テンパリングなしでOK!電子レンジで簡単おいしい「クランチチョコ」の作り方【プロが教える本格レシピ】

【連載】洋菓子レシピは巷に溢れているが、ホンモノを知りたいなら専門家に聞くのがイチバン! レッスンは半年待ち、各メディアで大活躍中の洋菓子研究家・たけだかおる先生にdressing編集部が弟子入り。秘伝メソッドとこだわりレシピを大公開します!

Summary
1.人気洋菓子研究家が教える、ホンモノの洋菓子レシピ
2.食感が劇的に変わる! やみつきになる口当たりの秘訣は、素材選びにアリ!
3.やっかいなテンパリングをせずに、なめらかで艶のあるチョコレートに仕上げるコツとは?

洋菓子研究家が伝授! 最高においしい「クランチチョコ」の作り方

街中がチョコレートの甘い香りで包まれる、冬季のビッグイベント「バレンタイン」の季節がやってきました。大切なパートナーへの感謝の気持ちは、やっぱり手作りで伝えたいもの。できれば失敗せずに作りやすく、プロのようなおいしいスイーツをプレゼントしたいですね。そんな嬉しい願いを叶えてくれるチョコレートスイーツといえば「クランチチョコ」。

サクサクとした食感が楽しいチョコレートで、本命にはもちろん、一度にたくさん作れるから友チョコにもピッタリ。手作りすれば、好みのフレーバーや混ぜ込む材料を変えてさまざまなバリエーションにアレンジもできる、ひとくちサイズの万能スイーツです。

でも実は、少ない材料で作るシンプルなスイーツほど、ちょっとした手順の違いで大きく差が出てしまうもの。逆にいえば、プロが実践する調理のコツを知っているだけで、やみつきになるほどおいしいクランチチョコが作れるようになるのです!

ということで今回も、プロがオススメする「クランチチョコ」レシピを教わるべく、グルメライターの植木祐梨子(写真・左)が洋菓子研究家・たけだかおる先生(写真・右)主宰の予約がとれないお菓子教室に参加して、とっておきのレシピを教わってきました。

コツ満載の詳しい手順付きレシピがあれば大丈夫! バレンタインのギフトに誰もが喜ぶ「クランチチョコ」をマスターしましょう!

たけだ先生の“おいしさを追求したポイント”は3つ

1.材料選びに気をつけて、ワンランク上の食感に仕上げる!
2.チョコレートはやっかいなテンパリングをせずに電子レンジで溶かす!
3.成形するときは、とにかく手早く!

[Point1]材料選びに気をつけて、ワンランク上の食感に仕上げる!

●祐梨子
「先生! 材料を見て気になったのですが、先生のクランチチョコは、チョコレートに3種類の材料を混ぜるんですね」

●先生
「そうなんです。一般的なレシピは、コーンフレークを合わせて作ることが多いですね。
もちろんそれでもザクザク食感は味わえますが、わたしのレシピではより軽快な食感に仕上げるために、3つの材料を合わせます。フィヤンティーヌは聞き慣れない材料かもしれませんね、薄焼きにしたクレープ生地を細かく砕いたものです」

●祐梨子
「なるほど。口どけのなめらかなチョコレートに、芳ばしいナッツ、口当たりの軽やかなライスパフ、サクサクのフィヤンティーヌといった異なる材料を合わせるのですね。噛むごとに食感が変わって、より楽しく食べられそうです!」

●先生
「そういうこと! この3つを合わせるだけで、食感がグンとよくなるんです。
ちなみに、チョコレートの味がダイレクトに伝わるスイーツなので、できれば開封したての新鮮かつ、いつもよりワンランク上のチョコレートを使うのがオススメです。
もしもフィヤンティーヌが手に入れにくければ、ライスパフとアーモンドダイスだけでも十分おいしく仕上がりますよ♪ 」

[Point2]チョコレートはやっかいなテンパリングをせずに電子レンジで溶かす!

