サードウェーブ系カフェ3軒に訊く!清澄白河がコーヒーの聖地になったワケ

2016年02月11日
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サードウェーブ系カフェ3軒に訊く!清澄白河がコーヒーの聖地になったワケ
Summary
1.コーヒーブームは多数の川が張り巡らされた運河の街だからこそ興った!?
2.美術館や公園など、散策スポットが多いエリアだからカフェが地域に根付いた
3.お墓や寺社が多く、高層ビルが少ないことが、焙煎所運営に適する

カフェ占有率26%とデータからも今やコーヒーの街であることが実証される清澄白河

アメリカ北西部のオレゴン州にある街、ポートランド。ここはサードウェーブコーヒーの先駆けとして開花し、おしゃれなライフスタイルが根付いている。そして今、東京は江東区にある清澄白河エリアも“日本のポートランド”と称され、コーヒーの街として脚光を浴びている。

「ぐるなび」が蓄積する最新の飲食店データからも、ジャンル占有率を比較すると「カフェ」は東京全体が7.2%に対して、清澄白河駅周辺は26.0%と高い結果が導き出されている。なかでも“コーヒー焙煎”を自ら行なうこだわりのカフェが多いことから、コーヒーの聖地を巡礼するファンは後を絶たない。カフェの店舗数の推移を見ても、2013年頃から徐々に増え始め、この3年間で2倍以上にまで伸びており、近年の注目度の高さが伺われる。

昨年2月に『Blue Bottle Coffee(ブルーボトルコーヒー)』日本初出店の場所として選ばれたことで、ちょっとした観光地と化した清澄白河。週末は遠方からカフェ巡りをしにくる一見さんが目立つが、平日はやはり地元の人々の生活に根付いた使われ方が特徴で、地域に密着した文化を生み出すのはコーヒーならではの魅力でもあるだろう。

ここではそのブームで沸く以前から清澄白河のエリアに店を構え、客足や客質の変化を如実に感じ取っていたという3店舗をクローズアップ。カフェの立地としてはもちろん、より品質にこだわった焙煎所の立地として、なぜ清澄白河が選ばれたのかを探ってみた。また、今年は折よくバレンタインデーが日曜日ということで、休日のカフェ巡りのお供にも最適な、コーヒーと相性抜群のおすすめスイーツも伺った。

多数の川が張り巡らされた、運河の街だからこそ興ったコーヒーブーム

2012年4月にオープンして以降、清澄白河のコーヒーブームで「以前に比べてお客さんの数が約2.5倍に増えたと感じる」という、『The Cream of the Crop Coffee(ザ クリーム オブ ザ クロップ コーヒー)』の焙煎師・板原昌樹さん。清澄白河にコーヒー文化が根付いた経緯を伺った。

「当店の場合は、すぐ裏手には大横川があり、コーヒー焙煎時の排煙がしやすかった。また、もともと製麺機の工場だった場所を居抜きで使用でき、“排煙ダクト”の設置が容易にできる高い天井を有していたことも、大型の焙煎機を設置するのに適していました」

このようなケースは一例だが、確かに清澄白河は昔から木材問屋が多い新木場が近いため、材木運搬用の用水路として他にも仙台掘川・小名木川など多数の川が張り巡らされている、運河の街だ。また、同様に倉庫や工場など適度な高さのある建物も多く残っており、焙煎所の立地条件が揃っていたことが、清澄白河にコーヒーブームが興った理由のようだ。

美術館やギャラリー、ドッグランなど散策スポットが目白押し

「すぐ近くに東京都現代美術館やギャラリー、木場公園にはドッグランもあるので、お散歩がてらコーヒーをテイクアウトするお客様も多いですね。テラス席が小さな動物園みたいになっていることも(笑)」と板原さん。「ラサ・アプソ」というチベットに起源をもつ犬種のイラストがお店のモチーフにもなっており、テラス席のみ愛犬との利用もOKだ。

そんな『The Cream of the Crop Coffee』のおススメは、上質な酸味がクセになる人気の「エチオピア産イルガチェフェ」(450円/S、560円/M)と、香ばしく刻まれたナッツを最高級チョコレートでコーティングした「トッローニ バッチ」(324円/1個)。南イタリアに起源をもつ伝統的なスイーツは、ビターな甘さがコーヒーの余韻を二重に愉しませ、大人のバレンタインにぴったりだ。

The Cream of the Crop Coffee清澄白河ロースター(ザ クリーム オブ ザ クロップ コーヒー)

