麺のウマさに舌鼓! 傑作の手打ち麺を「懐石」スタイルで堪能しよう。名店が待望の復活

2017年10月25日
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麺のウマさに舌鼓! 傑作の手打ち麺を「懐石」スタイルで堪能しよう。名店が待望の復活
Summary
1.ラーメンから“小麦そば”というジャンルを確立した名店『季織亭』が代々木八幡に復活オープン
2.小麦そば3種と前菜、飯物、デザートから成る「小麦そば懐石」というスタイル
3.手打ち麺はもちろん、食材から調味料までとことんこだわる

全粒粉を使った手打ちラーメンの先駆的店が復活

手打ち小麦そばの名店『季織亭』(元・経堂)が、施設の老朽化によって惜しまれつつも閉店。しかし3年のブランクを経て、クラウドファンディング「"季織亭"復活プロジェクト」で支援者を募り、2017年3月19日に見事再オープンを果たした。

新店は、代々木八幡駅から徒歩5分ほどの閑静な住宅街にある。古民家を改装した店内は、しっぽり飲み食いするのに適した居心地の良い空間。予約制ではないが、貸切営業も行うため来訪の際は電話確認が確実だ。

最初は仕出し弁当店からスタートした『季織亭』。店主の川名秀則さんが、宮崎県で白濁していないとんこつラーメンを食べ感動したことがきっかけで、23年前に手打ちラーメンの提供を始めた。その10年後に、ラーメンから“小麦そば”というジャンルを確立。当時ほとんどのラーメンはワンコイン500円ほど出せば食べられたため、手打ち麺で素材にこだわっていたとしても1杯1,000円での提供は衝撃的だったという。そして今回、新店オープンとともに手打ち小麦そばを使った「懐石」を打ち出した。

『季織亭』に集まる食材は、一皿の料理になるまでに何十もの人たちが携わり、愛情と手間を惜しまず、大切に育まれた食材ばかり。『ぶぅふぅうぅ農園』(山梨)から放牧豚、『ぬい農園』(栃木)など有機栽培にこだわる農園から仕入れ、創業1875年から伝統的な木桶醸造を守る『カネモリ醤油』を使うなど、調味料も自然な製法で作られたものをそろえている。

こだわりの小麦そばを「懐石」に仕立てる

看板メニューの「手打ち小麦そば懐石」は、茶事でいただくそば懐石をオマージュし、3種類の小麦そばに、前菜、飯物、デザートで構成される。

「四季を感じられる前菜盛り合わせ」(写真上)は、和酒を片手に楽しみたい。日により9~12種類が盛られる前菜で胃袋を温めたら、お待ちかねの小麦そばがお目見え。

小麦の味をダイレクトに感じられる「小麦そば つけ」(写真上)。秋田県産無農薬栽培の「白神こむぎ」の全粒粉50%を混ぜた中太麺で、ひとくちめは塩でいただく。そばとラーメンの中間といった食感で、つるっとした喉ごしもありながら、噛むほどに味わい深くコシのある麺だ。ふたくちめ以降は、カツオと昆布を惜しみなく使った特製のつけ汁に泳がせて。木桶醤油特有の麹の酸味と華やかな香りが小麦の芳醇さと見事に合う。

半熟トロトロの煮卵がのった「黒米卵ごはん」は、口の中に幸せが広がるうまさ

コースの中盤に出される「黒米卵ごはん」(写真上)は、半熟卵の視覚的な誘惑が、自然と箸を向けさせる一皿。茨城県の平飼い有精卵を使用し、通常の卵よりもひと回りほど大きく、黄身もまったりと濃厚だ。箸休めのぬか漬けも、オーガニックの野菜やなかなかお目にかかれないこんにゃくが丁寧に仕込まれ、それぞれが塩梅良く漬っている。

小麦そば2品目は変わりそばで、この日は「季織風汁なし担々麺」(写真上)。「小麦そば つけ」と同様の配合だが、細麺仕立てにしたことで、より鼻を抜ける香りと喉ごしが増している。コショウに似たスパイス「ヒハツ」など13種類の漢方を使用した自家製ラー油に、甘めに仕立てたゴマだれが相性抜群。小麦そばの多様な表現を楽しめる一杯だ。

キジと豚でとったうまみ凝縮スープは、飲み干さずにはいられない!

小麦そばラストは温かい「醤油小麦そば」(写真上)。こちらは秋田県産「春息吹」を使用したもっちり麺に、放牧豚の豚骨と宮崎県から仕入れる雉(キジ)のガラで取った贅沢なダブルスープで。大ぶりな放牧豚チャーシューもほろりと柔らかく煮込まれ、それでいて弾力のある肉質に、思わずうっとりしてしまう。

「とんこつスープを煮る匂いがご近所に迷惑になるかと心配したけど、この放牧豚は全く匂いが出ないんですよ」と川名さんのお墨付き。溶け出した豚特有の甘い脂と、雉ガラのクセのない濃密なうまみは、身体が求める一杯だ。

平たく伸ばした小麦そばを浮かべた、「ココナツのおしるこ」(写真上)。栄養価の高いチアシード入りで、プルプルの食感が良いアクセントに。裏千家で茶道を修めた奥様の淹れるお茶とともに食後の余韻に浸ろう。

ラーメンという料理の可能性を広げたい

「今後の目標は、手打ち小麦そばを出すお店が増えていくことです。そして、そばと同様に認知されたいですね。1杯300円の立ち食いそばもあれば、手打ちそばのように1,000円を超えるものもある。ラーメンもこうした表現ができるということを知ってもらえれば、ひとつの料理としてもっと可能性が広がると思います」(川名さん)

料理には様々な表現があるが、『季織亭』の小麦そばは「おいしいとは何か」という根本的なことを教えてくれる。真心溢れるサービスも魅力な『季織亭』は、都会で暮らす大人たちのための止まり木になるだろう。

【メニュー】
手打ち小麦そば懐石 3,800円
<単品>
小麦そば つけ 1,300円
小麦そば 塩 1,300円
小麦そば 醤油 1,300円
小麦そば 変わりそば 1,500円
※価格はすべて税抜

季織亭(きおりてい)

住所
〒151-0064東京都渋谷区上原1-42-4
電話番号
03-6323-0038
営業時間
11:30~14:00 17:00~22:00
定休日
木曜日、不定休
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/rs0gswsb0000/
公式サイト
https://www.facebook.com/kioritei/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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