだ。

彼らがコーヒーショップをオープンした理由はいたって単純。
『パリには美味しいコーヒーがなかったから。』
大抵のオーナーやバリスタは口を揃えてこう言う。
そうして、CHEMEXで淹れたフィルターコーヒーや、Marzoccoのマシンを使って淹れたフラットホワイトや、エアロプレスで淹れたコーヒーを気軽にパリで飲める日がやってきた。

今やイギリス資本の大手コーヒーチェーン、コスタコーヒー(*)までもがパリに進出し、店舗を増やし続けている。
*2012年12月12日にリヨン駅構内にパリ一号店をオープンした。2015年10月現在9店舗。

パリでフランスのカフェに飽きたら、数多くある独立系のコーヒーショップや、気軽に飲めるチェーン系のコーヒーショップで、ぜひそれぞれの味をお楽しみあれ。

いまパリでカフェに行くなら!

さいごに。
どこのコーヒーも美味しいけれど、私の個人的なおすすめは、Coutume Café(クチュームカフェ)の水出しコーヒー。豆本来の香りを存分に活かした、フランボワーズ(木苺)やオレンジピールの香りがするコーヒーがいただけます。初めて飲んだときの感動はいまだに忘れがたい。日本にも進出済だけれど、パリのお店では、きっとまたひと味違った発見ができるはずです。

<独立系のコーヒーショップ>
Télescope(自家焙煎 北欧のロースターの豆使用)
5, rue Villedo 75001 Paris

Ob-La-Di Café(Café LOMIの豆使用)
54, rue de Saintonge 75003 Paris

DOSE - DEALER DE CAFE(ロンドンのロースターによる自家焙煎)
73, rue Mouffetard 75005 Paris

COFFEE CLUB
87, rue d'Assas 75006 Paris

COUTUME INSTITUUTTI(自家焙煎)
40, rue des écoles 75005 Paris

BLACKBURN COFFEE(ロンドンのロースターから輸入の豆使用)
52, rue du Faubourg Saint-Martin, 75010 Paris

HEXAGON Café(自家焙煎)
121, rue de Château 75014 Paris

Café LOMI (自家焙煎)
3Ter, rue Marcadet 75018 Paris

CREAM (パリのロースターBrûlerie de Belleville のコーヒー使用)
50, rue de Belleville 75020 Paris

Coutume Café

住所
47 rue Babylone 75007 Paris 
電話番号
+33 01 45 51 50 47
営業時間
8:00~19:00、土・日10:00~19:00
定休日
定休日 無休
公式サイト
http://www.coutumecafe.com/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。