●先生
「それではチョコレートを溶かしていきましょう。
なめらかでツヤのあるチョコレートに仕上げるためには、湯煎にかけて温度を上げ、カカオバターに含まれる結晶を一度バラバラにしたあと温度を下げて再結晶化させ、さらに使いやすい温度に上げて調整するという“テンパリング”を行うのが一般的ですが、今回は電子レンジで溶かしていきます」

●祐梨子
「チョコレートを使ったスイーツには、やっかいなテンパリングで温度の調整がつきものだと思っていました。電子レンジで温めるだけなら、失敗せずに簡単に溶かせそうです!」

●先生
「ただし、守ってほしいことがあります。まず一つ目は“一気に温めすぎない”こと。
今回はチョコレートの量が少量のため、長い時間加熱してしまうとチョコレートが焦げたり、冷蔵庫で冷やさないと固まらなかったり、ツヤのない仕上がりになってしまうんです」

●祐梨子
「想像以上に繊細…。では、どのように温めたらよいのでしょう?」

●先生
「まず、500Wの電子レンジで30秒温めて、溶け具合をみます。次は20秒、10秒…というように回数ごとに温める時間を短くしていきましょう」

●祐梨子
「なるほど~。少しずつ温めれば、チョコレートを焦がす心配もなさそうです! ところで先生、ボウルに溶け残ったチョコレートの塊がありますが、もう少し温めなくてもよいのでしょうか?」

●先生
「よく気づきましたね! 二つ目に守ってほしいことは “溶かしすぎない”ことです。
溶け残りがあった場合は、ふたたび電子レンジにかけるのではなく、ゴムベラで少し混ぜてみましょう。余熱で溶けてくれますよ」

[Point3]成形するときは、とにかく手早く!

●先生
「チョコレートがきちんと溶けたところで、次は中に加える材料を合わせて成形していきます。艶やかでエアリーな食感に仕上げるため、“手早く”成形することが重要なポイント!今回はキレイな球形に仕上げるために、丸型の製氷皿(写真上)を使って成形していきます」

●祐梨子
「手早く成形することが、見た目や食感にどう影響するのでしょうか?」

●先生
「まず、私のレシピではよりエアリーな口当たりに仕上げるために、チョコレートをギリギリの分量しか加えていません。量が少ないと温度が変化しやすく、さらにやっかいなテンパリングをせずに電子レンジで溶かしているため、溶けたチョコレートがすぐに固まりはじめてしまうんです。この写真を見れば違いがわかるかしら?」

▲左:すぐに成形せず、時間をおいて形を整えたクランチチョコ、 右:すぐに成形したクランチチョコ

●祐梨子
「形が全然違う! 右はツヤッとキレイな球形に仕上がっているけれど、左は形がいびつです。それに、ツヤもありませんね。チョコレートの分量が多いと食感が固くなるとは知りませんでしたが、成形のタイミングひとつでこんなに見た目が変わるとはびっくり…!」

●先生
「そうなの。なめらかでサクサク食感に仕上げるためにも、チョコレートの分量だけを倍量にするのはやめましょうね。型が手持ちになければ、グラシン(小型カップ)に入れるだけでもかわいく仕上げられますよ♪」

■バリエーションの豊富さも魅力!

●先生
「クランチチョコは、合わせる材料を変えるだけでさまざまなバリエーションが楽しめるのが嬉しいところです♪
ベースのチョコレートをホワイトチョコやビター味にしたり、お好みでフリーズドライのフランボワーズなどを混ぜるだけで、違う味にアレンジできますよ」

●祐梨子
「わぁ〜、カラフルで一気に華やかになりますね♪ そしてとってもおいしそう!」

●先生
「今回は、ライスパフにアーモンドダイス、フィヤンティーヌを加えたミルク味と、ビター味、さらにフリーズドライのフランボワーズを加えたホワイトチョコレート味の3種類を用意しようと思います。風味や食感がどう変わるのか、実際に食べ比べてみましょう!」

●祐梨子
「材料やフレーバーの違いも試食で体験できるなんて、作るのが楽しみです!」

■おいしさを保つための正しいチョコレートの保存方法

●先生
「以前ガトーショコラレッスンの際にお伝えした、チョコレートの保存方法についておさらいしたいと思います」

●祐梨子
「冷蔵庫で保存するのではなく、直射日光の当たらない涼しいところで保存、が大切でしたね」

●先生
「そのとおり。乾燥しやすい冷蔵庫できちんと密閉せずに保存したチョコレートを溶かすと、水分が飛んでしまって、ドロっと粘り気のあるチョコレートになってしまうんです。また、他の食べ物の臭いが移ってしまう可能性もあります。これでは、風味もなめらかな口どけも損なわれてしまいます」

●祐梨子
「ということは、手作りしたクランチチョコの保存にも気をつけたほうがよいですね?」

●先生
密閉容器に入れて涼しい場所で保管すれば、1週間ほど日持ちするので、安心してギフトに使えますよ」

■ポイントを押さえたところで、さっそく実践!

