〆の「かき揚げ丼」が贅沢でおいしすぎ!週に一度ランチだけ、のれんを上げる予約困難な「天ぷら」の名店

植木祐梨子

Summary
1.予約の取れない「天ぷら」の名店で、満足度の高いランチがスタート!
2.ひと口サイズから一合盛りまで! 満腹具合に応じて選べる〆のご飯
3.“口福”の8席を担うのは、匠のワザを受け継ぐ30歳の若きエース

あの天ぷらの名店が土曜日ランチ限定で“夜よりお手頃な天ぷら”を提供

今日は少し贅沢しよう。そんな心情と胃袋を満たしてくれる献立の一つに「天ぷら」という選択肢がある。名店の味がもう少しお手頃に味わえたら…と無茶な望みを抱くあなたに朗報!

『ミシュランガイド東京 2018』で一つ星に輝いた天ぷらの名店が、2017年10月から土曜日のランチタイム限定で“ディナーよりお手頃にいただける天ぷら店”として営業を始めた。

舞台は青山界隈で名を馳せる天ぷらの名店

外苑西通りから少し入り組んだ路地に入ると、おしゃれな街の景観は古風な装いを取り戻す。階段を下った先に小ぢんまりと掲げられた暖簾をくぐると、かぐわしく漂う柚子の香りに迎えられる。

“口福”の8席に座ると、視線が釘付けになるのがカウンターを彩る季節野菜の宝石箱。手頃なランチコースでも、提供している食材はディナーと同じ。

季節の一品からはじまり、海老や魚介、旬の野菜を中心としたおよそ10種類の天ぷらに、かき揚げ、〆のご飯、デザートのフルコースは、夜と変わらぬ満足感を得ることができる。

食材の旨みを最大限に活かす工夫が施された「おもてなしコース」

熊本県天草産の「海老」(写真上)は、衣の厚さと温度、揚げ方を変えて2本供される。塩に合うという1本目は、サッと高温で火入れされていて衣が薄く、ブリンと弾ける歯ごたえがたまらない。厚めの衣のなかで蒸し上げられたもう1本は、しっとりと優しく繊維がほどけていく。つゆをくぐらせてもサクッとした食感は消えることなく、旨みを携えて濃厚な海老へと進化する。

1年中提供される「アスパラガス」(写真上)は、季節ごとに味の変化が楽しめるよう、国内はもちろん世界中の産地から仕入れている。この日はメキシコ産のものを使用しており、甘みの強い国産とは違って旨みが強く、芯からエネルギーがみなぎるような味わいだ。

見た目は全く同じ2つの「レンコン」(写真上)は、おもしろい仕掛けが施されている。ほんのり焼き色がつくまで揚げた熱々のレンコンは、芋のように甘くホクホクとしていて柔らかい。

もう一切れは、衣のサクッとした食感を保ちながら急速に冷ますことが可能な機械を使い、意図して粗熱をとったもの。噛めばシャキッと繊維が砕けて、素材がもつ糖分がじわじわと口のなかに広がっていく。

スタッフ全員の胸元に刻まれた、究極のスペシャリテ

大将夫人のひと言で生まれた「大葉のウニのせ」(写真上)は、北海道・落石産の馬糞ウニがこんもり乗った店のシグネチャーメニュー。素朴な大葉はパリッと温かく、華やかなウニはとろりと冷たい。その温度と食感の妙によって、口の中で完成する。

ここでしか味わえないハーモニーを目当てに、わざわざ遠方から訪れる美食家も多いそう。店の代名詞にもなったスペシャリテは、スタッフの胸元にもくっついていた。

食品サンプルで精巧に再現された「大葉のウニのせバッジ」(写真上・右)は、創業10周年を記念して作られたもの。「このバッジを付けてご来店いただけたら、嬉しくってウニが増量しちゃうかも…!」。そんな大将のお茶目な様子にお客の心が和む。

〆の一杯は胃袋に余裕に合わせて注文可能

「お次は、〆のご飯です。天丼と天茶のご用意がございますが、まずはお茶椀のサイズをお選びください」というアナウンスとともに、マトリョーシカのように重なり合う大小の器(写真上)が現れる。

一口サイズの小さなお猪口から、一合が入る大きな丼ぶり鉢まで。自分の胃袋とよく相談して、7種類のなかから選ぶ。

エビのかき揚げが乗っかった「天丼」(写真上)は、甘めのつゆがたっぷり染み込んだごはんごと一気に掻き込みたくなる。

こんな贅沢な天ぷらコースが土曜のランチ限定でリーズナブルに味わえる同店は土曜日のランチ時間帯のみ営業。店の名は…

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