ニューヨークでフレンチでシーフードの名店といえば、『Le Bernadine(ル・ベルナルダン)』だろう。
私が初めて『Le Bernadine』でディナーをしたのは、かれこれ20年前になる。ニューヨーク店のオープンは1986年だから、今年は30周年だ。
競争の激しいニューヨークで30年も生き残っていること自体感嘆すべきことだが、最近訪れてみて、改めて料理の美味しさ、プレゼンテーションの美しさ、そして高級レストランならではのサービスと、3拍子揃った健在ぶりを実感した。
ミッドタウンにあるその外観は、あまり目立たない。中に入ると大人のための落ち着いたラグジュリアスな空間が広がる。
食事をしているお客たちは、いかにも富裕層という感じの人たちばかり。女性客の椅子の横には、ハンドバッグを置くための小さなスツールが運ばれてくる。
創業者はMaguy Le CozeとGilbert Le Coze。シーフードに特化したレストランになったのは、彼らが漁師の祖父をもち、フランスの漁村で生まれ育ったことに起因しているのだろう。パリに最初の『Le Bernadine』がオープンしたのは1972年だ。
現在のシェフEric Ripertもフランス生まれで、17歳でパリの『La Tour D’Argent(ラ・トゥール・ダルジャン)』で料理をするなど、若い時から頭角を現していた。
1991年にニューヨークにやってきたEric は『Bouley(ブーレイ)』のスーシェフをしていたときに『Le Bernadine』に引き抜かれる。1994年この店のシェフをしていたGilbertが急死して以来、そのキッチンを率いてきたEric。2009年から自分のテレビ番組Avec Ericも持ち、今や大人気のセレブシェフだ。
Ericは「我々は“魚が皿の上のスター”をマントラ(≒意識)としている。だから、魚をより高い存在に引き上げるためなら、どんな調味料やテクニックも使う」と語る。
かつて働いていたレストランでも、いつも最終的には魚の係になっていたというEric。魚が好きで、だからこそ『Le Bernadine』に来たという。そして、デリケートな魚をそっと扱うのが好きなのだそうだ。
従って『Le Bernadine』のメニューは「ほとんど生」「ほとんど触っていない」「軽く調理した」の3つのカテゴリーに分けられる。メニューは随時変わるが、ツナのカルパッチョは人気の高い定番だ。
その他に人気が高い食材はラングスティーヌ、アンコウ、オヒョウ、シマスズキ、サーモン。鮮度を優先することは勿論、海の将来に責任感をもっている仕入先から買っているという。
『Le Bernadine』では、たとえおなかがいっぱいでも必ずトライしてほしいのがデザートだ。本当に独創的で美味しいのである。
予約は電話のみで、毎月1日に翌月の分を受け付け始める。つまり、11月1日になったら12月の予約を入れられるということだ。ラウンジは飛び込みのお客専用で、メインダイニングルームで食べられるものに加えて、量の少ないアラカルトも選べる。
<メニュー>
メインダイニング:ランチ87ドル、ディナー150ドル、シェフのおまかせ220ドル(ワインペアリングの場合360ドル)
ラウンジ:プリフィクス55ドル
Le Bernadine(ル・ベルナルダン)
- 電話番号
- 212 554 1515
- 営業時間
- ランチ(月~金)12:00~14:30、ディナー(月~木)17:15~22:30、(金・土)17:15~23:00
- 定休日
- 定休日 日曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。