日本酒だけをたっぷり使った「日本酒しゃぶしゃぶ」で麹豚を味わう! 老舗蔵元が銀座に開いた『悠久乃蔵』

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日本酒だけをたっぷり使った「日本酒しゃぶしゃぶ」で麹豚を味わう! 老舗蔵元が銀座に開いた『悠久乃蔵』
Summary
1.7月銀座にオープン!創業300年を超える日本酒の9蔵元による共同経営
2.酒や麹、酒粕などを蔵元ならではのアプローチでうまみの強い料理に昇華させる
3.昼は『糀カフェ』、夜は『麹料理と日本酒しゃぶしゃぶ専門店』という2つの顔

「私たちは蔵元です。ただの飲食店で終わるつもりはありません」。こう話し、支配人・野里元宏氏が静かに一升瓶を傾ける。トク、トク、トク……小気味いいリズムを刻みながら鍋底が酒で満たされていくさまにゴクリ、喉が鳴る。
2016年7月1日(金)、ハイブランドが建ち並ぶ銀座6丁目、並木通りの中ほどにオープンした『悠久乃蔵』。福井の源平酒造や岐阜の平瀬酒造、京都の増田徳兵商店など、創業300年超の歴史を誇る9つの蔵元の共同出資により生まれた。

店内は黒を基調に、漆喰風の壁やあえて古びたテイストに仕上げたテーブルなど、蔵をイメージ。昼夜で異なる業態をとり、昼は麹を使ったドリンクが中心の「糀(こうじ)カフェ」、夜は冒頭で触れた「日本酒しゃぶしゃぶ専門店」に変わる。ここでの楽しみは、蔵元直送の酒を「飲む」のみならず、酒造りに欠かせない麹や酒粕まであらゆるアプローチで「食せる」ところだ。

日本酒のうまみや麹を身体の中へ運ぶ、蔵元の知恵

夜の看板料理である「麹料理+100%日本酒しゃぶしゃぶ」。蔵元直送の酒がお客の目の前でなみなみと鍋へ注がれ、そのまま火入れへ。醤油やだしなどは一切加えない。これは、従来の酒鍋と大きく異なる点だ。聞けば、アルコール分を完全に飛ばした後に残る豊富なアミノ酸を堪能してもらうためだという。これで準備は整った。クツクツと沸く酒の中で、麹を飼料に混ぜた柔らかな「銀座蔵麹豚」を泳がせる。
味の輪郭となるのは、酒の酸。そこに野菜や豚肉などあらゆる食材のだしが重なっていくものだから、〆の釜炊きご飯が登場するころには、鍋の中ではうまみが凝縮しているという算段だ。なお、酒の銘柄はおまかせで、客は本醸造/純米酒/純米大吟醸の3タイプから選ぶことができる。

しゃぶしゃぶはコース仕立てで、見事なほどにすべてが麹や酒粕というテーマに基づく。前菜一つとっても、この日は酒粕と和えたワサビ漬けをサーモンで巻いたものや、酒粕の力ですっかり繊維が柔らかくなった冷製鶏肉、甘酒とカボチャの甘みをダイレクトに感じるスープ、といった具合。果てはしゃぶしゃぶ用のつけダレ2種やドレッシングにまで米麹を使うなど、とにかく抜かりがない

うまい酒は上質な酒粕を生む。そのことを実感できるのが、甘酒と豆乳を凍らせた氷に、とろとろの麹ミルクをかける「糀かき氷」だ。ノンシュガーだからこそ、穏やかな甘みが身体の深部へ届く。そのほか、「糀ラテ」や「糀スムージー」など、酒を知り尽くす蔵元ならではの着想が、私たちをその深淵に誘う。

店頭では、源平酒造の「源平」の純米大吟醸を練り込んだ生クリーム不使用の「蔵元ショコラ」や、「酒粕チーズケーキ」などスイーツ販売も行っており、今後はECサイトも展開予定とのこと。「ここから発信していきたい」と話す野里氏の目はすでに海外を向いている。銀座の一等地を選んだのも、海外での日本酒の評価が高まる今、外国人観光客への発信効果を狙ってのことだ。

蔵の垣根を越えてこそできることがある

創業300年以上の蔵元たちが協力し、実店舗を持つという業界初の試み。発起人である源平酒造は、創業1673年と地元・福井を代表する老舗蔵元の一つで、現社長の萩原敦士氏は13年間、通信系事業の立案やM&Aなどマーケティングの最前線を走ってきたビジネスマンだ。退社後、第一次産業でのブランド開発などを経て、2012年に源平酒造の代表に就任した。
転機が訪れたのは翌年、香港で行われたパーティでのこと。同社の酒「源平」を提供したところ、味はさることながら創業300年超という歴史に対しても海外VIPたちから支持を集めたのだ。この体験が『悠久乃蔵』構想のきっかけとなる。次々と特定の銘柄が注目されては飽きられる、これまでの一過性のブームではなく、自分たちと同じ創業300年以上の蔵元たちと新たな仕掛けで業界を盛り上げられないだろうか――。
「蔵元はこれまで買い叩かれてきた。造り手にしっかり利益を生み、新たなシステムで世界へ発信するための拠点を」。全国の蔵元に足を運び、信念を伝え続けた。そうしてがむしゃらに走り続けること3年、ようやく9つの蔵元の賛同を得て『悠久乃蔵』オープンにこぎつけた。

伝統は一周まわってネオになる。老舗の集結は、私たちの祖先が呑み繋いできた日本酒や、麹という食文化にまだ底知れぬ余白があることを予感させる。業界に吹き込んだ新風の行方に注目だ。

<メニュー>
日本酒しゃぶしゃぶ 3,900円~、麹アラカルト各メニュー1,200円~、肴(あて)各蔵元お勧め 1,0種類500円~、お刺身 麹醤油仕立て・三種盛り(2人前)2,980円~、吟醸酒粕カレー(ランチ) 1000円、特製日本酒しゃぶしゃぶ定食(ランチ) 1,800円
糀かき氷 1,000円、蔵元ショコラ 450円(1粒)
源平 本醸造 750円~

※価格はすべて税込

<取扱蔵元>
岐阜県・高山市  平瀬酒造(創業1623年)「久寿玉」
京都府・伏見区 増田徳兵衛商店(創業1675年)「月の桂」
新潟県・魚沼市  玉川酒造(創業1673年)
鳥取県・米子市  稲田本店(創業1673年)
福井県・南条郡  白駒酒造(創業1697年)
愛媛県・内子町  千代の亀酒造(創業1716年)
福岡県・筑紫野市  大賀酒造(創業1673年)
福井県・大野市  源平酒造(創業1673年)
福井県・福井市 室次醸造場(創業1573年)

悠久乃蔵

住所
〒104-0061 東京都中央区銀座6-7-18 デイム銀座2F
電話番号
03-6264-5752
営業時間
月~金『糀カフェ』11:30~16:30/『麹料理と日本酒しゃぶしゃぶ専門店』17:30~23:00、土・日・祝11:00~21:00
定休日
定休日 無休
公式サイト
http://yukyunokura.jp/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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杉本佳子
ファッションジャーナリスト兼美容食研究家