住所
〒135-0021 東京都江東区白河4-5-4
電話番号
03-5809-8523
営業時間
10:00~18:00
定休日
定休日 月曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/4c10jcba0000/
公式サイト
http://www.c-c-coffee.ne.jp/top/index.html

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

清澄白河では、都心とは違う、地域に根付いたサービスができる

かつての木材倉庫をリノベーションし、2014年8月にオープンしたのが、ニュージーランド発のコーヒー焙煎卸会社『ALLPRESS ESPRESSO TOKYO ROASTERY & CAFÉ(オールプレスエスプレッソトウキョウロースタリーアンドカフェ)』。天井の高い開放感のある空間では、お客様が焙煎の様子を見ることができるようにカフェも併設されている。

「清澄白河の魅力は、地元のお客さんとのコミュニケーションなど、都心エリアとは違う、地域に根付いたサービスができること」と応えてくれたのは、スーパーバイザー兼ショップマネージャーのIkumiさんだ。

また、カフェという同業態があえて同じエリアで“共存”するために、清澄白河のカフェは競い合うわけではなく、より独自の個性を伸ばしていく方向にあるという。各店特徴はあるが、エスプレッソに特化した同店では、エスプレッソをベースにさまざまな飲み方を提案している。

おススメは、ニュージーランドやオーストラリアではポピュラーな、エスプレッソベースのコーヒー「フラットホワイト」(430円、写真手前左)だ。きめ細かなスチームミルクが、自慢のエスプレッソをまろやかに包み込んで、至福の口当たりを演出する。バニラアイスにエスプレッソをかけていただく「アフォガート」(600円、写真手前右と奥)は、あえてアイスクリームを冷たいままいただけるように、氷が敷かれた二重構造の器で提供するなど、本格的なスイーツとして楽しむことができるのも特徴だ。

ALLPRESS ESPRESSO TOKYO ROASTERY & CAFÉ(オールプレスエスプレッソトウキョウロースタリーアンドカフェ)

住所
〒135-0023 東京都江東区平野3-7-2
電話番号
03-5875-9392
営業時間
月~金8:00~17:00、土・日・祝日9:00~18:00
定休日
定休日 無休
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/7xmkpzyg0000/
公式サイト
http://jp.allpressespresso.com/ja/allpress-roastery-cafes/tokyo-roastery-cafe/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

古くからお墓や寺社が多いことで、高層の建物ができにくい

最後は、清澄白河の隣町・深川に住んで15年という、まさに地元密着型の焙煎士・林 大樹さんが営む『ARiSE COFFEE ROASTERS(アライズコーヒーロースターズ)』。2013年9月にオープンしているが、林さん自身は、大正時代創業の老舗焙煎所で10年の修業を経て独立した大ベテランだ。

「うちがお客さんに一番求められるのは、清澄白河でコーヒー以外の訪れるべきお店や飲食店の情報です(笑)。鰻屋さんならここがいい、とか観光案内スポットに近いですね」という通り、こちらの店舗は、大きな焙煎機の周りに数席の椅子が配され、座る人あり、立ち話をしていく人あり、の自由な地域コミュニティの場になっている。住民である林さんならではの見解も伺った。

「清澄白河は昔から墓地が多いエリアで、霊巌寺や浄心寺に代表される寺社の借地に建っている建物が多いため、新しいマンションなど高層のビルが立ちにくいんです」

焙煎時の排煙がスムーズにいくためにも、高いビルが少ないことは、清澄白河にコーヒー焙煎の文化が興った大きなポイントだったことは間違いない。

生豆は約40種を用意し、個性ごとにシングルは常備7~13種類くらいに焼き分けているという同店のおススメは、ニカラグア産の「パカマラ・ナチュラル」(450円/cup、950円/豆100g)。一緒にいただくのは、清澄白河の人気ベーカリー『コトリパン』から仕入れているフレンチトースト(150円)だ。表面はカリっと香ばしく、ほのかな甘みはコーヒーと味わうとまるでカラメルのように深みを増す。

ARiSE COFFEE ROASTERS(アライズコーヒーロースターズ)

住所
〒135-0023 東京都江東区平野1-13-8
電話番号
03-3643-3601
営業時間
10:00~18:00
定休日
定休日 月曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/mny09tg70000/
公式サイト
http://arisecoffee.jp/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

林さんが“日本のポートランド”ではなく「東洋のヴェネツィア!」と呼ぶように、バレンタインはコーヒーとゆかり深い運河の姿を眺めながら、清澄白河を探索してみるのはいかがだろうか? 春には、水面にこぼれ落ちそうなほど、枝を垂らして花びらを降りまく、桜の姿も圧巻だそうだ。

※文中の価格はすべて税込み

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