一人でも大勢でも! 世界一周した夫婦が手がける、世界のビール70種と各国の料理が楽しめる『ヒチカケ』

2017年03月01日
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一人でも大勢でも! 世界一周した夫婦が手がける、世界のビール70種と各国の料理が楽しめる『ヒチカケ』
Summary
1.御徒町発! プチ世界旅行気分を味わえる『Hitch×kakeruヒチカケ』
2.オーナー夫婦が世界47ヵ国を旅して出逢った絶品ローカルグルメと70種類以上のビールがウリ
3.グルメ、ビール、旅行好きの人が集まる! 一人でも大勢でも楽しめるハッピーな店

「世界一周した夫婦の世界のビール×世界の料理

この一文だけで、腹の底から興味と食欲が沸き上がってくる。何でも、道中で出逢った各国のビールと郷土・家庭料理が現地オリジナルの味付けで、さらにその家庭に伝わる秘伝のレシピで作られるという。

御徒町駅から徒歩30秒ほど、雑居ビルの2階に『Hitch×kakeruヒチカケ』はある。食事もビールも楽しめる英国のパブや、トルコのロカンタ(大衆食堂の意味)のようなお店である。店内は、「どこかの国の街角にありそうな店」をコンセプトに、セルフビルドのカラフルな家具をそろえ、カウンターには旅のお土産が並ぶ。

オーナーの大田剛史(おたけ)さんと敬子(kei)さんご夫婦は、1年4ヵ月の世界のグルメ&ビールの旅を経て、秋葉原の昭和通りに『ヒチカケ』をオープン。約2年営業したのち現在の御徒町の店舗へと移転した。

おたけさんは福岡のカフェで飲食を学んだ後、上京後は別の仕事をしていたが、30歳の時に「やっぱりお店をやりたい」と再び飲食業に携わることに。渋谷のビアバーで修業&資金を貯めて、夢であった飲食店の開業と、世界一周グルメ×ビールの旅の準備を始めた。

keiさんは、元々モデル事務所の経営者だった。料理好きが高じて、阿佐ヶ谷にある日替わりで店長と業態が変わる店に、週に一度店長として働いたのがきっかけで飲食の道へ。違う曜日におたけさんも加わり、おたけさんは『ヒッチ』、keiさんは『カケル』という店を運営していた。

世界旅行ではヨーロッパ、中東、アジア、南米とのべ47カ国を巡った。特に実際に旅行をして印象がガラリと変わったのは、中東と南米だったそうだ。イラン、ヨルダン、レバノン、イスラエル、エジプトなど、現地の家庭にホームステイし、家庭料理や郷土料理を学んだと言う。

「『カウチサーフィン』というコミュニケーションツールを使用して、料理を教えてほしいと募集をかけたら、中東では30件以上問い合わせがありました。イスラム教の教えには、『旅人に親切にする』ともあり、道行く人が『ようこそ』と挨拶をしてくれたのが印象的でした。レシピを教えてくれたホストファミリーも、ボディランゲージを駆使して外国人の私にもわかりやすく説明してくれました」とkeiさん。目的はグルメではあったが、旅行の醍醐味である、人との繋がり、異文化を受け入れ合うという心の交流も、大田さん夫妻の大きな財産となった。

エジプト版「牛丼」! 炭水化物祭りの「キング オブ コシャリ」は酒のつまみにもシメにもぴったり

そんな思い出いっぱいの中東・エジプトで学んだ「キング オブ コシャリ」は、現地では日本の牛丼のような国民食だ。ご飯の上にマカロニ、豆、トマトソース、鶏レバー、フライドオニオンという、炭水化物オン炭水化物の丼ものだ。ヘビーな見た目に反して、実はとってもあっさりしていて軽い。意外なことに、ご飯とマカロニの組み合わせが、スパイスと酸味のきいたトマトソースによって、違和感なくマッチする。

料理は、日本人向けに食べやすくアレンジするのではなく、現地の味をそのまま届けたいと言うのが大田さんらの願うところ。スパイスや調味料は現地と同じものを使い、現地でしか手に入らないものは、旅に出かけるお客さんたちに頼むことも。「世界中に‟専属バイヤー“がいる」とkeiさんは、はにかむ。

もっちりした太麺にココナツベースのカレーがとろり! 「チェンマイのカオソイ」

日本のタイ料理屋でもよく見られるカオソイも、スパイスがキリっときいた本場の味を味わえる。「チェンマイのカオソイ」は、もっちりした太麺にココナツベースのカレーがとろりと絡む。

スライスされた紫玉ねぎと共に口に運んだり、横に添えられたライムと高菜(現地では高菜に似た野菜が添えられる)で味を変えたり、3種類の薬味でいただくのが本場の食べ方だ。