●祐梨子
「材料の選び方や保存方法、チョコレートの溶かし方が、クランチチョコの仕上がりに大きく影響しているとは知りませんでした。
また、成形にかける時間ひとつで、見た目や口当たりが変わることにもびっくり。教わったコツさえ押さえておけば、とっても簡単に作れそう!」

●先生
「そうなんです。コツといっても、難しいテクニックはありません。
クランチチョコ作りは工程がとってもシンプル。だからこそ、一つひとつのポイントをおさらいしながら丁寧に作っていきましょう!」

●祐梨子
「わ〜とっても楽しみ♪ 先生、よろしくお願いします!」

■「クランチチョコ」の作り方

■クランチチョコ材料(直径3cm球型 9~10個分)

・チョコレート… 65g(今回はヴァローナ社「フェーブ ジヴァラ・ラクテ カカオ分40%」を使用)
・アーモンドダイス … 37g
・ライスパフ … 6g(今回は「ケロッグ ライスクリスピー」を使用)
・フィヤンティーヌ(または、ロイヤルティーヌ) … 14g
※アーモンドダイスは、できるだけ細かいタイプのものを使用。

■今回使用したキッチンツール

・丸型製氷皿(今回は「プチまる氷(10個)」を使用 (※)
・竹串(2本)
・輪ゴム(3~4本)
・ゴムベラ
・シリコンスプーン
・耐熱ボウル
・わら半紙 (わら半紙が推奨だが、ない場合はベーキングシートでもOK)

■下準備

・板チョコレートを使用する場合は、波刃包丁でチョコレートを細かく刻んでおく(今回は、刻まずにそのまま使えるタイプのチョコレートを使用)。

■チョコレート以外の材料を合わせる
① わら半紙の上にアーモンドダイスを広げて、150℃に余熱したオーブンに入れる。150℃で5分程度、ローストして冷ましておく。
(今回はガスオーブンを使用。電気オーブンの場合は、170℃~180℃で5分程度ローストする)
ポイント
・焼き色の目安は、うっすら色づく程度。
・ローストすることで、芳ばしさが引き立つ。
・余分な脂を吸ってくれるため、わら半紙を推奨。
② アーモンドダイスの粗熱が取れたら、ライスパフ、フィヤンティーヌを混ぜ合わせる。
■チョコレートを溶かす
③ 耐熱ボウルにチョコレートを入れ、まず、500Wの電子レンジで30秒温める。ボウルを取り出して、数回振る。
ポイント
・均等に熱が加わるよう、ボウルの縁を数回叩き、まだ溶けていないチョコレートを溶けやすい中央へ移動させる。
・チョコレートが焦げたり固まらなくなるのを防ぐため、まず30秒だけ電子レンジにかける。
④ 次に500Wの電子レンジで20秒温める。またボウルを取り出して、状態を見ながらゴムベラでしっかりと混ぜる。
ポイント
・温める時間を徐々に短くし、都度状態を確認しながら、繰り返し電子レンジにかける。
・混ぜる際は、チョコレートをゴムベラでボウルの底に押し付けるように潰しながら混ぜる。
⑤ 500Wの電子レンジで10秒温める。ボウルを取り出し、ゴムベラでチョコレートをなぞったときに線が残る程度の固さまでしっかりと混ぜる。
ポイント
・溶け残った小さなチョコレートの塊は、もうレンジにはかけずに、溶けたチョコレートの余熱で溶かす。
■合わせた材料をチョコレートに混ぜる
⑥ 溶け残りがないか確認したら⑤のボウルに②を入れて、潰さないよう軽くゴムベラですくうように均一に混ぜ合わせる。
ポイント
・チョコレートが少ないようにみえるが、これがエアリーな口当たりに仕上げるための最適な分量。
・チョコレートに合わせる材料のトータルグラム数は、合計で60g程度にする。
《味のバリエーション》
・フランボワーズ(5~6g程度)などを加えれば、異なるフレーバーにアレンジが可能。その際は、トータルグラム数が上記の合計を超えないように調整する。
■型に入れて、固める
⑦ シリコンスプーンで適量をすくい、上下用両方の型にすみやかに入れる。
●祐梨子
「型にきっちり入ってない~。隙間ができてしまって、キレイな球形に仕上がるか不安です…」

