1日3組だけ!日本料理の名店『うち山』から唯一、暖簾分けを許された、奇才料理人の驚くべき新日本料理

2017年12月07日
カテゴリ
トレンド
  • 銀座
  • 和食
  • 隠れ家
  • 東銀座
  • 日本料理
1日3組だけ!日本料理の名店『うち山』から唯一、暖簾分けを許された、奇才料理人の驚くべき新日本料理
Summary
1.前身は「焼きごま豆腐」や「鯛茶漬け」で知られる銀座『徳うち山』
2.1日3組のみが体験できる五感をくすぐる、料理人・工藤淳也さんの新・日本料理とは?
3.人生を変えた名店『銀座うち山』の師匠との出逢いが自身を変えた!これから大注目の日本料理店

歌舞伎座のお膝元に新星・日本料理店が現る

東銀座駅前にそびえ立つ歌舞伎座は1年中、賑わいが絶えない。真向かいの路地を奥へと進むと、銀座で名を馳せる有名料理店が軒を連ねる。その一角、まだテナント募集の旗が立つ真新しいビルの第1号店として『銀座くどう』は生まれた。

前身はあの有名な銀座『徳うち山』。名物料理「焼きごま豆腐」や「鯛茶漬け」を先駆けた星付きの名店『銀座うち山』から唯一、暖簾分けを許された日本料理店だ。

「『徳うち山』が7年目を迎えたこの夏、ビルの老朽化によるメンテナンスのため休店を余儀なくされました。そこで、ずっと構想していた自分らしい日本料理店の実現に向けて、休店を機に移転することを決めました」と語るのは、『銀座くどう』の店主・工藤淳也さん。

30代という若さで日本料理の名店の味を継承し、銀座という一等地に店を構える店主とは、さぞかし気難しい職人肌の堅物かと思ったら、気取らず優しい口調でお客をもてなす。スマートな印象のその姿は和食界のプリンスのよう。

店内は、厨房がチラリと見えるテーブル席に加えて、個室が2部屋。カウンターを基調とした前店とは違って、お客同士が顔を合わさずにゆったりと過ごせるレイアウトになっている。

すでに老舗の風格が漂い、高級旅館に来たような贅沢な設えながら、居心地がよく癒される。

そんな『銀座くどう』は基本1日3組、2名の利用があった場合のみ4組で営業するというスタイルをとる。

名物料理を封印して臨む夜の「懐石コース」

献立は、先付け、揚げ物、お凌ぎにはじまりデザートまで全11品。そこには前店で愛され続けてきた「焼きごま豆腐」や「鯛茶漬け」が見当たらない。

リクエストがあれば……と工藤さんは言うが、『銀座くどう』でしか味わえない新たなスペシャリテを探ってみたくなる。

「お椀」の蓋を開けると、白雲のような湯気の奥から龍が浮かび上がる。神秘的な情景に続いて松茸の芳醇な香りがやってくる。金彩・銀彩があしらわれた立派な龍の器は、工藤さんがデザインを考案したものだ。

岩手県岩泉産の松茸に、柔らかなホタテがそっと寄り添う。北海道産の真昆布をベースに1時間ほどかけてだしをひき、枕崎産のカツオ節とメジマグロの節でコクを足すのが工藤流。優しいだしにじんわりと松茸の香りが染み込んでいく。うまみのハーモニーが絶頂を迎える最後の一滴まで、啜りたくなる。

この日の「造り」は青森県三沢産のヒラメ。ひと口噛めば、その歯ごたえに驚かされる。厚い身から溢れる甘みとうまみが、一瞬にして淡白な印象を払拭してしまう。

メインの肉料理は「和牛サーロインの椎茸あんかけ」。「肉と米は、私の出身地、山形県のものを使用しています」と工藤さん。

知人から取り寄せた山形牛サーロインのきめ細やかな脂が、舌と餡の温もりで甘く溶けていく。椎茸のうまみにほのかに潜む酸味が、濃厚な肉の後味をそっとさらう。あっさりと食せるよう塩梅は完ぺきにコントロールされていた。

リクエストの声続出! 高級和食店らしからぬ〆のデザート

「今、デザートのチョコレートを仕込んでいました」と厨房から微笑む工藤さんは、時にパティシエと化す。水菓子じゃおもしろくない……と前店のオープン時から供する「プリン」は、お客からのリクエストの絶えない陰のスペシャリテ。

配合とパッケージが新しくなった『銀座くどう』バージョンは、常連客も思わずほっこりするユーモアたっぷりなデザートに生まれ変わっていた。

紐をほどくなり「駄菓子屋っぽいでしょ?」と笑わせる工藤さん。プリンの蓋には、かわいいイラストになった自身の姿が描かれている。実はSNS受けを狙ったというお茶目な一面も、ファンの多い理由の一つだろう。

食べると、まず、そのなめらかさに感動する。濃厚な蜜をたっぷりまとったひとすくいのプリンは、喉をすり抜けて胃の中に落ちていく。

訊くと、材料は牛乳、生クリーム、黒糖のみ。卵は使わずゼラチンで固める。アレルギーを持つお客への配慮の末、“プリンという名のパンナコッタ”が誕生した。

『銀座くどう』のこれまでとこれから

都内で和食店を営む叔父の影響で、料理人を目指そうと思った工藤さん。上京後は、割烹『日本橋とよだ』で修業し、20歳でドイツのボンにある和食店へ渡った。帰国後、縁あって師匠となる内山英仁さんの『銀座うち山』で研鑽を積む。

「『徳うち山』を切り盛りする前、実は御徒町で一軒家イタリアンレストラン、それから湯島で小料理屋さんを営んでいました。まだ若かった当時の僕には、すごく楽しいひと時でしたが、あるとき『いつまで遊んでるんだ。日本料理の世界に戻っておいで』という内山さんの一言によって、暖簾分けまでしてもらって『徳うち山』を開業することとなったんです」と師匠への感謝の気持ちを語る工藤さん。

念願だった自身の名を掲げた和食店がどう展開していくのか期待が膨らむが、イタリアンやフレンチ、中華、カジュアルな和食店や肉割烹……と、ジャンルレスに店舗展開していきたいという大きな目標も抱いている。柔軟なアイディアで人気を誇る若き料理人の夢の行き先には、想像を超えた新しくて居心地の良い空間が広がっている。

(撮影/岡本寿)

【メニュー】
昼コース 8,000円、12,000円
※価格は税込
夜コース 22,000円
※価格は税別
※サービス料10%は別

銀座くどう

住所
〒104-0061 東京都中央区銀座5-14-14 サンリット銀座ビルⅢ 3F
電話番号
03-3545-1091
営業時間
12:00〜14:00、18:00〜22:00
定休日
日・祝
公式サイト
http://ginza-kudo.jp/index.html

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

関連記事

フレンチ界の偉才 渡辺雄一郎シェフが通う「看板のない酒場」

【腕利き料理人が通ううまい店】世の食いしん坊たちを魅了する腕利き料理人こそ、選ばれし生粋の食いしん坊。好奇心を刺激しに、疲れた身体を癒しに通う店には、間違いない味と心意気がある。料理人から料理人へ、バトンを受け継いでとっておきの一軒を追う。

須永久美
ライター