甘辛なBBQソースが後を引くおいしさ! イギリス版肉じゃが「シェパーズパイ」

「シェパーズパイ」は、甘辛なBBQソースで味付けされた牛ミンチにチーズ、マッシュポテトが層になっている。

スプーンで底からすくい上げると、肉汁とマッシュポテトが混ざり合い、さらにトロトロに。バゲットに乗せれば、最高のビールのお供に。

夜な夜な、美味しい料理とビールを求めて、様々なお客さんが訪れる。おたけさんとkeiさんを囲んで、色んなトークが交差し、国籍も趣味もみんなバラバラなのに、それらがフュージョンし合うと、ビックバンのごとく大きな笑いが起こる。日本一ハッピーなお店と言っても過言ではない。

フランボワーズにココナツのフレイバー!? お気に入りのビールが絶対に見つかる

ビールはサーバーが4基あり、瓶は約70種類を用意している。レギュラービール以外の季節や限定ものなどは、1度しか仕入れないこともあるので、まさに一期一会の出逢いがある。マニアックなラインナップで、元々ビール好きだった人だけでなく、ビールとは縁遠かったという人も必ずハマる1本が見つかるはずだ。

世界のブリュワーとの交流も深い。ウェールズにあるタイニー・レベルのブリュワーが来日の際に同店に足を運んだり、スウェーデン×オーストリアのフライング・ブルワリーのプロペラ型サーバーを、日本の飲食店で唯一、特別に設置してもらったりしている

そんな同店がおすすめする樽生3種類を紹介したい。左から、「ブルームーン・ブリュ―イング ブルームーン」は、ベルジャンスタイルのホワイトエールで、バレンシアオレンジのピールがさわやかな苦みを加える。「エリシアン スペースダストIPAは、ガツンとした苦みの後に、柑橘系の甘みが広がる重厚な一杯。アールグレイの茶葉を使い、シトラス香る「城瑞麦酒 アールグレイ」は、ホップやアルコールの刺激が抑えめで、とてもまろやかな口当たり。スパークリングワインのように軽くてすっきりしているので、女性に大変人気がある。

そして、旅の思い出が詰まった世界の瓶ビールも見逃せない。今回は8本を選んでいただいた。左から4本がベルギーやドイツで作られたフレイバービールだ。ベルギー産「リンデマンス・フランボワーズ」、同じく「リンデマンス ペシェリーゼ」、ドイツ産「シェッファーホッファー グレープフルーツ」、ベルギー産「モンゴゾ ココナツ」。珍しいフレイバーのビールが揃い、特に女性に絶大な人気を誇っている。

後半4本は、ウェールズ産「タイニー・レベル ハドーケン」、オーストリア産「フライングブルワリー アビエイターエール」ベルギー産「ブルッグス ゾット」、アメリカ・カリフォルニアの「ストーン ルイネーション ダブルIPA2.0」。ラベルのユニークさが目を引くが、どのブリュワーも実力と個性を兼ね備え、現地で愛される一本だ。

「店名の『カケル』というのは『×』を指していて、人と人、人と食べ物、人とお酒といろんなものを掛け合わせて、世界が広がることを楽しんでもらえたら良いなという願いを込めています」とkeiさん。同店がプロデュ―スする世界のビール×世界の料理は、いつも誰かの故郷を思い出させる。

帰り際に、ちなみに何屋と紹介すれば良いか伺うと、「うーん。うちって、何屋だろうね」とひと笑い。ジャンルを括らないからこそ、色んな人が集まり、新しい出会いが生まれ、日常を忘れられるほど笑い合える。世界のビールに、おいしい料理、そして陽気な人たち、これ以上何も必要ない。人との出会いと食べること、飲むことの醍醐味が凝縮された一軒だった。

(取材・文/カメイアコ)

【メニュー】
ブルームーン:ハーフパイント600円/1パイント900円
エリシアンブルーイング スペースダストIPA:ハーフパイント700円/1パイント1,100円
城端麦酒 アールグレイ:ハーフパイント700円/1パイント1,000円


チェンマイのカオソイ900円
キング オブ コシャリ900円
シェパーズパイ1,000円

※価格すべて税込
※ビールの生樽とメニューは日替わり。その日のメニューはFacebookでチェックできます。

Hitch×kakeru ヒチカケ

住所
〒110-0005 東京都台東区上野6-2-2ライフビル2F
電話番号
070-1305-1254
営業時間
18:00~23:30(L.O.23:00) 定休日 月曜日
公式サイト
https://www.facebook.com/hitchxkakeru

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。