●先生
「気にしなくても大丈夫よ。形を整えるときは、型とチョコレートの隙間を埋めるように、竹串でやさしく押してあげるといいですよ」
●祐梨子
「本当だ! 竹串で押すだけで、簡単に隙間が埋まっていく! でも、チョコレートがだんだん固まってきたような気が……」

●先生
「型に入れたチョコレートを触りすぎたり、成形に時間をかけすぎてしまうと、チョコレートが固まってしまってツヤのない仕上がりになってしまいます。慌てなくてもいいけれど、手早く成形することを心がけましょう」
⑧ 球形に仕上げるために、チョコレートを入れた面同士がくっつくように型を合わせる。
⑨ 合わせた型の両端を、輪ゴムできつく縛って固定し、固まるまで涼しいところで30分ほど置く。
ポイント
・固めるときは、冷蔵庫に入れない(急激に冷やさないこと)。
《成形のバリエーション:半球》
半球に仕上げたい場合は、⑧の上にギターシートを敷き、固まるまで涼しいところで30分ほど置く。
ポイント
・上面を平らにするため、型の上にバット等をのせる。
《成形のバリエーション:グラシン(小型カップ)》
グラシンに入れる場合は、シリコンスプーンで適量をすくい、竹串で形を整えて固まるまで涼しいところで30分ほど置く。
■型からはずす
⑩ 輪ゴムをとって、型からはずす。
●祐梨子
「きちんと球形になっているか、ドキドキ……」

●先生
「型の両端を左右に軽くひねってあげると、型からはずれやすくなりますよ!」
「無事に型から外せました~!」
●祐梨子
「キレイな球体に仕上がりました! 一個だけ型にくっついたまま取れなくてちょっぴり焦りましたが(笑)。ちゃんと固まっていたのでひと安心です!」

●先生
「表面も艶やかですね。グラシンも手作り感があってよいですが、このような型を使ってまん丸に固めると高級感がさらに増しますよ! それでは最後に、バレンタイン用にかわいくラッピングしていきましょう♪」
⑬ お好みの箱や袋に詰めてラッピングする。
サクサクと口どけのよい「クランチチョコ」が完成!
●祐梨子
「先生に教わったポイントを守るだけで、ワンランク上のクランチチョコが作れました♪ まずは、アーモンドダイスとライスパフ、フィヤンティーヌ入りのミルクチョコレート味からいただきまーす!」
●祐梨子
「わ~! サックサクで口当たりが軽く、チョコレートがとろける~! 混ぜ込んだ材料とのバランスも完璧です♪」

●先生
「混ぜ合わせるときにチョコレートが少なく感じたかもしれませんが、少ない分量で合わせることで、よりエアリーな口当たりに仕上がりになるんです! ビター味や、ホワイトチョコにフリーズドライのフランボワーズを加えてアレンジしたものも食べてみましょう」
●祐梨子
「ビター味は、カカオのうまみとナッツの芳ばしさがしっかり伝わってきて、大人な味わいです♪
見た目も華やかなフランボワーズ入りのホワイトチョコレート味は、まったりとしたチョコレートの甘みの奥から、甘酸っぱさが弾ける! どの味も食感が楽しくて、食べる手が止まりません~」

●先生
「本当、やみつきになっちゃうわね♪ 一度にたくさん作れて、好みの味にアレンジできるだけでなく、一週間ほど日持ちもするから、おやつ用に作り置きできるところもクランチチョコの嬉しいポイントですね!」
●祐梨子
「大好きな人に渡すだけじゃもったいないくらい! 友達や家族、お世話になっている方たちみんなに食べてもらいたくなっちゃいました♪」

●先生
「素敵なバレンタインになりますように。
次回のレッスンは、春の訪れを感じられるスイーツ作りにしようかしら。とっておきのレシピを伝授しますよ」
●祐梨子
「わ~! どんなスイーツか今からワクワクが止まりません! 次回もよろしくお願いします♪」


(※)丸型製氷皿(『株式会社小久保工業所』「deLijoy ゆきポン プチまる氷(10個)」)の使用は、製造元の許可を得ています。

編集協力:植木祐梨子
撮影:岡本寿

材料協力(ラッピング):cotta