訪れたすべての客が予約必至のリピーターに。九州産の極上肉に飲み放題付き、驚異的コスパの焼肉店【曙橋】

【連載】幸食のすゝめ #075 食べることは大好きだが、美食家とは呼ばれたくない。僕らは街に食に幸せの居場所を探す。身体の一つひとつは、あの時のひと皿、忘れられない友と交わした、大切な一杯でできている。そんな幸食をお薦めしたい。

Summary
1.1人前300gたっぷり、常時10種類超えの極上肉が揃う焼肉コースに大満足!驚異的コストパフォーマンスを誇る焼肉店
2.気心の知れた仲間たちで、BBQをやっているような圧倒的な開放感と満足感
3.飲み放題で、ドリンク持込自由、しかも一切の抜栓料もない。野菜やデザート、塊の肉さえ持込める自由さ

幸食のすゝめ#075、肉焼く煙には幸いが住む、曙橋

「この網を、端から3分の1くらいで折ってください!」
BBQリーダーの武藤俊一さんからオーダーが入る、大人のボーイスカウトの始まりだ。U字形に折られた網は、通常の網と合わせて、様々な部位に適した焼きが可能になる。

ムトウさんは、さすらいのシュラスケイロ(肉焼き人)、恵比寿で貸切を前提とした紹介制肉焼き店『BBQ 610(ムトウ)』を経営している。
しかし、ここは彼のホームではない。数々の予約困難店がひしめき合う東京の焼肉界でも、最も自由でリーズナブルな曙橋の肉の城だ。特に、赤身肉とホルモンのうまさ、そのボリューム、いい意味でのほったらかし感は、帰りがけにみんなが次の予約を取ってしまう甘い魅惑に満ちている。

「これから、登山します」という言葉がSNSに溢れ出し、流行語にまでなった『肉山』。数々の美食系著名人たちが、こぞって名前を挙げる、極上のシャトーブリアンと「ブリサンド」などの料理で名高い『SATOブリアン』。東京には巷の肉ラヴァーたちが驚喜する予約困難な名店がいくつかある。

ここはその中でも、最も驚異的なコストパフォーマンスを誇る店だ。エッジが立ったレバーから始まり、タンやタン下、上ミノ、ほほ肉、シンシンのステーキ、ハラミ、サガリ、特上のロースと、常時10種類ほど用意される肉は、1人前300g以上、どれも九州から届いたばかりの極上の和牛だ。

しかも、酒は飲み放題だ。生ビールや酎ハイ、ハイボールのサーバーはセルフ方式。棚と冷蔵庫には、日本酒から焼酎、ウイスキー、ワインの赤・白と、あらゆる種類の酒が常備されている

その横には、一升炊きの炊飯器いっぱいのご飯。そこに、キムチや、もやしナムル、韓国海苔の副菜が付く。タレに使い、極上の肉エキスが流れ出した卵をご飯にかけ、究極のTKGに酔っていると、〆の冷麺がやってくる。

驚愕の内容で、トータル6,000円。誰もが口をつぐみ、自分だけの秘密の店にしたくなるのも仕方がない。

接客方法も合理的で、変わっている。2時間制の制限時間中、従業員はただ数回、肉を運ぶだけのシステム。オーナーらしきマダムにも、帰りの予約時くらいしかお会いしない。

しかし、その自由さ故に、気心の知れた仲間たちでBBQをやっているような圧倒的な開放感を作り出していく。

しかも、もう1つ、酒飲みたちには嬉し過ぎる特典がある。飲み放題なのに、持込も自由、しかも一切の抜栓料もない。
持込フリーは酒だけではない。野菜やデザート、塊の肉さえ持込める。この自由さ、定期的に通う常連たちが増え続けるのは当然の結果だろう。

肉、肉、肉とワインが織り成す極上のグルーヴ

もちろん、野菜とワインも悪くない。海の幸も、川魚だって悪くない。しかしながら、肉とワインという組合せほど、人を狂わせるものはない。目の前の七輪で、ただひたすら肉を焼く、飲み放題の酒を飲む。ムトウさんばりのシュラスケイロが見つかれば、ひたすら飲みと食べに徹すればいい。

九州から届けられた極上の肉たちに合わせて、一人ひとりが持ち寄った大好きなワインを浴びるほど飲む至福。肉とワインが織り成すグルーヴに、身も心も限りなく熱くなる。おや、このボブ・マーリーは?どうやら、ちっちゃなスピーカーを持込んだ友もいるみたいだ。

「そろそろ、焼きおに行きますか?」、慣れた手付きで小さめのおにぎりを作り、網に並べる某シェフ。荒木町の『HIBANA』辺りへワイン行脚に出かける前に、きっと全員が次の予約をして帰るだろう。

坂の中腹は肉ラヴァーたちの桃源郷

その昔、未だバブル華やかなりし頃、曙橋は旧フジテレビ本社の最寄り駅として栄えた。徒歩圏内の荒木町には、今も当時を伺わせる飲食店が残ってはいるが、ここはいつも静かな空気に包まれている。
しかし、住吉町の交差点から作家永井荷風(ながいかふう)の断腸亭があった余丁(よちょう)町に続く坂を少しずつ登ると、突然、肉を焼く煙と人々の熱気、店内の喧噪が外まで溢れ出している店が見つかる。

笑顔と幸福に包まれた店の名前は…

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