ウニ・イクラ・マグロを市場価格で大盤振る舞い! 大阪最高峰の立ち飲み『とよ』は2時間でも並ぶ価値あり

2017年02月24日
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ウニ・イクラ・マグロを市場価格で大盤振る舞い! 大阪最高峰の立ち飲み『とよ』は2時間でも並ぶ価値あり
Summary
1.安ウマ王国・大阪で「いいネタを山盛り!しかも安い」と評判の立ち呑み
2.店主は魚店や居酒屋、市場で確かな包丁技術を磨いた“名物大将”
3.「おかえりなさい」と常連客に呼びかける、温かい接客も行列の理由

大阪・京橋の歓楽街から少し外れた路方にある、ほぼ屋台のような建物。この日は寒さ厳しい2月で、ストーブはあるものの、冷たい北風が頬に当たり、手足はだんだんとかじかんでくる。決して「心地いい」とは言い難いこの環境で、15時半の開店から、30分もたたずに大盛況。気候のいい時期なら、開店時間にはすでに30人を超える行列という繁盛店こそ、“大阪最高峰の立ち呑み”の呼び声高い『居酒屋 とよ』だ

「安うまグルメ」がひしめく大阪にあって、そのネタの鮮度、盛りの良さが常に注目を集め、数々のメディアにも登場。はるか遠方はもちろん、最近は海外から訪れる人も多いという。

“名物大将”の熟練の包丁さばきがピカイチ!

その『居酒屋 とよ』に欠かせない、愛すべき“大将”がこの人(写真)。店主の筑元豊次(ちくもととよじ)さん、64歳だ。お客の会話や箸の進み具合に常に気を配り、ジョークで笑わせ、場を盛り上げながらも、その包丁さばきは正確無比。「お客さんが安心できるように」と、オープンな調理場で繰り広げられる技に、思わず箸を止めて見入ってしまう人も多い。

筑元さんは、喜界島からの集団就職で、わずか15歳の時に大阪へ。最初はラジオの組み立てを仕事にしながら、夜は叔母の経営する居酒屋で皿洗いをしていた。その後プラスチックの成形工を経て再び店長候補として別の居酒屋へ。さらに鮮魚店、居酒屋、市場などを転々とする中で、持ち前の負けん気を発揮し、魚の目利きや保存方法、包丁技術などを身につけていった。「誰も教えてくれないから、とにかく先輩を観察して、あとはお客さんとして来店するプロ達に教えを請いました。知らないことは何でも周りに聞いていましたね。とにかく先輩に負けじという気概と向上心の塊で、18歳でフグ免許も取ったんです」と笑顔で振り返る。

ウニ・イクラ・マグロの“ドカ盛り”の魚介は鮮度も抜群!

そんな話に引き込まれていると、ドーンと目の前に到着したのは、大将イチオシの「赤身一人前セット」(2,400円)に「トロ」(1,050円)を追加したもの。インドマグロの上質なものだけを厳選する中トロに、大きくカットされた赤身。さらに手巻きのシャリの上には、こぼれんばかりのウニとイクラが乗った大盤振る舞いの一品だ。写真では伝わりにくいが、一人前と言わず、三人でつついても十分なボリューム。この盛りと価格の理由はひとえに大将の「おいしいものを市場価格でお腹いっぱい食べてもらいたい」という想いからだとか……。味わえば、トロはまさにとろけんばかりの口溶けで、赤身はモチモチでうまみがしっかり。イクラはプチプチと弾け、ウニはとろんと濃厚……。いずれもひと口で、そのクオリティの高さが伝わってくる。

こちらの刺身と寿司に合わせたいのが、店オリジナルの黒糖焼酎、その名も「京橋とよ」だ。辛口だがほのかな甘みが感じられ、新鮮な魚介の風味を引き立ててくれる一杯は、冬場ならやっぱりお湯割りで味わいたいところ。ほか、水割り、ロックでも手軽に楽しめる。1本1,600円でボトル注文も可能、さらに1,300円でテイクアウトも可能だ。

次に登場した皿は、先ほどの「赤身一人前セット」に含まれるという、「貝とカニの酢の物」。ボイルしたホタテとカニに青ネギを付け合わせて、ポン酢をかけるごくシンプルなメニュー。だがそのシンプルさとは裏腹に、酸味控えめのポン酢がカニとホタテのうまみを引き立て、ついもうひと口と箸が止まらなくなる。

パフォーマンスも圧巻の名物料理の数々

ここまでで十分お腹がいっぱいになるところだが、もう一つ、この店でぜひ味わってほしい名物メニューがこちら、「マグロホホ肉あぶり」(600円)だ。その名の通りマグロのほほ肉や、スジの多い部位を、大将が豪快に手掴みしながらバーナーで炙るというパフォーマンスが圧巻。バーナーで炙ることにより脂が溶けだし、筋が柔らかくなったマグロはいっそうそのうまみを増す。また、立ち上る香ばしい香りが、満腹のはずの胃袋を刺激してくれる。前述の酢の物にも使われたものと同じポン酢で、脂が気にならずさっぱりと味わえるのもうれしい。

〆は、これもまたインパクトたっぷりの「トロ鉄火」(600円)。シャリとの比率(1対1!?)に驚くカットで入っているインドマグロの中トロ(本日は脳天/日による)は、もっちりとしていて食べ応え満点。仕入れは毎日早朝、筑元さん自身が大阪中央卸売市場に通っているそうだが、だとしても、いずれのメニューもつい原価が心配になってしまう鮮度とコストパフォーマンスである。思い切ってうかがってみると、安価の秘密は大家さんのご厚意による家賃の安さと、立ち吞みという回転率の高さにあるのだとか。

スタッフは誰もが元気よく声をはりあげ、常連客には「お帰りなさい」、初めてのお客にも「いらっしゃい」と声をかける。名物大将と店長の長島資(たかし)さんによる軽妙なトークも途切れることはなく、いつも笑い声が響く。そう、今日も『酒屋 とよ』には、温かくおいしい春風が吹いているのだ。

(取材・文/笹間聖子・撮影/合田慎二)
【メニュー】
赤身一人前セット(赤身刺身、イクラ軍艦、ウニ軍艦、貝とカニの酢の物) 2,400円
トロ一人前 1,050円
マグロホホ肉あぶり 600円
トロ鉄火 600円
ひらめ造り 900円(造りの内容は日替り)
かつおたたき 600円
うなぎ蒲焼き 一人前900円 半分450円
※価格は税抜

居酒屋 とよ

住所
〒534-0024 大阪府大阪市都島区東野田町3-2-26
電話番号
06-6882-5768
営業時間
火・水・金曜 15:30~21:00、土曜 14:30~20:00
定休日
日・月・木・祝

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。